人喰い桜の都市伝説
お題チャレンジ初書き推理小説です。推理ってめちゃめちゃ難しいですね( ᐛ )
正直簡単な謎で推理よりホラーな気がしますが推理として書いたので。書いたので!!(ゴリ押し)
この街には都市伝説が囁かれる桜の木が1本生えている。
“この桜は人を喰う”。
時々、特に美しく咲く年があり、それは決まって、人の消えた翌年。
いなくなった人間は決まってその桜に接触しているらしい。
◇
いきなりバン、と机が叩かれた。
「“あの”桜の下に黄金が埋まってるんだってよ!」
「そうか。担当外だオカルト同好会に帰れ」
「ええー!!」
「ええーじゃない余所に行け。こっちは推理のプロじゃないし“あの”って人喰い桜だろう」
高校生にもなって口を尖らせているコイツは幼稚園からの腐れ縁だ。毎回のようにこんな話ばかり持ってくるが、一体どこから仕入れてくるんだ?
「だって頭良さそうだし」
本を読んでいれば頭がいいとは甚だ遺憾な考え方である。ただ好きなだけだ。
「黄金探しはやめておけ」
どうせ碌なことにならん。
「見つけたら一獲千金だぞ!?」
「ある訳ないだろそんなもの」
即座に返す。該当の桜は寂れたとはいえ公園の中にあるんだぞ。
◇
この街では数年に1度、行方不明者が出る。
そしてその多くは思春期頃の青少年で、直前に家族と仲違いしていたことが判明済みだ。
1番近いのは一昨昨年で、やはり仲違いしての出奔で家出と処理されている。
◇
……………………連れ出された。
「まだ読み掛けだったのに…………」
「もう放課後だしいいだろぉ……。帰ろーぜ?」
恨みがましい目が止まらない。こんなくだらないことで。この腐れ縁めが。
「なになにー?デートぉー?」
「腐れ縁と言っている」
同級生に返す言葉が地を這う声にもなろうと言うものだ。
◇
公園に着いた。
「今年は桜が美しくアーリマセーン……」
普段着としては少々奇抜な服装の画家の青年は肩を落としている。なぜそんなコテコテの喋り方なのだろうか。
「今年の肥料は良いのにならなかったって管理人さんが言ってたよ!」
そして流石阿呆。無敵の小学生マインドで話しかけている。
「一昨年はもっと綺麗だったのデース……」
項垂れる青年の焦げ茶の髪に花びらが1枚落ちた。
◇
ベンチには犬連れの老婦人が座っている。犬は苦手だ。素知らぬ顔で腐れ縁を盾にしながら離れ、老婦人に話しかけるのを見守る。
「そうよ、かわいいでしょう」
「ええ、ここはよく通るわ」
「黄金が埋まっている?聞いたことはないわね」
「でも」
「よく言うわよね、桜の下には死体が埋まっているって」
ころころ笑っている。随分とお茶目な方だ……。
◇
「この桜の下に黄金?そんなものないない」
「ほら。だから言っただろう」
「うえぇ……マジかあ……。でも管理人さんが言うならそうだよねぇ……」
そんなものがあったら私はとっくに大金持ちさと壮年の管理人は笑った。
「そら、くだらん噂話だった。帰るぞ」
「うえぇ〜い……ありがとうございましたぁ…………」
「また桜を見においでねぇ」と管理人は肥料を撒く作業を再開しながら言った。
◇
あの桜に興味を惹かせ、そしてその秘密に気づいた人間を消すことに成功し続けているモノがいる。
さて、“桜が人を喰う”ことが都合のいいのは誰なのか?
そして、人喰い桜に関わり続けても消えていない人物は誰なのか?
ああ全く、アイツが鈍くて助かった。
今答えは出すべきではない。気づいた素振りもしてはならない。推測さえも知られたが最後、桜の下に眠ることになるだろう。
小説の読みすぎであろうが、我々はスコップのひと殴りでさえ死ぬほど弱いのだから。
視点主:カンのいいガキ。鉄面皮。読書を長年妨害されているので腐れ縁が嫌いだが、唯一表情が変わるのも腐れ縁に関わる時である。
「臆病ではなく慎重派と言え」
腐れ縁:カンの悪いガキ。命拾いした。オカルト大好き夢見がちボーイ。
「いっかくせんきん……」