第二十五話:レン、“鏡の中の女の子”と目が合った♡
第二十五話:レン、“鏡の中の女の子”と目が合った♡
──♡──
その女──真希さんは、隣に住んでいる。
洗面台の隅に、ひとつの手鏡が置かれていた。
丸いフレームの裏側には、淡くピンクのラメが埋め込まれ、まるでアクセサリーのように煌めいている。
──覗き込んだ先に映ったのは、“自分”ではない誰かのような、艶っぽい目元だった。
──♡──
「……は? 俺、これ見てたっけ……?」
レン(仮名・20)。美容学生。メイク実習は好きだが、あくまで“施す側”の立場だった。
けれど最近、自分の肌の質感や骨格のラインまで、なぜか人ごとに思えなくなっていた。
(……メイクされるのも、悪くない……?)
──♡──
【洗面台】
・水滴のついた鏡の前に、ピンクの小ぶりな手鏡
・下に敷かれたタオルには、“女の子座り”の跡
・メモには「“映るもの”は、女の気配を映すのよ♡」
「ちょ、待てよ……俺、なんで……自分の目に見惚れてんだよ……」
──♡──
【部屋の中】
・卓上のLEDミラーに「女の角度を探してね♡」の付箋
・ライトに照らされて置かれたピンクのビューラー
・鏡の横には、リップグロスと小さなウィッグブラシ
「……やべ……なんか“メイクモデルの顔”みたい……俺、なにしてんの……」
──♡──
【下着】
・ローズベージュのサテンブラ&ショーツセット
・艶のあるパッドが“丸み”を自然に支える仕様
・タグには「MirrorMuse──“鏡がほめる身体”へ♡」
「……嘘だろ……このブラ、ぴったりじゃん……肌、めっちゃ綺麗に見える……」
──♡──
そこに現れる、隣の女──真希さん。
この日の真希さんは、ボディコンシャスな黒のトップスに、パールの髪留め。
鏡の光を味方にするような姿勢で、こちらに近づいてきた。
「ふふ……ねぇ、鏡の中の“その子”、ちょっと可愛くなかった?♡」
「ち、ちがっ……た、たまたま角度が……光がっ……!」
「じゃあ、リップつけてみる? “その顔”なら、きっと似合うわ♡」
「……う、うそ……だろ……?」
「さあ、“男の終わり”の時間よ♡」
「──どうぞ♡」
──♡──
【黒服さん突入】
シャァァァンッ!!
姿見を突き破って黒服三名が登場、メイク補正検知モード起動!
黒服1「フェイスライン補正済、女顔率88%に達しました!」
黒服2「メイクアップ後の目線誘導反応確認!」
黒服3「“鏡の中の自分”に微笑み済──自己同一性崩壊フェーズ突入!」
レン「やっ……やめろっ! これは……授業用だっつーの!映りが綺麗だっただけでぇっ!!」
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【個体データ】
識別コード:No.040(レン)
鏡映補正率:91.4%(LEDミラー使用時)
フェミニン反応:頬染め+視線回避あり
装着済み下着:サテンブラセット(光沢補正型)
備考:「鏡、……なんか……女の子にしてくれるな……」発言あり
──♡──
【数日後】
レンは、ふとした瞬間に、鏡の前で立ち止まるようになった。
洗面台の手鏡には、気づけば指紋が残っている。
照明の角度まで調整して、“綺麗な自分”を試すクセがついていた。
その視線はもはや、“男の自分”を確かめるためのものではなかった。
──鏡の中に、もう“レン”という女の子が棲みついていた。
──♡──
真希さんは、優しく鏡を差し出して、微笑んだ。
「ふふ……その顔、もっと見たいわ♡ 鏡の中の“あなた”って、ちょっと色っぽいから♡」
「次はね……ネックレスね。鎖骨が綺麗に映えるやつ、用意してるの♡」
──♡──
真希さんの手元のリストには、こう記されていた。
“No.041:ケンジ(仮)──鎖骨のくぼみ、もう女のライン♡”
完──“今日もまた女にしておしまい♡”
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「ふふ……鏡の中のあなた、もう“女の顔”になってるわよ♡」




