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ガチャテイマーはもふもふを諦めない。〜フェンリルを求めてガチャを回すがハズレのようです。代わりに来たもふもふをモスモスしたら幸運が訪れた〜  作者: k-ing☆書籍発売中
第三章 もふもふはモシャモシャ

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25.猫とお別れのようです

「スパイダーって猫のことを言うんだね」


「ネコ……だと?」


 オーブナーに剣を向けられても、僕がもふもふとしていたら逃げることもなく、その場で丸まってゴロゴロと鳴いている。


「ほら、ゴロゴロと言っているよ」


 オーブナーがゆっくりと近づくと、猫は存在に気づき遠くへ逃げてしまった。猫って知らない人が来ると逃げる習性があるからな。


「オーブナーさんが驚かして逃げちゃったよ」


「あっ……すまない」


 僕が怒るとオーブナーはおどおどとしている。再び猫に近づくと、オーブナーには警戒しているものの僕には近づいてきて体を擦り付けている。


 やはり犬も可愛いが、猫も気ままで可愛い。


 今後この野良猫と触れ合う機会がないと思い、僕はさらにもふもふとしていく。


 ゴロゴロと地響きのように低い声が鳴り響くと、猫の体は輝き出した。


 あれ……?


 猫って光る生き物だったのか?


「リック!?」


 あまりの眩しさに目を閉じる。その瞬間、体が持ち上げられた。


 目を開けると木の後ろに身を潜めていた。


 どうやら心配になってオーブナーが僕を抱えて、木のところまで逃げてきたのだろう。


「大丈夫か?」


「僕は大丈夫だけど、猫は大丈夫かな?」


 ゆっくりと木の後ろから猫がいたところを見ると、もう姿は消えていた。


 その場にあるのは黄土色に輝く大きなコイン。


 なぜかガチャコインが猫がいた場所に落ちていたのだ。


 突然いなくなった猫に悲しい気持ちになってくる。


 別れの挨拶もできないまま、どこかに行ってしまった。


「これはなんだ?」


「これがガチャコインです。この間の謎の大きいやつを呼び出すのに必要で」


「ああ、例の毛玉を吐き出したやつか」


 それだけ聞いたら謎の大きな物体も猫のような気もしてきた。猫もよくオエオエとして毛玉を吐き出していた。


 僕はガチャコインを鞄に入れると、オーブナーに手を繋がれる。


「リックは手を繋いでおかないとすぐにどっかいくからな」


「もう12歳だからそんな心配しなくても――」


「お前はすぐにどこかへ行くからダメだ」


 頑なにオーブナーは拒否をして手を離さないようだ。


「オーブナーさんの手って大きいですね」


 久しぶりに大きな手に握られると、小さい頃に父と手を繋いで買い物に行っていたのを思い出す。


「そうか?」


「うん! 大きくてゴツゴツしてて、頑張っている手です!」


 鍋を振っていることが多いからか、手には潰れたマメがたくさんあった。毎日僕達の料理を作るのも大変なんだろう。


 どこかオーブナーは恥ずかしそうに照れていた。


「おーい、リックは見つかったか?」


 遠くからロンリーコンの声も聞こえてきた。僕が手を振ると、わずかに見えていたのだろう。笑いながら近寄ってきた。


「お前達手を繋いでどうしたんだ?」


「リックはすぐに迷子になるからな」


「んっ……それって僕が悪いんですか?」


 僕はちゃんと薬草を採取していただけだ。全て僕のせいにされたら納得できない。


「あー、俺達もちゃんと見てなかったからな。これで迷子になることもないだろう」


 反対の手をロンリーコンが握ってきた。これで僕の両手は塞がってしまった。


「糸は見つかったから帰るぞ」


 どうやら糸が見つかったところで、僕がいないことに気づいたらしい。ロンリーコンが遅れたのは糸を回収していたかららしい。


「これでマリアも喜ぶね」


「ああ、そうだな」


 僕は再び迷子にならないように、手を繋ぎながら帰ることにした。二人とも背が高いからか、少し足が浮いていた。


 決して嬉しくて浮いていたわけではない。僕はもう12歳だからね。


 帰った後にショタッコンが泣き叫びながら、僕と手を繋ぎたいと言ったのはここだけの秘密だ。

可愛いモススのためにブックマーク、★★★★★評価よろしくお願いいたします。

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