表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脇役語り  作者: ふりまじん
パラサイト
9/392

作者、パラサイトを振り替える9

風が優しく流れていました。


桃の精が『ロクデナシ』を弾き終わり、

越路吹雪さんの名前で思い出したのか、『愛の讃歌』を弾き始めた。


切ないビブラートを聞かせたスローテンポに改編された『愛の讃歌』


これは、日本では越路吹雪さんの楽曲として有名ですが、原詞はフランスのシャンソン歌手エディット・ピアフさんのものです。


映画にもなりましたし、有名な曲なので、それについては語りません。


この曲で思い出すのは、小さな私の作者が恋を知らない昔に、

この曲に恋の雰囲気を感じて夢を見ていた事。

でも、子供には…いえ、多分、大人でも、歌うのは案外難しいのです。


大人になったら、こんな情熱的な恋をするのかしら?


そんな事を考えていた作者(あなた)も、もう、中年(いいとし)になりました。

この曲のような、身を焦がすような恋を…

あなたは経験したのですか?


そんな言葉が頭に浮かんで、過ぎさった時間を切なく感じます。


「ちょっとぉ。なにニヤついて見てんのよ(`ε´)

くそっ。


負けたくないわね。そんな顔されたらさ。

改編するわよ。なんとか。」


作者は眉間にシワを寄せながら、私の思惑とは全く違う事を考えていました…が、

この場合は、私の方がいけませんね。


私は気を取り直して作者を見ました。


「ニヤけてなんていませんが、ええ。もちろんです。

5万円の小説にしなくてはいけませんからね。」

私は不敵に微笑んで余裕を演出した。


「ごっ、5万!!そうよ、金儲けよ(T-T)

あーっ。泣けるっ。三年やっても0円なんて。

でも、そうよね、もう、既に6万文字は書いてるし、斯くなる上は…って、『かくなるうえ』って漢字でこう書くのね。ついでに、この台詞って、使うことないから、ちょっと新鮮。

なんて、そんな事はいいわ。

さあ、事件のあらましを明らかにして行きましょう。

継続していた読者は推定10人。再開で戻ってくるのは、良くて半分かしら?

彼らがこっちまで読みに来るとは思えないし、やるわよ。

さあ、何でも聞いて。」

作者は私を睨み付けますが、私は敵ではないのですが…ね。


「7年前の事件について、少し聞きます。」

私は胸元から紙と携帯用の筆を取り出した。

作者はそんな私を見て真剣に頷く。


「では、伺います。

あの日、何があの屋敷でおこったのでしょう?」

私の問いに、作者は苦笑いをする。

「それ…わたしも知りたいわ。

ゴメン、知ってる所だけでも言うわね。

今まで書いた話からすると、雅苗は不倫相手の女性を屋敷に呼び出しているわ。

この日、ショクダイオオコンニャクは開花の予定では無かったらしいから、溶生を呼んだのは雅苗ではないようだわ。

次の日の朝には、テレビ局の人間と打ち合わせを入れてるから、雅苗が何かを企てたりはしてないのは確かなようだわ。」

作者は今までの話を思い返しながらそう言った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