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こうして物語は捻じ曲がる。1-1

とあるゲームの悪役令嬢…の妹は癇癪を起して苛立ちを隠さない姉に助言してしまう。

平民の女生徒に唾を付けられた王子様にこだわる必要はないのでは?と。

スペックが高すぎた悪役令嬢は妹の助言に「それもそうね」と思い動いてしまう。

秩序と規律のピラミッドである「貴族」と言う統治方法に皹を入れる新しい概念を打ち出した

平民の女生徒の出現と王子との婚姻が原因で国の序列と秩序は乱れまくる。

そしてバタフライ効果のごとく世界は動いてしまうのであった。

優秀な悪役令嬢は切っ掛けさえあれば羽ばたくだけの力があるのだ。

そして羽ばたいてしまった結果「乙女ゲーム」の世界は崩壊するのである。

国境を守る公爵家レーゼルバルド家の一室。

そこで一人の女性が感情を隠せず怒りを隠そうとも出来ずにいた。


「こんな事ってっ!こんな事ってありえるの?」


癇癪を起してイラつい態度を隠そうとしないのは、

私が妹だからであってそんな姉を私はのほほんと見守っていた。

私の前でしか姉ルフェリナ・レーゼルバルドは感情をほとんど表さないからね。

いやさ妹の私が言うのもなんだが姉は完璧なのだ。

淑女の中の淑女と言われるほどに優秀で令嬢としても見ほれられる。

そんな人なのである。

だからこそ王家から第2王子バックル・グランユールの婚約者として

打診されて収まった。

第2王子あるバックルはそんなに悪い人じゃないけど

他人の意見にものすげー流されやすい人だったのだ。

その流される先を誘導して良い方向に導いてあげながら、

優秀なルフェリナ姉様はパックル王子を立派に支えて、

婚約者として足りない部分を補っていたのだ。

いままでは…


現在ルフェリナ姉さまは連合王国の貴族が集い学びを得る場として作られた、

グランユール学園の生徒として学びを得ている。

ルフェリナ姉様に学ぶことがあるとは思えんのだがそれも姉様曰く、


「貴族の嗜みなのよミルマーヤ(私の名前ね)にも何時か解るわ」

「そーなのね」

「そうなのよ」

との事だったがやっぱりルフェリナ姉様が、

通う必要があるのかやっぱりわかんない。


当然婚約者であるパックル第2王子は同い年であり、

貴族の中でも王族が集い通う専用の学び舎で勉学に励んでいるはずだ。

その場は貴族としても繋がりを持ち卒業するまでに、

人脈を作る大切な所なのである。

一部平民も混じるその学園では優秀な人材とつながりを創る場所でもあるのだ。

実力主義とは言い過ぎかもしれないけれど、

それでも家に足りないと思える人材を確保する重要な役割も兼ね備えていた。

学園のあり様は次世代の爵位を継ぐ跡取りの為の練習場であると同時に、

自身が治める領地の未来を考える時間でもあるそーで?

その辺りは跡継ぎとして育てられた人しか解らない苦悩もあるんじゃなかろうか。

平民と違い「領地を治める」と言う事を常々考え続けなければいけない。

でなければ「未来」に押しつぶされるのだから。

んで色々な「人材」として集められた優秀な果実の一つが、

ルフェリナ姉様の婚約者であるパックル王子に、

ちょおっと戴けなちょっかいをかけてくるのだそうで…

けれどその第2王子様も満更でないみたいなのだ。


ルフェリナ姉様からすれば婚約しているのにも関わらず、

折角綺麗に育て上げた「美しい果実(パックル様ね)」にちょっかいをかけ、

収穫までもう少しの所でもぎ取られそうになっている事に、

苛立ちを覚えているらしい。

実にルフェリナ姉様らしいのだが…

…ん?あれ?


「姉さま?他人の垢まみれになって汚れた果実に価値はあるのですか?」

「…へ?」

「確かに姉さまは「美しい果実」を作りましたが…姉さまが手入れをしなければ、

腐り落ちてしまう様な脆弱で弱々しい温室の果実の様な気がするのです」


優秀で皆に慕われる第2王子様はひいき目の私からすれば、

ルフェリナ姉様に守られたひょろっひょろの木々にしか見えなかったのだ。

パックル王子の公務として色々な所でミスや物忘れをして周囲を困らせるも、

その旅に「こんなこともあろうかと!」と表現できそうな万能優秀お姉さまが、

その穴埋めをしていたのだ。

対談のお相手の立場さえしっかりと思えていなくとも、

ルフェリナ姉様が全て覚えているから扇子で口元を隠して耳打をして、

どう答えれば良いのかを教える事もかずしれず。

そうやって何度となく支えてきた事に対して近頃は


「私は操り人形じゃない!」


とかなんとか文句を付けて来たらしいのだ。

だったらちゃんと覚えてろよと言いたくもなるが…

過去のルフェリナ姉様の「アシスト」は、

悉く洗脳だのなんだのと言いだしたらしい。


「僕は操られていたのかっ!

