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童話・児童書などまとめ

逃げ続ける卵

作者: 反逆の猫



 たまごが転がる。


 どこまでも転がっていく。


 ひとりでに転がっていく。


 それは、中にヒナが入っているから。


 生まれたくないヒナが入っているから。


 だから転がる。


 どんどん転がる。


 勢いをつけて転がっていく。


 なぜなら、たまごは思ったから。


 生きていく事は大変そう。外の世界をうかがって、そう思ったから。


「この子大丈夫かしら」


 なのに。


 心配した親が卵を割ろうとするので、ヒナが入った卵は逃げ続けなければならなくなった。


 割られたくないなら、逃げるしかない。


 とどまっていたら、危ないから逃げるしかない。


 けれど、


 けれども。


 卵はどこかでピッタリ停止。


 うんともすんとも言わず、そこで止まってしまった。


 ヒナがどんなに動かそうとしても、たまごは動いてはくれない。


 別の種類の卵をなくしたばかりの鳥が「あら私の卵、こんなところにあったのね」と言って、大事に大事に抱えて、持っていってしまっているから。


 だから、別の巣の中にさらわれたその卵は、「私違う子です」とは言えず、ずっと卵の中にいるしかなくなった。


 そしてまた「こんなに長くふ化しないなんて、中にいる子供は大丈夫かしら」となって、割ろうとした鳥から何とか逃げださなければならなくなってしまうのだった。



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