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第4話 彩りの戻った世界

糸の切れた凧は空を舞ってボロボロになり、やがて辿り着いた枝木の上で安らぎを得た。穏やかな風に揺られながらこのひと時がいつまでも続く夢を見る

私は僅かに目が覚めた。微睡みを引きずりながら眠りから遠ざかろうとしている。まだ眠りから覚めたばかりの意識は現実との境が曖昧だ。ひょっとするとまだ夢の中なのかもしれない。そう思わせる心地が私を包んでいた。


「おおう…軽いですね。この肉体のどこに筋肉と骨を内蔵しているんでしょう」


…どこかで聞いた事のある声だ。一体どこの誰だったか。親しみある人物だった気がする。私の体はまるで揺り籠の中の様に揺られている。その感覚がますます現実と夢の境を曖昧にした。やがて私の体はゆっくりと降ろされる。


「ゆっくり寝てても構いませんが、後10分後には起床時間ですからね?」


起床時間…。私は僅かに目を開けた。そこには穏やかな顔をした柊さんがいた。彼女は私に毛布を被せてくれる。


「柊さん?」


「おはようございます。もう起きちゃいましたか。せっかく寝床まで運んであげたのでもう少し寝ててください」


…さっきのは柊さんが私を寝床まで運んでくれていたのか。そう言えば昨日は確か…そうだ、酒を少し入れて絵を描いていたら眠くなってそのまま横になっていたんだった。不覚だ。まさか寝坊までして柊さんに心配をかけてしまうなんて。


「あれ、でもどうやってこの部屋に入ったんですか?」


「開けっ放しでしたよモロコシさん。良かったですね、最初に来たのが私で」


「返す言葉もありません。ありがとうございます、柊さん」


「最初に来たと言えば田村さんチェックアウトしましたよ。お待ちの様子だったので済ませておきました」


「仕事時間前なのに何から何まで申し訳ありません」


「どういたしまして」


まだ眠いがそろそろ起きなければ。私は起き上がると庭に水やりに行ってラジオ体操をする。今日は柊さんも一緒だ。廊下で私達がラジオ体操をする様子を綾葉さんが見ていた。今日もいい天気だ。昼頃にかけて暑くなるだろうな。


ラジオ体操を済ませ家に戻ると電話がかかって来た。宿泊の予約かと思えばまた親だった。何でも近所から手渡された農作物が余っているものの昨日渡し忘れていたらしく取りに来て欲しいらしい。私は送ってくれと頼んだがどうせ近いから取りに来てくれればいいと言って聞かない。


一度言い出すと説得が難しい親だ。私は仕方がないので聖丘区までまた出かける事になった。私は事情を柊さんに話す。


「うふふ、滅多に帰らないから我が子の顔がしっかり見たいんですよご両親さんは」


「まあそんな所かもしれません。半年に一度も帰れば充分だと思いますけどね」


「そう言わないもんですよモロコシさん。私が半年に一度しか来なかったら寂しいでしょう?」


「…孫が遊びに来てくれないなって思うかもしれませんね」


「でしょう?さあさ、シカクマメは私に任せて親孝行して来てください」


「ではご厚意に甘えて」


そうして自室に戻って支度をしていると綾葉さんに会った。


「お出かけですか?」


「色々ありましてまた聖丘区に行くんです」


「奇遇ですね。実は俺も今日聖丘区に行くんですよ」


「聖丘区はいい所です。綾葉さんの地元程ではありませんが活気はありますしショッピングモールでは品揃えも豊富です。色々見て行くといいと思いますよ」


「ああ、いえそれもいいんですが摩多々山に行くんですよ」


「え…摩多々山にですか?あまり地元を悪く言いたくありませんがあそこ何もないですよ?謙遜とかじゃなく」


一応聖丘区の観光名所ではあるが…。私も一度行った事があってがっかりした記憶がある。綾葉さんはそれでも構わないらしい。摩多々山は聖丘区の中でもマイナーな観光地なのだ。またどうしてあんな所に行きたがるのだろう。


