第三十話:ハルキ、“声のトーン”で女の色気を漏らして♡
第三十話:ハルキ、“声のトーン”で女の色気を漏らして♡
──♡──
その女──真希さんは、隣に住んでいる。
デスクに置かれていたICレコーダー。
再生ボタンを押すと、ふいに流れてきたのは──とろけるように甘い“誰かの声”。
けれどそれは、間違いなく、自分の口から漏れた声だった。
──言葉の意味ではなく、吐息の温度で、聞く人の身体を熱くするようなトーンだった。
──♡──
「……これ、俺の……声、なのか……?」
ハルキ(仮名・28)。バリキャリ系の営業マン。
滑舌と発声には自信がある。けれど最近──
「その声、ちょっと……えっちですね」なんて言われることが、増えてきた。
──♡──
【デスク周辺】
・マイク付きイヤホンのコードに巻きつけられた「“吐くように話す”と色っぽい♡」のメモ
・ICレコーダーの横に、「“声の末尾が抜ける”と女になる」書き込み
・プレゼン原稿には“語尾を落とす・息を混ぜる”の赤字チェックがされていた
「誰が……こんな赤入れを……いや、でもこの声……俺、録った覚えがあるような……」
──♡──
【洗面所】
・鏡の横に貼られた「“喉を開く”じゃなく、“抜く”のが女声♡」のメモ
・グラスに残ったリップ型のコースター
・口をつけた跡が、“吐息で言葉を落とした”角度を残していた
「……そんな……発声の角度なんて……俺、意識してなかったのに……っ」
──♡──
【下着】
・ワインレッドのサテンブラと、ショーツのセット
・カップ内側に吸音パッドが仕込まれており、“女の声が響くよう設計された仕様”
・タグには「ToneSlip──“吐き出した声が、女を漏らす♡”」の刺繍
「……この下着、なんか……声、漏れやすい気がする……布のせい……? いや、俺のせい……?」
──♡──
そこに現れる、隣の女──真希さん。
この日の真希さんは、胸元が緩く開いたとろみ素材のシャツ。
唇の端でふっと笑うたび、その声が“耳ではなく身体”に触れてくるようだった。
「ふふ……ね、“男の声”って、ちゃんと意識して出してるのよ♡」
「は……っ、俺は……俺の声で喋ってるだけだって……」
「でも、今日……電話越しに“あっ、はい……”って答えた声──もう女だったわ♡」
「うるさいっ……やめろよ、……そんなこと……」
「さあ、“男の終わり”の時間よ♡」
「──どうぞ♡」
──♡──
【黒服さん突入】
ピッ……!
音声解析ヘッドセットを装着した黒服三名が、声紋ログと同時に突入!
黒服1「声帯共鳴域、女性周波数ゾーンに変動確認!」
黒服2「語尾抜け率87%、“吐息交じりの女声”発動!」
黒服3「発話時、喉締めなし! 完全に“響かせずに伝える”女型トーン!」
ハルキ「や、やめろぉっ!!それは仕事用の声だって言ってんだろぉ!!ちが──っ!!」
──♡──
【個体データ】
識別コード:No.030(ハルキ)
声帯共鳴率:高周波女声化域に到達
吐息混入率:42%(日常発話)
装着済み:ToneSlipブラ&ショーツセット
備考:「“あ、うん……”って言うとき……たしかに声、抜けてる気が……」本人つぶやきあり
──♡──
【数日後】
ハルキは、話すたびに、自分の“声のトーン”に敏感になっていた。
語尾をはっきり言うことが、どこか不自然に感じられる。
息を交えた返事のほうが、相手の反応がやさしいと気づいてしまった。
──声は、“届ける”ものではなく、
すでに、“漏れてしまうもの”に変わっていた。
──♡──
真希さんは、ハルキの耳もとで、囁くように笑った。
「ね……その声、もう誰にも“男”って思われないわよ♡」
「次は、“ん……”って、甘えた吐息で答えてごらんなさい♡」
──♡──
真希さんの手帳には、ゆるやかな筆跡でこう記されていた。
“No.031:レイジ(仮)──指のふるまい、完全に“彼女”だった♡”
完──“今日もまた女にしておしまい♡”
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「ふふ……その“声の抜け方”、もう女の子の返事だったわ♡」




