第四話:フミヤ、うるつやリップで堕ちる朝♡
第四話:フミヤ、うるつやリップで堕ちる朝♡
──♡──
その女──真希さんは、隣に住んでいる。
その朝、鏡の前に置かれていたのは、ピンク色のリップクリームだった。
パール入りのキャップが光を反射して、わずかにツヤめいている。
“誰のものか”は──考えるまでもなかった。
──♡──
「……なんか、唇……しっとりしてない?」
成田フミヤ(26)、IT企業勤務。独身、彼女なし。
起き抜けに口元をなぞると、やたら“ぷるぷる”していた。
いや、それどころか──甘い香りまで、ほのかに漂ってきていた。
(は? 俺こんなん塗ったっけ……?)
──♡──
【車内の足もと】
・運転席の足元に、ストッキングの空き袋が落ちていた。
・助手席には「ナマ脚卒業♡ はじめてのタイツ講座」という冊子。
・フットレストの角に、ストラップサンダルの跡がうっすら残っていた。
「……いや、俺、昨日どこ行ってたんだ……? この靴、履いた記憶……」
──♡──
【デスクまわり】
・パソコンの隣に置かれた「うるリップ診断テスト」結果のプリント。
・マグカップの縁に、うっすらとグロスの転写。
・メモ帳には「次は色つきにチャレンジしてみよう♡」の文字。
「誰だよ書いたのこれ……俺か……俺なのか……?」
──♡──
【下着】
・チェストの引き出しに、こっそりしまわれていたローズピンクのショーツ。
・サテン素材で、やわらかな伸縮が肌に吸い付く。
・レースの縁には、小さなリボンがふたつ──あまりに“可愛すぎる”。
「うわ……なにこれ……でも、履いてるし……」
──♡──
そこに現れる、隣の女──真希さん。
この日の真希さんは、ネイビーのブラウスに、白のタイトパンツ。
さりげなく髪をかき上げながら、ふっと目元で笑った。
「ふふ……フミヤくん、“塗り方”まで覚えちゃってたわね♡」
「えっ!? いやいや、俺そんなつもりじゃ……」
「でも、可愛かったわよ。ちょんちょんって、鏡見ながら丁寧に♡」
「うそ……まさか……あれ、見てたの!?」
「さあ、“男の終わり”の時間よ♡」
「──どうぞ♡」
──♡──
【黒服さん突入】
ドガシャアアァン!!
洗面所の窓ガラスをぶち破って、黒服たちが転がり込んできた!
黒服1「対象、下着“自己装着”状態。抵抗なし」
黒服2「サテンショーツ、唇とのコーディネート良好」
黒服3「フェムプロセス、視覚的羞恥より“自己肯定”へ移行」
フミヤ「ちょっ、ほんの試し塗りだったんだってば──うわぁあああぁっ!!」
──♡──
【車内の足もと】
・運転席の足元に、ストッキングの空き袋が落ちていた。
・助手席には「ナマ脚卒業♡ はじめてのタイツ講座」という冊子。
・フットレストの角に、ストラップサンダルの跡がうっすら残っていた。
「……いや、俺、昨日どこ行ってたんだ……? この靴、履いた記憶……」
──♡──
【個体データ】
•識別コード:No.005
•初期反応:すべすべになった脚を撫でて「……ほっそ……俺の脚か……?」と呟く
•動作記録:動画アプリで“美脚エクササイズ”を4本連続再生
•環境ログ:車内にストッキング包装/タブレットに“サンダル女子”スクショ保存
•心理評価:「スカート、案外いけるかも……」と自撮りチェック中に発言。露出フェーズ進行中♡
──♡──
【数日後】
フミヤは朝の支度に、リップクリームを塗る動作を組み込んでいた。
会社のデスクにも、自然に1本を常備するようになった。
ランチのあと、無意識に鏡を見てツヤのチェックをしていた。
同僚の「唇、綺麗だね」の一言が、なぜか嬉しくてたまらなかった。
そうして彼は、自分でも気づかぬうちに、“ツヤを守る側”になっていた。
──♡──
真希さんは、そっとリップのふちを親指で撫でた。
「ね、最初にツヤが出ると、心までうるおうのよ」
「……ふふ、その唇、だれに見せたいのかしらね♡」
──♡──
ノートの隅に、“No.090:ハルト(仮)”と小さく記されたページが、ゆっくりとめくられた。
完──“今日もまた女にしておしまい♡”
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真希さん、あなたのリップケアも……チェック中かも?