摩多々山はあまり大きな山ではないがロープウェイもないし道中はそれなりに歩く。私の幼少期からどのぐらいの変化があったか分からないが、あの頃と変わらないのなら観光地として大して力も入れていない。彼が1人で入って大丈夫か少し不安だ。


「何もない観光地…逆に興味ありますね!」


面白いなこの人。


「摩多々山は幼少期に親と行った事がありますが登山道が分かりづらいんですよね。良かったら同行しますよ」


「いえいえ!最近モロコシさんのおかげでとても体調がいいんです!俺の事はいいんですが、モロコシさんの体調の方は大丈夫ですか??」


昨日の事まだ心配してくれてるらしい。


「ええ。問題ありません。この通りです」


彼の事は心配だがあまりお節介を焼いては迷惑だ。昨日と違い今日は別々に行動する事にした。





…帰りは夕方になった。両親は昨日来たばかりだと言うのに必要以上に私を引き留めては色んな話をしたがる。中にはシカクマメを手放して実家に戻らないかと言う話まで出ていた。気持ちは嬉しいが…。


段ボール一杯の野菜を自分の車に乗せるとシカクマメに向かって走り出す。


「ペーパードライバーだから暗くなる前に帰りたいって言ったのに…。大丈夫かな」


座席に乗り込んでスマホを確認すると着信が1件来ていた。シカクマメの電話番号からだ。私は電話をすると柊さんが出た。


「どうしました?」


『モロコシさん、実はまだ知加良さんがまだ帰ってなくて…』


摩多々山は標高の低い山だ。しかし綾葉さんの体力であの山を登って他の観光地に行くほどの元気が残ってるとは考え難い。万が一の事もある。


「分かりました。部屋にかかってる鍵で戸締りして帰ってください。玄関の鍵は持ち帰って頂いて結構です。綾さんにはこちらから連絡してみます」


『分かりました』


私は電話を切ると綾葉さんのスマホに連絡した。…電波が届かない所にあるそうだ。豊玉区であれば電波が届かない所がしばしばあるが聖丘区は電波が届かない場所はあまりない。あるとすれば山道やトンネルの中などだ。私は摩多々山まで車を走らせた。


まだ綾葉さんが摩多々山にいると決まった訳ではない。もう下山して偶然電波の届かない所にいるだけかもしれない。しかし柊さんにはあまり遅くまで残業させられない。スマホの電源が切れてたり紛失してるだけで入れ違いになって帰った時は…謝り倒すしかない。何事も杞憂に終わればその方がいいのだ。


私はホームセンターに寄ってある程度支度をしてから摩多々山に向かった。山に入るとさっさと登山道を登る。幼少期に来て以来だが予算の都合か人手不足かあまり整備は行き届いていない。私は綾葉さんの名前を呼びながら山中を進んでいく。


「モロコシさん!?こっちに来ちゃ駄目だ!!」


綾葉さんの声が聞こえた。遭難したかと思えばどうやらちゃんと登山道にいたらしい。私は声のする方を探したが綾葉さんより先にある物を見つけた。大きなイノシシだ。体高は私の腰以上の高さがある。2頭。彼らは気が立った様子で木を囲っている。上を見れば綾葉さんが木に登っていた。


私はホッと胸をなでおろし彼の方へ向かう。


「良かった、こんな所にいたんですね」


「来ちゃ駄目だってば!!」


私は綾葉さんの方へ向かう。イノシシがこちらに気付いた。私が構わず木の方へ向かうとイノシシは身体の向きを変えて走り去って行った。


「ほら、もう大丈夫ですよ。降りて来てください」


彼はやや困惑した様子で木から降りて来た。


「ありがとうございます。助かりました。…でも、危ないじゃないですか気が立ったイノシシに向かって行くなんて」


「綾葉さんは大切なお客様ですから。助けるのは当然の事ですよ」


「限度があります!モロコシさんが大怪我する所だったんですよ!?」


「あはは、私はこの通りですよ。そんな事より暗くなる前に早く下山しましょう」


「もう…」


一緒に摩多々山を降りて彼を車に乗せた。綾葉さんは非常に疲れていた様で車の中で短い会話を数回するとすぐに眠ってしまった。余程疲れていたんだろう。彼は予想通り登山道を外れ遭難していたそうだ。遭難したと気付いてからは川沿いを降りて行っていたそうだが降りたり通ったりする事ができない道に出てしまい、それで迂回して降りようとすると方角も何も分からなくなり、いよいよ焦って来ると遭難した際は頂上を目指すと登山道に出やすいと言うネット情報を思い出して山を登り、やっとの思いで登山道に戻って下山している所をイノシシに襲われて木に上った。そこに私がやって来たらしい。


