第五十三話:ヒップアップガードルで、脚を閉じて♡
第五十三話:ヒップアップガードルで、脚を閉じて♡
──♡──
その女──真希さんは、隣に住んでいる。
リビングの床に、脱ぎ捨てられた黒いガードル。
レースの裾がくしゃりと折れ曲がり、その奥に、淡い桃色のヒップラインの痕が残っていた。
まるで、“誰かのために履いていた”証のようだった。
──♡──
「……なんで俺、ガードルなんて……履いてた……?」
コウジ(仮名・20歳)。スポーツ推薦で入った大学を中退し、いまは無職。
最近、やたらと“姿勢”が気になる。
椅子に座るとき、つい膝がくっついている自分に──ふと気づくことがある。
──♡──
【洗面所】
・ウエスト〜ヒップを覆う、黒のガードル干し中
・鏡の前に置かれた、小さな姿勢矯正マニュアル
・メモには「“お尻で歩く”と、脚は自然と閉じるの♡」
「ちょ、待て……これ俺の字か……? いや、こんな女みたいなこと……俺が書くかよ……」
──♡──
【ベッドまわり】
・寝る前に脱ぎかけたままの、ガードルとインナー
・スマホの検索履歴に「ヒップライン 出し方」
・動画の履歴に「内ももを意識する座り方」
「はっ……なに検索してんだ俺……これもう、“出す側”の意識じゃんか……!」
──♡──
【下着】
・ブラックレースのハイウエストガードル
・内腿を締め、ヒップを寄せる補正パネル入り
・タグには「CurveHug──“締めることで、女になる♡”」
「やっべ……ライン出す気まんまんの仕様じゃん、これ……っ、しかも、俺……履き慣れてる……」
──♡──
そこに現れる、隣の女──真希さん。
この日の真希さんは、グレーのタイトワンピースに、ベージュのカーディガン。
腰をひねるたび、レースのヒップラインがちらりと浮かび──“歩き方の重心”まで美しく見えた。
「ふふ……ガードルって、“見せる下着”じゃないのよ。けれど、“見せる身体”を育てるの♡」
「ち、違っ、これはあくまでその、腰痛予防の……!」
「でもね……“腰から脚へ”が整っていくと、もう、男の脚には戻れないわ♡」
「う、うそだろ……お、俺、そんな意識……してない……はず……っ」
「さあ、“男の終わり”の時間よ♡」
「──どうぞ♡」
──♡──
【黒服さん突入】
バシュゥゥッ!!
床のフローリングが開き、黒服三名がヒップスキャン&歩行解析モード起動!
黒服1「ガードル補正確認!内転筋活性化率112%!」
黒服2「脚閉じ姿勢、着座時維持時間56分超え!」
黒服3「ヒップライン投影時、異性反応数値が女性帯域に完全移行!」
コウジ「ちょ、待って待ってっ!!腰は!腰痛ケアだって言ってんだろぉぉぉ!!」
──♡──
【個体データ】
識別コード:No.053(コウジ)
ガードル使用時間:計6日(うち外出時3日)
着座時脚閉じ率:94.8%
装着済み:CurveHugハイウエスト(補正パネル仕様)
備考:「……脚、閉じてるほうが“落ち着く”んだ……なんでだろ……」発言あり
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【数日後】
コウジは、電車で座るたび、自然と膝を揃えるようになっていた。
ガードルがなくても、腰を丸めず、内腿に力が入る。
ジーンズより、ストレッチ素材のパンツのほうが心地よく感じるようになっていた。
後ろ姿が“整ってる”と、街のガラスに映る自分でさえ少し好きになれる。
それはもう、“男の無造作”には戻れない心地だった。
──♡──
真希さんは、腰に手を添え、指先でヒップラインをなぞるように微笑んだ。
「女の身体ってね……“締めて、寄せて、磨いていく”ものなの♡」
「次は……ブラトップで、胸の段差を育てていきましょうか♡」
──♡──
真希さんのリストには、こう記されていた。
“No.054:ナオト(仮)──“谷間の高さ”で、声が変わってた♡”
完──“今日もまた女にしておしまい♡”
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「ガードルってね……“脚を閉じたくなる気持ち”から、女は始まるの♡」




