許可が出た事とやる事は別のはずなのだと思いたいが…拒否権はないのである。 その1
「今日のブレンドティーはなんだか落ち着かないですぅ」
「あたらしい試みだからねぇ」
「複雑なお味になりました」
「きっと君の心情をくみ取っているのさ」
「そ~ですぁ…」
「そーだよぉ」
私達の住まうフルートルゥフ領は危険が危ない状態になってしまった。
現在の所とても落ち着いているんだけれど…
「天地る地知る人が知る!我は地獄からの使者!」
―ちゅどーん―
「罪を憎んで人を憎まず!
この世に我らがあるがきり罪の栄える場所はない!
王宮戦隊只今見参!」
―ぼかーん―
「今日もわが領内は「平和」だねぇ…」
「そーですねぇ」
正義と悪の軍団と戦隊が自身の正しさを示す為に、
日夜戦い続けているフルートルゥフ領は今の姿が平和の形なのだ…
そうなってしまったのだ…
国外がきな臭くなっている以上、しかたがないっちゃぁ仕方がない。
フルートルゥフ領がグランユールに対しては最前線であり、
レーゼルバルトを挟んで悪と正義は綿密に情報を交換し続けている。
そして悲運に引き裂かれるアリーシェ姉様とアールガンお兄様…
この悲しき物語は悪の女幹部の手によって王都にてミュージカルとなり、
最前線?の戦いにガファッシャルドの国民は注視している。
お屋敷を正義の戦隊長に譲って既に半年。
私達の新居もオートマタの活躍もありちゃんと完成し、
行政機関はちゃんと移動して領内の内政に関しては、
順調に回せるようになったけどさぁ…
新しい課題である学園の設立に私は奔走する事になり、
全然休む時間がない。
そもそもどうやって学園を設立すればいいのさ?
誰が通う事になるの?
そんな疑問は一瞬にして吹き飛ぶことになったのだ…
「大丈夫よミルマーヤ!
既に学園への入学希望者に対して告知は済ませているの。
それでね?
入学希望の生徒の数は60人程度まで増えているわ!」
「…一応念のために確認ですが、全員貴族なのですか?」
「勿論よ!その他に商人達からの子息令嬢達も入学を希望しているわ!」
「へ、へぇ…」
「ちゃんと幼少期の生徒にも対応できる学園にしましょうね!」
「あ、はい?」
「だってミルマーヤ言っていたでしょう?
才能が何時開花するかは解らないって!」
「時間をかけて色々な才能を育てた方が未来が広がるって!」
「え、ええ。まぁ…」
確かに言ったんだけどさ?
それは姉様が第3王子妃になったからなんだよぉ?
「王子殿下はとても男らしくてカッコイイのだけれどね。
気質なのか、周囲の人材に偏りが見えるのよっ!」
「足りない所はルフェリナ姉様が補佐するから問題ないでしょう?」
「確かにそうなのだけれど。
…それでもその意を汲んでくれる人がいないのは辛いわ」
「気持ちは解りますが、ならそれに見合った人材を見つけてくれば良いではありませんか」
「他国の王家に入るのよそう簡単にそういった人は見つけられないわ」
「姉さまらしくないですね?
無いなら作れば宜しいのですよ」
「そういった機会はあまりないのよ」
「いいえ。違いますよ姉様?無いのではなくて「見つけていないだけ」です」
「へ?」
「姉さま。人には才能と適正という物がありましょう?
ですがその才能と適正はやらせてみなくては解りません。
人は「やりたい事」と「才能」が合致しているとは限らないでしょう?」
「確かにその通りね…」
「実は護衛に付いてくれた騎士は書類整理が凄まじく早い人かもしれないのです。
ですが剣も「そこそこ」使えてしまったために、その才能に気付かなかったとか」
まぁそんな偶然がそうそうある訳ないんだけどねぇ。
そもそも王宮の騎士達でしょ?
誰が何をやってもそれなりに出来る人達に集まりでしょうよ。
「そうね。ミルマーヤの言う通り見つけて見出せば良いのよね」
「本来なら教育の場を設けてどんな才能が埋もれているのか解らないので、
時間が許す限りやらせてみるべきなのですよ。
幼い頃にその才能を発見できれば…
後は優秀な先生を用意してあげて才能を引き延ばしてあげるだけで、
国は更に豊かになっていくでしょう」
まぁ、そんな場所ないんだけどねぇ。
そもそもガファッシャルドは裕福になったばかり?だから。
そう言った意味では才能を見つける場所は合っても良いと思うけれどね?
「長い。長い道のりになりそうね」
「それでも、その一歩を「誰か」がやらねば次はありません。
いつか「誰か」がやってくれると信じましょう」
「ええ。
ミルマーヤ?きっとその役割は私に近しい人が良いと思うの」
「そうですねぇ…
姉さまは優秀ですからそれを補佐して保管してくれる方が、
教育の指針を決めればガファッシャルドはより豊かに。
そして強くなれると思いますよ」
「ええ!」
「頑張って下さいね未来の第3王子妃様?」
「まぁ!もう決まってしまったかのような口ぶりね?」
「だって姉さまが、ギルグレイザー王子殿下の周囲を気にすると言う事は、
改善したいと言う事でしょう?
そして改善しなくてはいけないのは当然…そういう事なのでしょう?」
「そんなっ…私と殿下がなんて…
とても素晴らしいお相手でいらっしゃったのよ!」
パックル王子と比べりゃ誰だって素晴らしいと思うけどねぇ…
とは口が裂けても言えなかった。
余りにも相手がバカすぎる。
あのバカ王子を諫め続けた姉さまを見ているからこそ…
比較対象が悪すぎてギルグレイザー王子殿下に申し訳が立たなかった。
粗暴で悪の組織のリーダーに相応しい風格のお方であったが。
ルフェリナ姉様越しに見るギルグレイザー王子殿下とても愛妻家。
そして姉様を大切にするお方だったのだ。
でもなければ無血でレーゼルバルトを陥落なんて出来ないけどね。
グランユール連合王国の世代交代に失敗した結果でもあるのだけれど。
「あの時からフラグが立っていたのですかぁ姉さまぁ?」
「ミルマーヤ?現実逃避したいのは解るが、
動かない訳にはいかないからね?」
「わかってますよぉ」
「それで学園に必要な物を揃えなくてはね?」
「はぃ…」
建物・家具・教材。
始めは私塾程度から軽―く始めたいなぁと言う願いはぶち抜かれ、
私はガファッシャルド王都に何度か足を運ぶことになってしまったのだ。
何故って?
そりゃ王立学園の分校的な立場になれば色々と融通してもらえると思ったからね。
まずは既存の設備を最大限に活用するのだ!
次回の更新は明日の20時です。