登山道を外れた道にいたままだったら助けるのは難しかった。彼が無事に登山道を降りて来てくれてて良かった。でなければ一緒に遭難して彼を助ける事ができなかったかもしれないのだ。


PRRRRRR…。


電話が鳴った。誰だろう。私は近くに車を止めてスマホを確認する。シカクマメから??でも今は誰もいないはずだ。私は電話に出た。


「はい、もしもし」


『もしもし?良かった、無事だったんですね』


柊さんだった。


「帰っていいって言ったじゃないですか。もう外は暗くなって来ましたよ」


『いやあの時は勢いで返事しましたがモロコシさん自ら探しに行くつもりだったでしょ?2人共帰って来なかったら救助隊呼ばなきゃいけないじゃないですか。帰るに帰れませんよ』


「綾葉さんは無事です。もう暗いのでそのままシカクマメで待っててください、自宅まで送りますので」


『親には友達の家に泊まるって伝えたのでもうそのままここに置いてください。どうせ明日は出勤なので』


「わかりました」


そうして電話を切った。


しばらく車を走らせていると綾葉さんが起きた。彼は無言で俯きがちだったので私も話しかけなかった。彼はしばらくご飯を食べていないだろうし私もお腹が空いて来たのでハンバーガー店でドライブスルーして夕食を買った。


「…モロコシさんは生きてて目の前が真っ暗になった事ってありますか?何もかもが終わったと言うか、道が途絶えてしまったと言うか」


「すみません、挫折とは無縁で生きて来たので分かりません…」


私の人生は山奥の湖の様にとても静かで波が立たない物だった。大きな夢もないからそれに敗れる事もない。何かに固執する事もないから何かを失う事で深く悲しむ事もない。これから先の事だって何も不安に思わない。


「俺は正直どう生きていけばいいか分からなくなったんです。こんな風に生きたい。きっとこれからもこう生きていく事だろう。そんな風に思っていた道が急に断たれて、何も分からなくなったんです」


「綾葉さん…」


「中津町は中学時代の思い出です。ここに来た瞬間、自分はあるべき所にある。そんな気がしたんです。大人になるにつれて多感期だった時期特有の根拠に基づかない感情だって思う様になりましたけど。ここに戻って来た時、確信に近い気持ちになりました」


今日の綾葉さんはいつになく饒舌だった。何か色々と思う事があるんだろう。私は余計な口を挟まずに彼の話に耳を傾けた。


「自暴自棄になってたんです。もう何もかもなる様になればいいって。そんな時にモロコシさんに会って…灰色だった世界が少しずつ彩りが戻って来て…」


鼻水をすする音が聞こえる。どうやら泣きだしたらしい。背中をさすってあげたいが車を運転しているのでそれはできない。


「馬鹿みたいですよね。山で遭難した時、死にたくないって思ったんです。何もかもどうでも良かったはずなのに…。登山道に戻ってこれたらたまらなく嬉しくて。なのにイノシシに会ったら今度こそ死んじゃうんじゃないかと怖くなって。木の上で小さくなってる自分がたまらなく惨めで…」


中津町に来るまでにどんな事があったのかは分からないがかなり思い詰めていた様だ。彼がこの町に来て以降の奇行の数々の意味が分かった。平気そうな表情をしながら心を病んでいたのだ。ただの変人と言う訳ではなかった。私のやった事は無駄ではなかった。余計な気遣いではなかった。


