第九話:マコト、うなじに落ちる囁き♡
第九話:マコト、うなじに落ちる囁き♡
──♡──
その女──真希さんは、隣に住んでいる。
その朝、洗濯物の中に茜色の薄手ストールが混ざっていた。
首元を包む透け感と光沢が、すうっとうなじに触れそうな気配。
タグには「Femme Neckwisp」という文字が小さく刺繍されていた。
──♡──
「……この、感触……なんかゾクっとくる……」
藤原マコト(23)、大学院生。
目を覚ましたとき、そのストールが肩を撫でていた。
ふわりとした肌触りに「誰かの手?」と思うほど、胸がざわついた。
(いやいや、これ俺の部屋だし……)
──♡──
【通学電車】
・つり革につかまるたび、ストールがうなじにふれる。
・向かいの席の女子が、「いい匂いですね」と小声で言った。
・スマホで「うなじ美人」画像を無意識で開いている。
「そ、そんなもの俺が……見てたってこと?」
──♡──
【ゼミ控室】
・机の隅に、和精油セット(うなじ専用)の瓶が開けたまま。
・付箋に「香りの記憶を刻む♡」と書かれている。
・マスクの裏に、うっすら“桜蜜”の香りが染みていた。
「……こんなの買うわけないだろ……俺じゃ……」
──♡──
【下着】
・ショーツは淡いサクラピンク。
・背面に小さなレーストリムがあしらわれていた。
・肌触りはしっとりしていて、履いていることに気づきにくい。
「……俺、これ、本当に履いてるの……?」
──♡──
そこに現れる、隣の女──真希さん。
この日の真希さんは、淡いクリーム色のニットに、グレーのテーパードパンツ。
しとやかにストールをはらいながら、すっとマコトのうなじへ目線を落とした。
「ふふ……“首筋の香り”って、すごく記憶に残るものなのよ♡」
「えっ……違うって……!」
「でもマコトくん、もう“香られるうなじ”になってるでしょ?」
「や、やめ……見ないで……!」
「さあ、“男の終わり”の時間よ♡」
「──どうぞ♡」
──♡──
【黒服さん突入】
ドゴォォン!!
窓ガラスが割れ、黒服たちが煙と共に滑り込んできた!
黒服1「対象、首筋フェム充填率98%。香気記憶保持あり」
黒服2「下着装着状態確認。肌接触良好」
黒服3「自己意識に“香られることの快感”定着済」
マコト「ちょっ……こんなつもりじゃ……──うわぁあああぁっ!!」
──♡──
【個体データ】
•識別コード:No.009
•初期反応:首元ストールに「ゾクッとする」反応あり
•行動記録:電車内で“うなじ美人”を無意識検索
•香気同調率:桜蜜精油による他者接近3件、自己受容強度80%
•心理評価:「……いい香りって、悪くないかも」発言により転化進行中
──♡──
【数日後】
マコトは朝、ストールを首に巻くのがクセになっていた。
帰り道に、ふと耳元に香りを感じて思わず笑っていた。
友人に「いい香りだね」と言われて、自分自身が照れていた。
寝る前には、うなじに香水を直接スプレーするようになっていた。
気づけば、首筋から“記憶を刻む香り”として、自分を演出していた。
──♡──
真希さんは、小瓶の蓋をゆっくり回しながら、頬を少し傾けた。
「ね、うなじってね。最初に“香りの記憶”が宿る場所なのよ」
「……ふふ、もうすっかり“香られる首筋”になっちゃったわね♡」
──♡──
真希さんの手元のノートには、“No.009:マコト(仮)”の文字が、そっと朱色で書き足されていた。
完──“今日もまた女にしておしまい♡”
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真希さん、次に“香られるうなじ”になるのは──あなたかも?