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19.頭の上はモススの居場所のようです

 朝起きると僕はベッドの中で眠っていた。ご飯を食べていた記憶はあるが、いつのまにか寝ていたようだ。


 隣にはまだモススとマリアが寝ている。


 僕はゆっくりベッドから出ると、鞄に入れていた大事なものを取り出す。


「これであのフェンリルに会えるかな」


 コボルトを倒した時に手に入れたガチャコインだ。あの時はロンリーコンとショタッコンが来たから、使う機会がなく鞄に入れていた。


 昨日はそのまま寝てしまったため、ガチャを回す時間がなかった。


 部屋から出た僕は人目につかないように外に出た。宿屋の真裏にちょうど何もない広い空間があった。


 地面にいくつも削れた跡があるのは、剣術や格闘術を練習する場所になっているのだろう。


「いでよ、ガチャテイム!」


 スキルを発動すると、お馴染みの角張った物体が現れた。今回で見るのは三回目になる。


 相変わらず何かわからないものに、ただただ驚くばかりだ。


「こんなとこに魔物か!?」


「オーブナーさん?」


 洗濯物を干そうと歩いていたのだろう。ベッドのシーツを角張った謎の物体に投げて、僕を抱えて後ろに下がる。


 あまりにも一瞬の出来事で、目で何をやったのか追うことができなかった。


「なんでこんな街中に魔物が侵入してきてるんだ。警備隊はなにを――」


「あのー、あれ僕のスキルなんです」


「へっ!?」


 オーブナーは僕と謎の物体を交互に見ている。僕は説明するために、降ろしてもらい謎の物体に近づいた。


 一度見せてから説明した方が早いだろう。


 取っ手を掴み、ぐるりと一周させる。今度こそあの時にあった同じ見た目をした、純血のフェンリルを願う。


――ポンポン


 穴から大きな球体がコロコロと足元まで転がってきた。モサモサとしたその姿は、どこかで見たことがある気がする。


「毛玉!」


 昨日コボルトを倒して手に入れた毛玉に似ていた。色はコボルトよりは黒のような深緑に見える。


 魔の森で手に入れたのも毛玉とは色が異なるが、何か関係しているのだろうか。


 再び警戒しているオーブナーには気にしないでと手を振る。


 謎の毛玉を持ち上げると、やはりコボルトに似てモサモサとしていた。


――――――――――――――――――――


[ステータス]

【名前】 毛玉

【種族】 マリモ

【制限】 無制限

【筋力】 3

【耐久】 85

【敏捷】 5

【魔力】 79

【幸運】 80

【固有スキル】 アブソーブカウンター


――――――――――――――――――――


 どうやら名前も毛玉と決まっているらしい。ひょっとしたら、出てきたタイミングで"毛玉"と言ったのが原因なんだろうか。


「それでそいつはなんなんだ?」


 オーブナーは近づいてきて、腕の中にいる物体が気になっているのだろう。


 色んな角度から見ているが、彼も何かわからないようだ。


『キュー!』


 どこかからモススの声が聞こえてきた。


 僕はオーブナーが来た方を見ると、遠くの方には目を光らせたモススがいた。


「これはマリ――」


「マリ……?」


 名前を伝えるタイミングでなぜか言葉が出なくなり、名前を忘れてしまった。もう一度毛玉のステータスを確認する。


――――――――――――――――――――


[ステータス]

【名前】 毛玉

【種族】 コボルト(マリモ)

【制限】 無制限

【筋力】 3

【耐久】 85

【敏捷】 5

【魔力】 79

【幸運】 80

【固有スキル】 アブソーブカウンター


――――――――――――――――――――


「コボルトの毛玉です!」


「ああ、そこからアイテムが出てくるのか」


 すぐにスキルについて理解したのだろう。少し違う気もするが、訂正しようと思った時には洗濯物を回収してどこかへ行ってしまった。


 洗ったシーツを再び洗い直さないといけないため、汚れが残る前に急いでいなくなった。


『キュ!』


 モススは鳴きながら、遠くから羽をバタバタとして走ってきた。


 羽が生えている亜種のフェンリルだが、まだ飛べないようだ。


 フェンリルだから走るのが速いため、別に飛べなくても問題はないだろう。


 僕はモススを迎えるために、毛玉を頭の上に乗せて手を広げた。


 近寄ってきたモススは頭に乗っている毛玉を見て睨んでいる。


『キュキュキュキュ!!!』


 何か怒っているのだろう。足元に来ると、脚をバタバタとして地面を蹴っている。


 モススは腕を伝っていくと、おもいっきり頭の上に乗っている毛玉を蹴り飛ばした。


 コロコロと体を伝うように転がっていたが、頭の高さから降りたら痛いだろう。


 僕は毛玉を抱きかかえると優しく撫でた。


 どうやら頭の上はモススの居場所らしい。新しい家族にモススは嫉妬していた。


『キュー!』


 それでもモススは気に食わないのか、僕の髪の毛をずっと引っ張って何かを伝えようとしている。


 モススよ。


 そんなに引っ張ったら僕はハゲになってしまう。

可愛いモススのためにブックマーク、★★★★★評価よろしくお願いいたします。

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