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すきやき

特別な日に食べるものといえばすき焼きですよね






 夜。

 異世界に来て最初の牡丹料理は歓迎会も兼ねて、すき焼きだった。

 調理と言っていいかは分からないほど簡単な下準備しか必要としない

 このすき焼きではあるが、

 それでも久々のキッチン、

 それもお洒落で快適な大理石アイランドキッチンを使えるとあって、

 牡丹もルンルンで準備していた。アルマの手伝いは明日からのようだ。

 

 ちなみに今回はアルマとエルナの歓迎会という事もありかなり奮発した。

 というのも買い物をした女子二人曰く、

 日本料理の肝、醤油や味噌などの発酵調味料はあるものの、

 米は売ってなかったようなのだ。

 致命的である。

 幸い当分……数年はもつぐらいには位相空間に溜め込んでいたため、

 近々で困るわけではないが、

 それでも長期的に見てこの世界に米がない場合とんでもなく貴重なものになるのだ。

 そんな米を振る舞うんだから奮発以外の何物でもない。

 

 すき焼きの定番、白菜、春菊、長ネギ、人参、しめじ、しいたけ、

 豆腐は普通に売っていたが、

 この世界には魔物肉が普及しているためかシンプルな牛や豚の肉は食べないようで、

 もちろん和牛なんて存在しないため、これまた奮発だ。

 黒毛和牛なんて米ほど溜め込む機会もなかったため量があるわけじゃないのだが、

 まあよし。

 

 なにせうまかった。

 めちゃうまだった。

 王族がどんな食事事情なのかは知らないが、

 元皇女姉妹もその美味しさにしばらく動きが止まるくらいにはうまかった。

 その後どんどん無くなっていく具材を見て焦って掻き込んでいたが。

 

 俺は油っぽすぎるのは好かないからモモ肉と肩ロース派だ。

 リブロースやサーロインみたいな

 がっつり霜が入った部位は食べすぎると胃もたれするんだよ。

 せっかく美味しく食べても最後に胃もたれして気持ち悪くなったら台無しだからね。

 それに比べ、さらっと霜の降ったモモ肉に肩ロースは、

 程よい噛みごたえとトロけ具合を兼ね備えた最強の部位だと思う。

 圧倒的にたくさん食べられるしね。

 

 やはりすき焼きはマイベスト料理トップファイブに入るだけあって、

 肉、卵、米のコンボは筆舌しがたい感動を舌に与えてくれたよ。

 あ、思い出しただけでよだれが……出ることはないけども。

 

 

 さて、そんな夕飯を終えて今何をしてるのかといえば、

 食後にすることといえば決まっているだろう。

 

 風呂。

 我が家自慢の檜風呂だ。

 

 いや、食前の人もいるかもしれないが俺は食後派なので。

 

 檜風呂。

 テレビ番組や雑誌などでもたびたび取り上げられるその印象から

 興味はうなぎ登りだったのだがついぞ入ることはなかった、

 俺の中ではある種神聖化さえされていたそのお風呂。

 

 入った感想は至高、極上、極楽、絶世。

 とにかく素晴らしい。

 ただそこにいるだけで気分が安らぐ檜独特の香り。

 従来、世間で一般的に使われている石造りの湯船と違い、

 木造故の暖かさに柔らかい触り心地。

 ああ、体のあらゆる筋肉が弛緩するのを感じる。

 やはり風呂は日本人のバイブルだ。

 

 ちなみにお湯は温泉だ。

 

 





 ……なんて都合のいいことは流石になく、自力で出したお湯だ。

 

 ちなみに男湯と女湯は牡丹らが買ってきたお湯を出す魔道具が設置してある。

 本当はここも魔道具にする予定だったのだが、

 

 

「魔道具が使えないとはな〜」

 

 

 そう、使えなかったのだ、魔道具が。

 考えてみれば納得なのだが、そもそも俺には魔力というものが備わっていない。

 それも全く。

 というのも、俺が術に使っているのは魂気と呼ばれる力なのだ。

 これはあくまで推測なのだが、

 魂気とはその名の通り魂から生み出される力なのだが、

 魔力および妖力はその魂気の派生、もしくは残滓のようなモノなのではないのかと。

 アルマの呪いを解く時に魔力自体には干渉できたから、

 無関係ではないんじゃないはずだし。

 で、魔道具はそもそも魔力に反応するように作られてるから、

 いくら関係性があろうともモノが違う魂気では駄目なのではないかと。

 

 

 そんなこんなで俺には魔道具が使えないということが発覚したわけ。

 まあだからと言って大抵のことは自力で解決できてしまうから

 何の問題も無いんだけどね。

 

 

「生き返る〜〜〜」

 

 

 この後あまりの心地よさに出るのをためらい続け、一時間長風呂をした結果、

 当然のぼせたのは言うまでも無い。

 






ありがとうございます

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