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36/54

36.食事に好みがあるようです ※一部マリア視点

 ロンリーコンとショタッコンは倒れたドラゴンを見ていた。


「まさかと思ったが、本当にキラーマンティスを倒すとは思わなかったぞ」


「さすが神の子だね」


 傷口を熱心に見ているのか、どうやって倒したのか話している。


「これってドラゴンじゃないの?」


「ドラゴンは森では見ないぞ? これはキラーマンティスと言って虫系の魔物だ」


 どうやら倒したのはドラゴンではないらしい。だから、少し気持ち悪い顔をしていたのか。


 虫系の魔物にあったことはないが、きっと他の魔物も気持ち悪い顔をしているのだろう。


 なるべく僕の家族には見せたくないな。


「こいつらも俺らが運ぶけどいいか。きっとお金になるからな」


 僕は二人にキラーマンティスを運ぶのをお願いした。





 冒険者ギルドに戻ると、早速集めた薬草とキラーマンティスを渡す。


「これはお二人が集めたものですか?」


「いや、全部リックがやったものだ」


 ギルドスタッフは驚いた顔で僕を見ていた。確かに動きは早かったが、そこまで驚くことなんだろうか。


「本当にリックくんが討伐と採取をしたならDランクにあげないといけないですがどうしましょう」


 Dランクといえば、やっと駆け出し冒険者を卒業できるぐらいだ。そこから上のランクは決まった依頼や模擬戦をしなければ上がらない。


「いや、こいつはこのままで良い。どうせ俺達がいたから、不正して手伝ってもらったと思われるからな」


 貴族の冒険者にも実力に見合わないランクの人もいるらしい。それは、高位ランク者に手伝ってもらいランクを上げているらしい。


 それを減らすために依頼と模擬戦が用意されている。


「僕もこのままで良いですよ。目立つのは困りますし」


 きっと僕が目立つと、あの冒険者達に見つかってしまう可能性がある。


 だから、僕が大人になって、家族を守れるようになったら立派な冒険者になるつもりだ。


 それまでは今の幸せを噛み締めながら生きていこう。





 家に帰るとマリアは部屋で何かをしていた。


「薬草持ってきたよ?」


「おっ、お兄ちゃん!?」


 マリアは必死に何かを隠そうとしていた。何を隠したのかは見えなかったが、マリアにも見られたくないものがあるのだろう。


 僕はたくさん持ってきた薬草を渡す。今回は光っている薬草ではないが、毛玉も食べるのだろうか。


「毛玉ってどうやってご飯を食べるの?」


「あー、えーっと……こうやってやれば食べるのよ」


 マリアは毛玉の中に薬草を入れていく。まるで毛玉に薬草が生えている状態だ。


 だが、しばらく待っても薬草がなくなることはない。


「これって本当に食べて――」


「毛玉ってすごく食べるのが遅いのよ! お兄ちゃんも疲れたと思うから体を洗ってきたらどう?」


 そういえばさっきクリスが湯浴みの準備ができていると言っていた。


 湯浴みが何かはわからないが、体を洗ってきた方が良いのだろう。


 僕が部屋を後にすると、どこか部屋の中は騒がしくなっていた。





 必死に毛玉に薬草を食べさせるが、毛玉は一向に口を開けようとしない。むしろ口がどこにあるのかもわからない。


『拙者、薬草は食べられないでござる』


『お前マリモなのに食べられないのか!』


『マリモは何も食べないでござる。食べるのは空気中にある魔素だけでござるよ』


 何かモススと毛玉が話しているようだが、私の耳では何を言っているのかわからない。


 ただ、この間にある程度薬草を消費しないと兄が怪しむだろう。


 私は鞄を開けてモススの子どもを取り出す。だが、出てくるのは繭玉ばかりだ。


 薬草を持ってきてもらうように頼んだのに、夕方には全て繭玉になっていた。


 だから今薬草を食べれるのは私かモススしかいないのだ。


 私はモススの口に薬草を詰める。


『オラも肉食なのだあああ!』


 モススは抵抗するように首を大きく振る。なぜみんな薬草を食べないのだろうか。


 薬草をどうするか戸惑っていると、新しく家族になったタマが近づいてきた。


『タマ……薬草……スキ!』


 なんと猫のタマが薬草を食べ始めたのだ。私の知っている猫とは違うが、もうそんなことはどうでも良い。


 兄が猫と言ったらもう猫なのだ。


『新人ここは任せた!』


『拙者、タマ殿を尊敬するでござる!』


「タマ様よろしくお願いします!」


 私達はタマに頭を下げながら薬草を食べてもらった。

可愛いモススのためにブックマーク、★★★★★評価よろしくお願いいたします。

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