作者、パラサイトを振り替えるシーズンファイナル
「いきなり、ファイナルシーズンで、ごめんね。」
作者は、風に揺れるすすきの穂に磨かれて、黄金色に輝く月を見ながら呟いた。
中秋の名月…ハンバーガーでの月見と言うのも、不思議な気持ちです。
「これ…剛さんの好物ですよね?」
私は、複雑な気持ちになりながら、ハンバーガーにかぶりつく。
気持ちとは裏腹に、目玉焼きの黄身と特性ソースの味に嬉しくなります。
「うん。昔はね、一年中食べられたんだよ。でも、今は秋の限定なんだ。」
作者はコーラを美味しそうに飲みました。
「時代も変わりましたね。」
私はハンバーガーを食べ終わると、包み紙を小さく折り曲げた。
「そうね…月見と言えば、団子と決まってたものね。
令和になって、色んな民族が増えてきたもの。団子を飾ることは忘れられ、アメリカの企業のハンバーガーイベントの認識に変わってしまうかもしれないわ。」
作者はため息をついた。
「もう…都会では、すすきなんて貰えませんし、月も見えませんからね。
ハロウィンにとって変わられるのも仕方の無いことでしょうね。」
私の言葉に作者は苦笑した。
「まあ、世の中が移り変われば仕方が無いものかもね。
私の『パラサイト』も随分と様変わりしたわよ(T-T)」
「そうですね、『パラサイト イブ』の二次作を目指すなんて…あれ、嘘ですよね?」
冷たい風を顔に受けながら切ない気持ちを台詞にのせる。
まる一年をかけた小説を…一次選考を通過した小説を、私たちの設定の日々を…二次作として投げようとする作者が悲しかった。
「嘘ではないわ(T-T) 」
作者は、渋い顔で月を見上げる。
私を…見て、話してはくれないのですね?
私には、その言葉が裏切りのように胸に刺さる。
「ダメですよ。『パラサイトイブ』は、著作権に守られていますから、ここで書くことは出来ません。」
そうです。小説になろうで許されている二次作に、『パラサイトイブ』は含まれてはいないのです。
「別に、平気よ。この話も、手塚先生の話と同じで、著作権に引っ掛からないわ。」
「どう言うことでしょう?手塚先生の方は、アニメキャラを役者と見立てる事で、ファイナルシーズンまで持ち越す予定でしたよね?」
そう、完結できなかった作者は、2025年の万博を目標に、色んな作品の終わりを目指していた。
1970年代、まだまだ、アニメ作品の製作が困難だった頃、手塚プロダクションは、自らの人気キャラクターを役者として、特番に起用する事で、セル画の経費を減らし、なおかつ、視聴者を楽しませる方法で、夏のアニメを作っていました。
ですから、生物学者の北城のまま作品を完結させても、役者として、そこにブラックジャックが北城を演じれば、手塚アニメとして成立するので、特別な許可を前もって取得する必要は無いのです。
作者曰く、
私は底辺でも、なろう作家には、アニメ化している上位組もいるんだから、自分の作品をどんな役者に演じてほしいか、イメージする事に、目くじらを立てるプロダクションは居いわ。
だって、本当にそんなムーブが起これば、私はお客さんで仕事が増えるでしょ?
ネットって、何がいつ、バスるか分からないじゃない?私にだって奇跡が降らないとは限らないわ。
との事だった…。
しかし、『パラサイトイブ』は、小説であり、手塚アニメを目指すのとは、話が違ってきます。
「『駆けろ、スパイダーマン』よ。」
作者は月に吠えました。
私は、ギョッとしながら鈴虫の声が耳に戻るまで黙っていた。
「私、活動報告を初めて書いて、色々書きながら、なんか、掴んだ感じがしたわっ。スパイダーマンを聞きながらっ。」
つ、掴まないでください…。
私は、作者を見つめながら、ろくでもないモノをまた、拾ってきそうな作者に不安を感じる。
「なにを…でしょう?」
ああ…それでも…、こう聞いてしまうのです。
「二次小説の奥深さよっ!!」
「に、二次小説の奥深さ…。」
おうむ返しに聞いた。
「ええ。『駆けろ、スパイダーマン』を聞きながら、沢山の動画を見たわ。
この曲は、1970年代、企業同士の約束から生まれた、東映オリジナルのスパイダーマンのオープニング曲なの。
だから、アメリカの本家スパイダーマンとは、全く違うわ。
巨大ロボに、スーパーカー。主人公は不幸を背負った日本人…。
笑っちゃうくらい、全く違うのに、本家、アメリカの視聴者まで魅了しちゃうのよ。
それを見ていたら…、なんか、こう、ドキドキしてきたわ。
二次小説の自由さや奥深さを感じたの。
やってみたいと思ったわ。
本家に負けないクセをもって、尚且つ、元の世界観も受け継ぐ二次作!
だって…ここは、二次作から生まれた、創造の新世界。
小説家になろう!なんですものっ。」
作者は、長台詞を一気に捲し立て、残りのコーラをズズッと勢い良く飲み干した。
「……。さあ、遅くなりましたから、そろそろ片付けましょう。」
私は、そう言って静かに立ち上がった。
作者は、そんな私を見上げて、それから、少し恥ずかしそうに照れ笑いをしてうつむくと、
「そうね。」
と、呟いて紙袋にゴミをしまい始めた。