私のお節介が少しでも彼の心を蝕む痛みを和らげてあげられたならこんなに嬉しい事はない。


「モロコシさんが来てくれた時、本当に嬉しかったんですよ。でも、同時にイノシシに襲われるかもしれないって思った時に心から怖くなったんです。大怪我をしてしまうかもしれない。死んでしまうかもしれないって。もうあんな事やめてください。本当に怖かったんですから」


「ふふふ。肝に銘じておきます」


「笑いごとじゃないですよ…」


彼はそう言って口を尖らせた。それからお互いの会話がピタリと止まる。町の光がいくつも過ぎて行った。


「…夢がなくなったらまた夢を見つければいいんです。小さくたっていい。道が途絶えたならまた拓けばいいんです。それが獣道でも。生きてください綾葉さん。生きてください」


「モロコシさん…」


それからはシカクマメに着くまでお互いに殆ど喋らなかった。





シカクマメに帰ると自室の明かりがついていた。中からは美味しそうな匂いがする。綾葉さんと別れ部屋に入ると柊さんがソファで眠っていた。私はタオルケットを彼女に被せる。キッチンに向かうと夜ご飯を作ってくれていた。私が柊さんに何か料理を作ってあげた事はあったが柊さんが私に料理を作ってくれるのは初めてだ。


ご飯にアユの塩焼きに味噌汁、こっちは大根のべっこう煮もある。冷蔵庫には漬物も複数買ってあった。柊さんは読む本をまとめて近くに置く癖があってそれを本棚にしまい忘れる事が多々あるがそんな様子もない。どうやら真剣に私達の事を心配しながら待っていたらしい。申し訳ないと言うか有難いと言うか。


夕食は既に食べたがまだお腹に空きはある。綾葉さんは小食だから恐らくもうお腹には入らない。せっかく用意してもらったので温めてから頂いた。できるだけ物音は立てない様にしていたが眠りが浅かったためか柊さんは起きた。眠そうに瞼を擦りながらこちらを見る。


「おかえりなさい。ご無事で何よりです。知加良さんは?」


「無事だよ。心配かけてごめん。夕食ありがとうね、美味しいよ」


「お気に召していただけた様で何よりです。ふああ…」


柊さんは手で口元を隠しながら欠伸をした。


「今はお客さんがいないので好きな客室使っていただいて構いませんよ」


「いつも使ってるのでここが一番寝心地いいんですよ」


「では食事が済んだらここの電気を消して部屋を出るのでそれまで待っててください」


「家族なんですからそう気遣う事もないでしょうに。おじいちゃんが他人行儀で私は悲しいですよ」


そう言うと目を瞑りすぐに寝息を立てて眠った。信頼されているのは嬉しいが少し無防備過ぎるのではないかと思う。彼女は普段は学校でどう過ごしているのだろう。勉強はちゃんとできているだろうか。友達とは上手くやっているだろうか。綾葉さんみたいに何か思い詰めたり困ったりしていないだろうか。いつも冗談を言ったり変な事を言っているが、もしいつかちゃんと信頼関係を築けたなら心を開いて話してくれるだろうか。


彼女の発言の真意は良く分からないが下手な気遣いが返って彼女を傷つけたりしない様に私は自室で寝る事にした。歯を磨き電気を消すとそのままベッドに向かう。ベッドで横になって天井を眺めた。


頭に浮かぶのは綾葉さんの事だ。今日初めて隠していた内心を打ち明けてくれた。彼にはまだ心の支えが必要だ。彼は後3日で中津町を去ってしまう。それまでに彼の心を癒すなんてとてもできない。


「はあ……」


もしも中津町を出て元の生活に戻って心がまた病んでしまったら?またここに戻って来るだろうか。あるいは…。大きな夢を持たない私には彼の心に負った傷の深さが計り知れない。だからどうしてあげる事ができるのか分からない。


どうしたらいいんだろう。どうすれば彼に生きる希望を持たせる事が出来るんだろう。自分にできる事はなんだろう。そんな自問自答は暗い意識の底に沈んで行った。





起きた。私は大きく背伸びをすると顔を洗って口をゆすぎ、冷蔵庫にある牛乳を飲んだ。それからラジオ体操をするためにミニコンポを手に持った出口に向かう途中で。ソファで眠っている柊さんが寝返りを打ってあっちを向いた。


