第六十五話:ケンタ、“歌声”で女の吐息を落として♡
第六十五話:ケンタ、“歌声”で女の吐息を落として♡
──♡──
その女──真希さんは、隣に住んでいる。
カラオケの薄暗い室内。マイクを握り、何気なく歌ったフレーズ。
その声が、思いのほか柔らかく、吐息を含んで震えていた。
サビに差しかかると、男の歌声ではなく、甘え声の女そのものが響き渡っていた。
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「……い、今の……俺の声……?」
ケンタ(仮名・25)。飲み会の余興では必ず歌を任される、声に自信のある青年。
けれど最近は──
「歌、女の子みたいに艶っぽいね」と言われることが増えていた。
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【カラオケルーム】
・リモコンに「“声を張るな、抜け♡”」の赤ペンメモ
・テーブルのコップに、吐息が絡んだような水滴の曇り
・ソファに残された座り跡が、浅く腰掛けた女の形
「……俺、ただ歌っただけなのに……」
──♡──
【マイク】
・コードに「“伸ばさず、息を混ぜると女♡”」の付箋
・マイクスポンジに、囁きを吸い込んだ跡
・画面の歌詞に赤字で「“語尾を落として吐く♡”」と書き込み
「……俺の歌声……変わってる……?」
──♡──
【下着】
・ロイヤルブルーのレースブラとショーツのセット
・歌うたび、響きを女声域に増幅する“音声拡張仕様”
・タグには「SongLace──“歌えば女が漏れる♡”」の刺繍
「……これ着けると……高音が……女声になっていく……」
──♡──
そこに現れる、隣の女──真希さん。
この日の真希さんは、白いシャツワンピに黒い細ベルト。
「あぁ……」と吐息を伸ばすだけで、マイクを通さずとも身体を痺れさせる声だった。
「ふふ……男の歌声って、本来は響かせるものよ♡」
「ち、違う……俺は、普通に歌ってただけで……」
「でも──さっきのサビ、“甘え声の彼女”にしか聞こえなかったわ♡」
「やめろ……俺は……男の声で歌ってるんだ……!」
「さあ、“男の終わり”の時間よ♡」
「次の曲で、完全に女になってしまいなさい……♡」
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【黒服さん突入】
ドンッ!
音声解析スピーカーを背負った黒服三名が突入!
黒服1「音域シフト確認! 女性型ゾーン突入!」
黒服2「ビブラート発動率87%、“吐息混入女声”発動!」
黒服3「記録完了──この歌声、リプレイしたら完全に彼女!」
ケンタ「ち、ちがう! 俺は……ただ歌ってただけで……!」
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【個体データ】
識別コード:No.042(ケンタ)
歌声変換率:女性型域に到達
吐息混入率:82%(カラオケ時)
装着済み:SongLaceブラ&ショーツセット
備考:「……高音が……女にしか聞こえない……」本人つぶやきあり
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【数日後】
ケンタは、歌うことが怖くなっていた。
鼻歌を口ずさむだけで、女声の余韻が混じってしまう。
笑い声すら、裏返って甘え声になる。
「歌声、やさしいね」と褒められ、返事できなかった。
沈黙でごまかそうとしても、胸の奥で甘い響きが漏れ出してしまった。
そして気づいた──声はもう、男のためのものではなく、女を映す器に変わっていた。
──♡──
真希さんは、ケンタの顎をそっと上げ、耳元で囁いた。
「ね……その歌声、もう男には戻れないわ♡」
「次は……子守唄で、女を漏らしてごらんなさい♡」
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真希さんの手帳には、流れる筆跡でこう記されていた。
“No.043:ソウタ(仮)──まばたきのリズム、完全に“彼女の拍子”だった♡”
完──“今日もまた女にしておしまい♡”
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「ふふ……その“サビの声”、もう女の歌だったわ♡」




