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脇役語り  作者: ふりまじん
蘭子に関する物語

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作者、二時間ドラマを懐かしむ6

「とにかく、こんな事はしてらんないわ。

金に目がくらんで、つい、公募作品にしようと話を曲げたくなったけど、そんな事、している暇はないんだもの。」

作者は、深くため息をつく。


しかし、この二時間ドラマ考、なかなか収穫があった。


まず、70年代と80年年代では、二時間ドラマの性質が変わるのだ。


70年代は、男性、子供向けのアクションやセクシーありの娯楽要素がつまっていて、


80年代では、西洋風味の女性向けの内容が多かった気がする。

この時代、赤川次郎先生のような、ティーン小説ミステリーなども流行し、

お嬢様女学校でのミステリーなんかが、もてはやされた記憶がある。


女性向けの公募に合わせるなら、80年代の雰囲気で話を構成するべきだろうが(女子高生の蘭子の話もかわいい気がする)


ノストラダムスやら、魔術が(くごめ)く北条の世界は、やはり、70年代の二時間ドラマの雰囲気で作るのが相応(ふさわ)しい。


「お母さんに自慢できるような、素敵な話を作ってみたかったけれど、そんな暇は無いわ。やはり、ここは70年代ドラマの雰囲気でおさないと。」

作者は、焦りぎみにそう言って眉を寄せた。


70年代のドラマ。


エロと怪奇な雰囲気の漂う、不思議な世界の物語。

もう一度見たいと思うが、なかなかリメーク作品の自分好みに出会うのは難しいジャンルだったりする。


原作のままドラマにすると、なぜか野暮(やぼ)ったくなるし、


現代劇にすると、年配者が文句を言うのだ。


「けれど、70年代ドラマを見たいと考える人もたくさんいるでしょうし、

なにより、あなたが見たいと考えていますよね?」私は、小さな頃の作者を思い出して微笑んだ。


作者は私の笑顔に、何か、不満を感じて少し不機嫌そうに目を細めて、

「確かに、ね。

昔の雰囲気のドラマの新作が見たいわよ?

テレビのリメーク作品は、イマイチ私の好みではないんだもの。

なにが原因だったのか…、こうして書いていて、少し気がついた事があるわ。」

作者は苦い顔で私をみた。

「何をですか?」

私の質問に、作者は遠い目で天井を見つめる。


「…また、ですか。」

その表情に、エロ問題だと気がついて、私は思わず声を漏らした。


「仕方ないでしょ。でも、発見なんだから。

前に有料放送の昔のドラマを見た話をしたわよね?」

作者が早口で捲し上げるのを私は、無言で(うなず)くことで返事をした。


「その話では、嫁入り前の若い娘の入浴中を狙って怪人が娘をナイフで刺すのよ。

それだけじゃないわ。


私の好きだった、あの名探偵がっ。」

と、ここで作者は、一度大きく空気を吸い込み、

「名探偵が、バイク用の皮のツナギの女性が撃たれたたのを介抱する、と、言う口実で、公衆の面前で服をむしり取るのよ!!娘は上半身がすっぽんぽんだし…。もうっ、ショックよ!

あんなもんを見ていて、どうして、探偵がカッコイイと思えたのか…、自分に腹が立つわよ。」

作者は不満そうに頬を膨らませて、子供時代を思い出していた。


こんな時、下手な言い訳をしても私が噛みつかれるので、沢田研二さんの曲でもかけて落ち着いて貰うことに。

「カサブランカ・ダンディ」と、言う曲の、昭和の男の不器用な優しさがメロディと共に部屋を包み込んで行くと、作者も気持ちが落ち着いたのか、物静かに樫のテーブルを見つめて、呟きました。


「この間、『ジュリーの曲』って台詞が通じなくてね、沢田研二さんの愛称だって説明したの。

時代を感じたわ。

ジュリーが通じないなんて!!!

まあ、私も、なんで沢田研二さんがジュリーと呼ばれるのかの由来は分からないんだけど、ね。」


「まあ、そんな時代でしたから。ギターを背負って馬に乗るヒーローなんて、なろう作家も考え付かないようなファンタジーもありましたし。」

私と作者は、懐かしい昔の映画を思い出して笑いあった。


「そんなの、あったわね。

なんでもアリの世界観だったもの。

でも、楽しかったわ…。

何か、釈然とはしないけれど、マカロニウエスタンな映画を楽しんでね。」

作者は私に笑いかける。


それから、真面目な顔で作者は私をみた。

「なかなか見れなかったドラマを大人になってから見たお陰で、私、お母さんの当時の気持ちを理解したわ。

確かに、怪人も探偵もセクハラおやじよっ。


でも、憎めないんだよね。

それで、思ったのよ。

子供の頃の思い出は、子供の心のままに記憶されている事に。


面白いわよね。


多分、私は、厳重な(?) 警備をすり抜ける為に風呂場を逃走経路に選んだために、

殺害現場で娘が裸なのは当たり前だと認識しているのよ。

お風呂場で、服を着ていたら、不自然でしょ?

そう考え付いたら、当時の私を少しだけ愛しく感じたわ。」

照れ笑いする作者の顔に、子供の頃の彼女を思いだし、私も自然と笑顔になりながら、こう言った。

「本当に…愛しい時代でした。」


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