「アシモフ…アシモフ…!」


どんな夢を見ているんだろう。そう思いながら外に出るとラジオ体操を始めた。すると近くを自転車に跨った武渕さんが通った。お互いに挨拶を済ませる。それからミニコンポを持って自室に戻ると綾葉さんのいる部屋の方からドタン!と大きな音が聞こえた。


「綾葉さん!?」


私は急いで駆け寄り彼の部屋をノックする。


「綾葉さん!??大丈夫ですか??」


しばらくするとのそ、のそと足音が聞こえてドアが開いた。苦笑する綾葉さんのでこが僅かに赤い。


「すみません、山登りであまり使わない筋肉を使ったせいか筋肉痛でして。ちょっと転んでしまいました」


「はあ、良かった。何事かと思いました」


「ご心配かけてすみません」


「いえいえ、いいんですよ。筋肉痛だとあれこれと不便な事も多いと思いますし、何か困った事があれば申しつけください」


「ありがとうございます。まあ、今日1日は部屋でゆっくりする事になりそうですね。トホホ…」


綾葉さんはとても残念そうな顔をしている。後2日だというのに可哀そうだ。どうにか力になってあげられないものか…。そう考えているとピンとある事を思い付いた。


「そうだ、綾葉さん一緒に伊多区の鍾音岬に行きませんか?駐車場から名所まで近いですし、帰りはオタグロ温泉に寄れば筋肉痛に効く湯もありますよ!」


「本当にいいんですか?」


「いいんですいいんです。私がやりたい事なんですから」


申し訳なさそうにしながらも承諾してくれたので私は早速と自室に帰って支度をする。まだソファに寝転がりながらうとうとしている柊さんに今日は仕事を休んで一緒に伊多区を観光しないかと誘った。彼女は少し考えたが一緒について行く事になった。


支度を終えると戸締りをして車の乗り込む。それからコンビニに寄って飲み物と朝食を買って伊多区に向かった。


「そう言えば昨日言った摩多々山なんですけど、あの山に関する話とか看板って見なかったんですよね。ネットじゃ観光地ってなってましたけど…」


「摩多々山は…何だったかな。うーん…」


ずいぶん昔に少し聞いた事がある気がするが忘れてしまった。殆ど印象に残っていない。ただ何もない観光地と言うぐらいの認識しか…。柊さんが後部座席から少し身を乗り出すと摩多々山について話し出した。


「伊多区の村には大層な美人がいたそうなんです。その噂は遠くまで広がったらしくそれを聞いた摩多々と言う天を突くほど大きな巨人が村を訪ねて美人を寄越せと言いだしました。美人の親は家の裏の山より大きな山をそこの平地に一晩で作ったらくれてやると約束すると、その巨人は山を押して平地に動かし、周辺の土抉って掬い山の上に被せました。その後、巨人は呆気に取られた親に約束通り貰って行くと言って美人を掴んでどこかへ去って行ったそうです。そんな逸話のあるお話があの摩多々山です」


「そんな話があったんだ…知らなかった」


驚いた私の顔を見て少し得意げになる柊さん。助手席にいる綾葉さんは気になる事がある様でそれについて彼女に尋ねた。


「それで、その美人さんは連れ去られたままなんですか?」


「ヒラツラミって言う神様が取り返して村に戻したって言う話もあるそうですが、これは後世につけ足された話って言う噂です」


「ヒラツ…?」


そう言えばもうすぐ神慰祭か。すっかり忘れていた。私は近くのポスターを眺めて思った。目的地まではまだ時間がある。ヒラツラミは私も知っている神様だ。柊さんも知っている様子なので今回は彼女に説明を譲る事にした。


そろそろ外も暑くなって来たので窓を閉めてクーラーを入れる。近くで給油もしなきゃ…。


ペンタブが壊れたから!!!!!!!!!!!!!!!!!!!小説執筆に集中します!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


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