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南国・リゾート地!

「うわぁああ……!」


 冒頭から申し訳ありません。空の旅は陸路より大幅に旅程が短縮でき、2日程で南の国へと着いたのですが、上から見た南の国は最高のリゾート地でした。


 海の上へ浮かぶように建てられた水上コテージが綺麗に立ち並び、南国独特の背の高い植物が至る所に生えています。海沿いの街は潮風に強い石造りで、色合いは華やかに塗り分けられています。塗料で防錆しているのでしょう。


 こういう時に使う物だと思うのでお金はたんまり持ってきています。水上コテージを一棟借りちゃいましょう!


 街より少し離れた場所に着地した私たちは、歩いて街へと向かいました。さすがに暑いですね……空の上は風があって涼しかったのですが、歩いているとじっとりと汗をかきます。


 水着という概念はこの世界にあるのでしょうか……? 乙女ゲー時代には季節の変化があってもせいぜい制服が半そでになるくらいで、水着の描写とか一切なかったんですよね。はしたなくなければ海に飛び込みたい。


「暑いですねぇ……」


「そうか?」


「イグニスさんは平気でしょうね」


「私も平気です」


「俺は……ダメかもしれない……」


 アオイさんがめずらしく背を丸めて歩いています。【変身】しているとは言えもとはもふもふ。この暑さが身に染みるのでしょう。服もちゃっかり袖なしになっていますが、今にも舌を出してはぁはぁ言い出しそうです。コテージに入るまで我慢ですよ。


 国境は文字通り飛び越えたので、さり気なく街に入り込みます。


 建物の影のお陰で多少は暑さがマシでした。遠目で見た通りカラフルな建物、屋台がいくつも出ていて、その屋根もカラフルな原色の布でできています。


 流し見しながらコテージのあった海の方へ向かうと、コテージの管理部屋のような場所がありました。お金はたっぷり……あ、両替せずともいけるのでしょうか。でも観光用の施設のはずですからきっといけるはずです。


「すみません、しばらくコテージに滞在したいんですが、一番大きな所に一ヶ月程」


「まぁ、いらっしゃいませ。大きなコテージですね、4名様用でしたらちょうど空いております。一ヶ月ですと……銀貨30枚ですね。食事は付きませんのでご了承ください」


「台所はありますか?」


 台所があればシェルさんがご飯を作ってくれるので無問題です。外に食べに出るのもいいですねー、いよいよリゾートって感じがします。が、目的は植生の調査です。


「もちろんです。魚を釣りにいかれてそれを捌いて食べられる方も多いんですよ」


「それはいいですねぇ……あ、あとこの辺りで植物の群生している所なんかはありませんか?」


「それでしたら……あちらの右手に見える山は原生林がそのまま残っていますよ。散策コースもあるのでお楽しみいただけるかと」


「ありがとうございます!」


 受付の方にお金を渡し、コテージの鍵を受け取って案内された水上コテージに向かいます。


 街にも出やすいのですが、いい感じに植物が目隠しになっていて、小径から大通りに通じているコテージでした。コテージから直接海に入る事もできる階段がついています! 水着、売ってないものでしょうか。


 祖国では水浴びなど脚を見せる行為ははしたない行為とされていましたが、ここは国が違います。属国でもありません。郷に入りては郷に従えとも申します。ぜひ水着文化が盛んだと嬉しいのですが。


 そんな事を考えながらコテージの中を探検すると、ベッドルームが二つ、台所、リビング、ダイニングといった豪華な造りでした。


 部屋割りはどうしましょうね……一番あんぱいなのはアオイさんなんですが。さっそく屋根の下の涼しい場所に狼の姿で陣取って舌を出しています。どう考えてもアオイさんですね。


「よしでは我はマリーと……」


「あ、私とアオイさんでこちらの部屋を使うので、そちらはイグニスさんとシェルさんが使ってください」


 明らかに落ち込まないでくださいイグニスさん。間違いが起こってからじゃ遅いんですよ。さすがの私もドラゴンは投げ飛ばせません。ペガサスは抱えられたので大丈夫ですが。


 アオイさんは暑さに参ってそういう元気が無さそうというのも理由ですが、たぶんこの中で一番『女性との接し方』を心得ている方なので安心なのです。シェルさん? シェルさんは私の事となると目の色が変わるのでダメです。自衛って大事ですよね。


 とは言っても人間の中で暮らしていただけあって、イグニスさんを引きずってもう一つの部屋に引っ込んでくれました。そういう所はちゃんと弁えてくれているんだなぁと安心できます。


 部屋に籠って荷ほどきを済ませ、暑いので涼し気なワンピースに着替えて街に向かいます。アオイさんは日陰になって風通しの良いダイニングで臥せっていました。


「俺は……いい、いってこい……」


「わかりました。ここに水差しとコップを置いておくのでちゃんと水分とってくださいね」


「わかった……」


 アオイさんを連れて来たのは失敗だったかもしれません。陽が落ちればもう少しマシでしょうか。


 まずは市場調査、もとい観光です! イグニスさんとシェルさんと一緒に街に出ました!

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