作者、二時間ドラマを懐かしむ3
「とにかく、昔の二時間ドラマはファンタジー要素が多かったのよ。」
と、作者が語り出した記憶によると、
骨格を無視した全身整形で美人に生まれ変わり復讐する、医療ファンタジー
刑事や研究者の所に出没し、自分を殺した犯人を捕まえてもらおうとする、美人の被害者。
死んだ人間の一部が、よみがえって、殺害した人を襲う。
など、すこし荒唐無稽な話もあったようだ。
「死んだ人間の一部分とは、やはり、手ですか?」
「うーん( ̄〜 ̄;)それね、私も自信が無いけど、なんか、解剖されて瓶に標本にされた内臓が…殺人鬼を襲っていた…みたいな話が…あった気がするんだけれど…。
ネットを検索しても出てこないから、やはり、これは記憶違いなのかもしれないわね…。」
作者はお化けの話をするような、不可解な表情を浮かべた。
まあ、これは子供の作者の曖昧な記憶で、本当にそんな番組がだったのかは、知らないが、
作者が見たいのは、自分の曖昧な記憶で構成された「土曜ワイド劇場」なので、あえて真実は調べないことにした。
しかし、ホルマリン漬けの内臓が…どう復讐するのか…。
怖いと言うより、滑稽な気持ちもします。
「まあ、ね、こんな怖い話に、明智小五郎のシリーズがあったりして…、昔の二時間ドラマは、わりかしファンタジーだったのよ。
この一年、なろうで活動して思ったのは、
人間色々って事よ。
例えば、評価点だって、
私は二点でも欲しいけど、
二点を貰うと傷ついて書けなくなる人もいるらしいの。
この世界で、全員が納得する話なんて作れない。
それを学んだわ。
逆に言えば、自分のコアな部分を最大限に利用して、
同じくコアな趣味を持つ人にアピールする、そんな売り方もアリ。なんだと思うのよ。
つまり、フリマと同じよ。」
作者はエタらせている作品の主人公の台詞を、一年経過して自分が口走っていることに、ばつが悪そうに苦笑した。
「ふ、フリマですか?」
一応、説明のための枕台詞を私は言う。
「うん。どんなに下らなく感じても、その人には必要な品物ってあるのよ。
例えば、湯飲みの蓋。
蓋だけなんて売れないと思うでしょ?
でも、売れたりするのよ!!これがっ。
湯飲みの本体だけを持っていて、長年、蓋を探している人がいたりするから。
なろうの物語も同じだと思うのよ…。
どこにも売ってない、だれも書かないような話だからこそ、読みに来てくれる人もいるんじゃないかと思うわけよ。」
作者はフリマを懐かしみながら、少し嬉しそうに微笑んだ。
フリマと言うところは、本当に不思議で、
とにかく、なんでも売れる。
使いかけのシールや、
半端なガムテープ。
鍋の蓋だけ。
「こんなものが?」
と、言うものが売れると、なんだか、不思議な充実感がある。
が、しかし、
なろうは、フリマじゃ無いのですが…。
と、言うか、賞金付きの大賞に投稿するのですよね?
私は、募集要項の可愛らしい少女のイラストを思い出し、カテゴリー違いで恥をかかなければ良いけれど、と、心配になる。
「コアな人、居なかったらどうします?」
私の問いかけに、作者はケロリとこう言った。
「ローファンタジーの作品の沼に沈むだけよ。
気にすることは無いわ。
はじめは、エッセイで、感想欄に色々書かれて恐ろしい思いをするとか、脅かされたけれど、
読者もそんなに暇ではないのよ。
真面目に取り組んでいれば、読者も底辺を無駄にからかったりしないんだわ。」
作者は純粋な目で私を見つめた。
子供時代のテレビ番組を思い出して、気持ちも子供に戻っているようですが…、
しかし、ホルマリン漬けの内臓が人を襲う話を、真剣に取り組んでいるように描くのは、至難の技のような気もします。
「でも、問題があるのよ…。」
作者は困った顔をして私を見た。
そうでしょうとも。
と、私は無言で頷く。それを見て、作者は言葉を続けた。
「思い返すと、土曜ワイド劇場って、大人の女性向けじゃ無い気がするのよ…。裸の出現率が多くてね、この辺りが心配なんだわ。」
はっ?まさかのそっち系?
私は、何度目かのエロ問題に顔を歪める作者に、
嫌な予感を感じながら、長期戦を予想して、デザートの準備を始める事にした。




