第一話:マサヒロ、ピンクのレースと、ガーリーな罠。
うぅ……まちがえて、真希さんのお話、五十話ぶん消しちゃったの……
でも、またいちから作りなおすって決めたのっ!
だから──応援、してくれたらうれしいな♡
がんばるから、ずっと見ててね……!
『隣の真希さんに、今日もまた女にされました♡』
第一話:ピンクのレースと、ガーリーな罠。
──♡──
その女──真希さんは、隣に住んでいる。
見た目は、ごく普通の優しいお姉さんだ。廊下ですれ違えば軽やかに「おはよう」と微笑み、買い物袋から覗くのは花やお菓子。
けれど、不思議なことに、彼女の暮らしの中身は誰も知らない。
昼間に働きに出る姿を見たことはなく、夜も灯りが点いているのかどうかさえ分からない。どんな仕事をしているのか、どんな時間を過ごしているのか──すべてが“空白”のままだ。
ただ一つ確かなのは、その笑顔が場の空気を変えてしまうこと。
柔らかな仕草の奥に、ぞくりと背筋を冷やす威圧が潜み、言葉はやさしいのに、視線ひとつで支配されてしまう錯覚を抱かせる。
やわらかいのに、どこか抗えない。
微笑みの奥に潜むものが、すべてを掌握してしまう。
隣に住むただの女性──
それなのに時折、まるで“男を女に変える罠”そのものが人の形を取って現れているのではないか、と錯覚させるのだった。
──♡──
朝、目を覚ましたとき、視界の隅に、ふわりと“何か”が映った。
ピンクのレース。光をやさしく透かす、少女趣味のミニスカートと白いブラウスが、椅子の背に静かにかけられていた。
風も音もなかった。けれど──それは確かに、“女の子の服”だった。
──♡──
「いや……絶対に、俺のじゃない」
俺は、マサヒロ(仮名・25)。動画編集が仕事の自宅フリーランスだ。
引っ越してきたばかりで、誰の気配も感じたことがない。
なのに、昨日から部屋の空気が、妙に……柔らかい。
──♡──
【洗面所】
・歯ブラシが二本。片方は淡いピンク色。
・洗面台に「うるおい重視のミルキーローション」
・鏡に貼られた付箋「今日の笑顔、かわいいかも♡」
「誰のだよこれ……てか、俺、笑顔とか言われたことないんだけど……」
──♡──
【部屋・スマホ】
・スマホのカレンダーに、“ネイルリペア”の予定が追加されていた
・ソファに置かれたぬいぐるみのひざに、マスカラが乗っていた
・音楽アプリのおすすめが、K-POPアイドルのプレイリストに変わっていた
「いやいやいやいや、何も頼んでないし!ってかK-POP詳しくねえし!!」
──♡──
【下着】
・スウェットの下から、レースの履き口がちらりと覗いている。
・タグには「マシュマロフィット♡」のロゴと、“ふわふわ”の着用感説明。
・小さなピンクのリボンが、ちょうど前の中心に縫い留められていた。
「……ちがっ、これ、違うからっ……! 昨日の夜、間違えて……」
──♡──
そこに現れる、隣の女──真希さん。
この日の真希さんは、薄いベージュのニットに、ラベンダー色のプリーツスカート。
すうっと部屋に入ってくると、鏡越しに目が合った。
「ふふ……マサヒロちゃん、ピンクって、意外と似合うのね♡」
「いやいやいや、勝手に人の部屋に入らないで!?いや、なんで知ってんの!?」
「女の子の服って、“心”から着るのよ。身体は、あとからついてくるの♡」
「なにその理屈ぅぅ……!」
「さあ、“男の終わり”の時間よ♡」
「──どうぞ♡」
──♡──
【黒服さん突入】
ドガアアァン!!!
玄関が破られ、黒服の男女3名が雪崩れ込む。
黒服1「対象、スカート視認。自主装着の可能性あり」
黒服2「下着、マシュマロフィット。履き心地を確認済」
黒服3「ピンクリボン反応強。女子補正フェーズへ移行」
マサヒロ「え、うそ、ちょっと撫でただけだってぇぇぇぇ!!」
──♡──
【個体データ】
識別コード:No.087(マサヒロ)
元性別:男性
初期変化:ピンク系嗜好・自己装着下着
フェム導入:レース下着/ガーリー服選択反応あり
最終用途:女性誌コラム「男子でもカワイイは作れる」モデル候補
──♡──
【数日後】
部屋の照明が少し暗めに調整されている。
ガーリーなブラウスのボタンを、自然と指が選んでいた。
「……このスカート、脚が細く見える……かも」
画面に映る自分の姿を、3秒見つめてから、そっと笑う。
そして小さなリボンをつけたイヤリングを耳にあてた。
──♡──
真希さんは、後ろからその肩に手を添える。
「ね、“似合う”って……言われたいでしょう?」
「マサヒロちゃん……もう“可愛い”が口ぐせになってきたわね♡」
──♡──
真希さんの手元のノートには、“No.088:シンジ(仮)”の文字が、静かに記されていた。
完──“今日もまた女にしておしまい♡”
──♡──
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「うふふ……読んだら、素直に“押して”おいてね? いい子でしょ♡」
──真希さんは、もう次のページをめくっているのよ。