第3話『僕にとっての前準備』
シンさんと契約をしてから5日たった。あの後は、まあ忙しくなった。なぜならあの人がすぐに養子にする子供を決め使用人たちに周知したからだ。僕自身が望んだことを知らない使用人たちからはやはりといっていいように以前も聞いた陰口の数々が報告された。報告されたというのは、専属の護衛と侍従がついたことによって以前までのループと違い単独行動がしにくくなったので、ゾイルにそのことについて報告するように言ったからだ。まぁ、報告する時ゾイルは本当に伝えて大丈夫なのか心配そうにしていたが。僕からしたら聞きなれた言葉たちなので特に問題はないのだけれど。
さて、養子の話に戻るけれどやはり以前からのループと変わらない二人が養子となるようだった。あの人は、養子となりえる孤児院の子供のリストをもらい、誰が良いか聞かれたけれど二人を薦めましたとも。それを聞いた途端すぐにあの二人に決めたみたい。あの人は、当主となったときに操りやすい子でも選んだのかと思っているみたいだけど。なんというか、愛情表現がへたくそなんだと思う。関係をやり直したいといったあの人は、宣言道理僕のことを愛そうとしているように見える。このくらいじゃい信頼は戻らないけれども。自分のことを愛いしてくれていることは何となく感じられてはいるけれど。シンさんのことも含めて二つ返事だったらしいしね。養子の二人は、明日には到着する手はずになっているらしいがまだ準備が間に合っていないとらしい。ゾイルが言うには部屋や洋服の準備は急ごしらえであるけれど終わっていて、あとは専属を決めることと明日のために屋敷内を清掃するくらいらしい。急いでいる使用人たちを見かけるけれど、僕の周りはいたって普段と変わらないから実感がわかない。少しだけ明日が心配になるが、もうこれは仕方がない。今できるのは、明日に備えて早く寝るくらいだ。
翌日、いよいよ養子の二人がやってくることになった。少し心配だがどうしても今日は大事なのだ。あの二人とある程度良好な関係を作っておくことで後々が楽になるだろうから。けど、どうすればいい?どうすればいい印象を与えられる?あの時はだめだった。あれもこれも試してみたけれどどうせダメだった。どうしたら、どうすれば…?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?どうすればイイ、どうしたらイイ?
「レン様?どうかなさいましたか」
ぞ、いる?
「もしかして、兄弟になる方が来るから緊張してるのでは!?」
ろ、いど
「レン様、自分たちはあなたの部下なのです。何があってもお守りします。」
な、っと
「心配事があるならお兄さんに何でも相談しな?」
しん、さん
そっか、みんながいるんだ。
僕のことを裏切ることのできない子たちが。頼ってみてもいいのかな
「シンさん、レン様の部下となられたのにその物言いは少し目に余りますよ。」
「そんな固いことを言わなくてもいいじゃない。俺は今までとの対応と変える気はないよ?」
「レン様!緊張をほぐすにはマッサージがいいと聞いたことがあります!俺のでよければしますよ!!」
「ロイド、レン様に対してそれは失礼なのではないか?」
「まじ!?」
「まじだ。」
みんないつもと変わらない。心配してくれてる。
『…ねぇ。』
「「「「なんでしょう。」」」」
みんなの反応が少し怖くなってしまい俯きぎみに質問する。
『相手によく思ってもらうためにはどうしたらいい?』
「「「「…」」」」
四人からの反応がなくもしや呆れられてしまったかと少し心配になりながら顔を上げられずにいると、
「~~あぁもう可愛い!!」
『え?』
思わず聞こえてきた声に顔を上げようとすると抱きしめられる。
「そんな可愛いことを考えてたんですね~!」
「ロスト、失礼だろう」
「ナットも思ってるくせに~」
「うるさい」
なんとかしてシンさんの胸の中から周りが見えるような体制になると同時に聞こえてきたそんな声。ナット、そんなこと言いながら頬が緩んでいるの見えてるからな。シンさんとナット、ロストの府インキは明るいが先ほどから動きが止まったままのゾイルの方を見る。よく見るときれいな茶髪が少しだけ震えている気がした。
「レン様」
『!!』
「そのようなこと私共にすぐに相談してくださいませ。私共はあなた様のためにいる存在なのですから。あなた様が望むのなら、いくらでもともに考えます。」
声をかけられたかと思うと跪かれ、手を取られる。それはまるで結婚を誓うように僕に言い聞かせてくる。
『なら一緒に考えてくれる?』
「よろこんで」
「俺も手伝います!」
「自分も」
「お兄ちゃんも手伝おう」
一緒に考えてくれる人がいるだけでこうも安心するものなのかと思った。時間は少なかったはずだが二人が到着すると報告を受けるまでにいろいろ考えることができた。これが自分にとっての準備になるのだろうかと他人事のように考えたのだった。




