第二十一話:リュウジ、爪の先まで、女だった♡
第二十一話:リュウジ、爪の先まで、女だった♡
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その女──真希さんは、隣に住んでいる。
午後のオフィス。デスクの上に、一枚のメモが置かれていた。
「左手薬指──欠けてるわよ♡」と、赤いペンで書かれた小さな付箋。
そこには、リュウジの爪を模した図まで添えられていて、補修すべき“形”が丁寧に示されていた。
──♡──
「……誰だよ、こんな落書き──俺の、指……?」
リュウジ(仮名・29歳)。営業職、社歴6年。
手元を見られる仕事ではない。けれどなぜか、最近、やけに“指先”が気になる。
何気なく伸ばしかけた爪。あれ、形、整ってる?
(ちょっと丸くて……ツヤも……? いやいや、気のせい、だろ)
──♡──
【デスクまわり】
・引き出しの中にあった「クリアネイル補修セット」
・メモ帳に挟まれていた「オフィスネイルのすゝめ♡」特集ページ
・書類フォルダの裏に貼られていた透明メモ──“マウスは薬指で動かすとエレガントよ♡”
「ちょ……待て待て、誰だよこんな……俺の机に……いや、これ俺が置いたのか……?」
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【洗面台・洗面具】
・ネイルオイルとファイルが入った小さな巾着
・ふわっと香るフローラルハンドクリーム
・鏡の端に書かれた走り書き「手元が女だと、バレるのも早い♡」
「うそだろ……俺、爪磨いたりとか、した覚えないぞ……」
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【下着】
・白のレーストリムショーツ。指先に引っかからないよう縫い目が内側に処理されている
・タグには「Femme Touch®️──ネイルに優しい仕立て」
・履いた瞬間、脚を通した“指先”が、なぜか女の動きを真似ていた。
「いや……ちょっと待て、俺、これ脱ぐとき指が……反る……いやいや、俺、俺は……!」
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そこに現れる、隣の女──真希さん。
この日の真希さんは、シフォンの袖がふわりと揺れる薄ピンクのブラウス姿。
机の端にかけた手が、指先から“柔らかな支配”をまとっていた。
「ふふ……爪ってね、“女の自覚”がいちばん早く出る場所なの♡」
「や、やめてください……俺は、別に、そんな意識なんて……!」
「でも今朝、ファイルの目、180番に替えたでしょう? ちゃんと削れてたわ♡」
「そ、それは……あの……研いでただけ、でっ……!」
「さあ、“男の終わり”の時間よ♡」
「──どうぞ♡」
──♡──
【黒服さん突入】
バァァァン!!
ブラインドが上がり、窓際からスーツ姿の黒服3名が颯爽と着地!
黒服1「指先のカーブ、完全に女型です!」
黒服2「キューティクル処理済み、トップジェル確認!」
黒服3「“爪を隠すしぐさ”が自然に出ています!反応完了!」
リュウジ「やだっ、やめろっ!指見んなって言ってんだろっ!!俺の、爪をぉぉぉ!!」
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【個体データ】
識別コード:No.021(リュウジ)
ネイル適応率:97%(左右整形完了)
指先動作:フェム角度傾向強/第二関節からの意識反転
使用済コスメ:ネイルセラム・甘皮オイル
備考:「つめ先が……すべすべ、してる」本人記述あり
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【数日後】
リュウジは、名刺を渡すたびに、手元を見られている気がしていた。
爪のカーブを意識して、つい指先をすぼめてしまう。
社用スマホのタップ音が、小さくなっていることに気づいた。
“男の手”として使っていたものが、もう“誰かに見せる女の手”に変わっていた。
それは、指の先からじわじわと染み込んでくる、小さな変身だった。
──♡──
真希さんは、すっとリュウジの手を取り、微笑んだ。
「ね、爪の先から女の子になっていくって……すてきでしょ♡」
「次はね、“指輪のサイズ”、ちゃんと測っておいてあげる♡」
──♡──
真希さんのスケジュール帳には、こう記されていた。
“No.022:ショウゴ(仮)──手首の返し方が“そっち”だった♡”
完──“今日もまた女にしておしまい♡”
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「うふふ……その指、もう“男のタッチ”じゃないのよ♡」




