作者、パラサイトを振り替える64
静かな夜でした。
海辺で二人、若者たちの花火を見ながら私たちは海の闇を見つめていました。
「………。通過していたわね。」
作者は海風を頬に受けながら、独り言のように言う。
「おめでとうございます。」
私は心から祝いの言葉を述べた。
『パラサイト』9回のネット大賞の一次選考に通りました。
ありがとうございます<(_ _)>
読んでくださる方がいて、グダグタになりながらも、なんとかここまで来れました。
「めでたくはないわよ(-"-;)
私、一次落ちだと思っていたから、他に回そうとか考えていたんだもん。
正直、自分の作品名を見たとき、100円か0円か…一瞬、迷ったもの。」
作者は渋い顔で言う。
「勿論、ネット大賞一拓ですっ。100円なんて、この際、スーパーのポイントで稼いでください。」
私はキッパリと言ってやった。
「もうっ、スーパーのポイントも、そうそう貯まらないし、使いたくは無いわよ〜。」
「でも、二次選考は、100円以上の価値がありますからっ。」
と、口を滑らせて、100円では、ネット大賞に失礼ではないかと考える。
「そうね…2025年までに、ネット大賞は今回を入れて約4回。
ああっ、甲子園なみよね…ちょっと、緊張してきたわ。」
「そうですね。21年で一次を通過できたのは、ラッキーでしたね。」
私は、この幸運を噛み締めた。
本当に、この作者には何度ヤキモキさせられた事か……。
「うん…(-"-;)多分、他の一次作品を見ると、パンデミック関係だったから、たまたま、ジャンルで残った印象がするわ。
だから、二次に残るのは……結構、難しいわ。」
作者は真顔になる。
「そうですね。でも、まあ、初めで一次を通過するのは、この先の3回のモチベーションも有利になりますから、とりあえず、よかったじゃないですか。」
私は、作者にリラックスしてほしくて明るくいった
「う、うーん(-_-;)。それはどうかな?
25年まで、一度も一次通過出来ない悪夢は回避したけど、こっから、本気でなんとかしないといけなくなったわ。」
作者は顔をくしゃくしゃにして言う。
「じゃあ、今まではやっぱり、手を抜いていたんですね。」
私はムッとした。この一年、死ぬだと書けないだのと、私を翻弄し、手を抜いていたなんて酷すぎます。
「て…なんて抜いてないわよ〜失礼ねっ、もう、私、部屋は散らかってるし、ビーズはそのままだし…古本は山だし…もう、本気で大変なんだからっ(T-T)
はぁー。
まあ、それはいいわ。
これからの本気ってのは、夏の甲子園に向かって、一回戦も勝てない弱小チームが県大会に行くような、そんな本気よ。
私はね、書籍化なんて、出来なくてもいいけど、
今の読者に、本気で取りに行った感じを表現できなきゃ、ダメなんだもん。
書籍化なんて、誰かが拾ってくれなきゃ、私にどうする事も出来ないから、仕方ないですむけどさ、
本気で二次選考に受かろうと努力していると、読者に評価してもらうのは、私が頑張るしかないんだもん。
今、野球漫画のすごさを体で感じてるわ。
人に、自分の行動や気持ちを理解してもらうって、結構、大変なんだね(;_;)」
作者は深いため息をつく。
「確か…25年に夢が破れて、BGMに『ありがとう』と言う曲が流れたとき、読者が一緒に泣いてくれるような、そんなエンディング、でしたっけ?」
「うん。アニメ『キャプテン』のEDね。
私も泣くの。思いっきり、落選して泣けるくらい、頑張ってみたいのよ。
正直、体育会系ではないから、どうしていいか、わからないんだけど。」
作者は困ったように苦笑する。
そんな作者を見て、私は呆れる。
「何をいってるんですか!ここで、二次選考に受かり、書籍化作家になってしまえば、一気にゴールじゃないですかっ。
やるんですっ。
下を向かずに、綱渡りの綱を渡りきるんですよっ。」
私の声が熱を帯びる。
書籍化作家になったなら…もう、私達が離れることなんてなくなるのです。
ここから生涯、この人と物語の世界を作り続けることが出来るのです。
「ふっ…無理だよ( ̄ー+ ̄)フッ」
作者はため息をついて、仕事を始めた。