駄目だルフェリナ!貴様はこれ以上私に指図するな!」



と何を思ったのか覚醒?したっぽいのだ。

…複雑な貴族同士の利害関係の中でパックル第2王子を中心とした、

派閥を綺麗に形成して利害関係で問題が起こらないようにしているのは。

ルフェリナ姉様の緻密な計算の元行っている交渉の賜物なのだと私は思う。

少なくともあの冷や汗が出る様な大人顔負けの交渉が出来る忍耐力を持つのは、

相当な場数を踏まなくてはいけなかっただろうし、

その経験を小さい頃からお父様とお兄様に連れだって行動していた、

姉様だから出来る事なのだろう。

我が家は公爵家と言う高い立場であるが隣国との国境を守る国防上重要な、

拠点をいくつも任された家である。

王家は家をないがしろには出来ないだろうしする事は国防的にも宜しくない。

だからこそ「不釣り合い」な婚約であっても結ばれたのだ。

同時に私が嫁ぐ相手も決まっている。

隣接する国家の台所と呼ばれる食糧生産を一手に担う一大生産拠点と言われた、

フルートルゥフ伯爵家の子息カラード伯爵子息と婚約しているのであった。



当然いざとなった時実家を支援して戦争を支える事が目的なのだ。

次世代の国家の枠組みの根幹は既に先代が決めてしまっているのである。

物心つく前から顔合わせしていて相性を確認され友好でなくとも、

関係が破断しない程度の結婚生活をする事は「貴族」として果たす責任である。

そして次代の血を残す事も果たさなくてはならない。

しかしルフェリナ姉様の話を聞けば聞くほど「破断」した関係は戻せそうもない。

ともなれば姉さまがそのパックル第2王子にこれ以上時間を割く事こそ、

国家の損失ではなかろうか。


「もちろん消費してしまった時間は取り戻せないでしょうが…

これ以上の損失を抱え込まない様に婚約は「無かった事」に。

「解消」するべきではないでしょうか?

言っては何ですが…

ルフェリナ姉様は王子に嫁ぐより隣国の王家と関係を深めるべきかと」

「…それもそうね。

確かにあのぼんくらをこれ以上育てても国境の安寧は得られないわ。

それなら隣国の王家もアリね…

流石わが妹ね!早速お父様に打診しましょう」


…へ?出来んの?出来てしまうの?

敵国の王家なんてマジで危険地帯でしょうに…

そこに嫁いでも勝算があると申されますか我が姉は?!

それからのルフェリナ姉様の動きはとても速かったのである。

お父様に頼み込み第2王子との関係を速攻で解消してしまったのだ。

そして相性を見る(なんの?)という名目の元に、

隣国への留学を決めてしまったのだ。

唐突の申し出に隣国の学園は驚くも直ぐに姉の留学を受け入れ、

そして「ごく自然な形でパートナーが決まっていなかった王族」

ギルグレイザー第3王子との対面を果たしていた。

見切りの速さもさることながら隣国に入り込み。

ギルグレイザー王子の求めるがままの才女としての才覚を示し、

見事ギルグレイザー王子との婚約を果たし、

ギルグレイザー王子を鍛え始めてしまったのである。

相性はばっちりだったらしい。

(なんの相性がばっちりだったのかは聞きたくない)

そうなると私の婚約はバランスを取るために解消されるかと思いきや、

そうはならずそのままだった。

国家の台所と関係を深める事を許した背景には姉さまが王家に嫁ぐと言う、

前提があったからなんだけどね。

いざとなった時に王家ではなく公爵家を支援される事になれば、

王家としては大打撃となることから保険として王家に歯向かわないようにとの、

理由もルフェリナ姉さまが嫁ぐ理由の一部だったはず。

私と隣接する伯爵子息との関係も良好だった事も、

破棄させられないと言い張れる理由になったみたいだけど…

公爵家が裏切らない様にと。

王家に嫁いでいわゆる人質としての立場も姉さまにはあった。

婚約破棄の原因を作ったのは第2王子であり「婚約解消」と言う、

譲歩を見せたお父様にこれ以上に借りを作らない為には、

私とカラード伯爵子息との関係まで終わらせる事はさせられなかったのだ。

お父様には感謝感謝である。

次の年に私とカラード伯爵子息は学園に入学する事になったのだけれど…


そりゃーもう注目を集める事になったのだ。

学園の秩序は荒れていた。

荒れない訳がない。

だって婚約解消した事で第2王子のパートナーは平民の娘である。

そしてシンデレラストリートしてラッブラブなバカップルを中心に置いた、

薄っぺらい寸劇を見せられるのだ。


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