作者、パラサイトを振り替える62
北棟のドアを開くと、20畳の広さはある私的な談話室になっている。
70年代モダンな緑色のソファーが、丸みのある壁のRに合わせて並べられていて、名画『ダリの水仙』を思わせるシュールレアリズムな絵画が飾られていた。
作者は緑のソファに座って70年代アートな談話室を軽く眺める。
「現在、2012年7月。事件後の屋敷。若葉溶生はこのソファーから少し離れた絨毯にうつ伏せに倒れていたわ。
全く、大賞の締め切り間近で、こんな馬鹿げた検証させられるなんて、不愉快よね(T-T)」
作者は語気こそ強気ですが、顔が泣いています。
私はソファーの向かい側の壁に作られたカウンターバーで、なにか飲み物を探す。
ここは、何か、景気よく気持ちがあがるカクテルでも作りましょうか?
短編から、色々あって長編に、そして、複数エンデングへと変化し続ける『パラサイト』をまとめるべく、我々は、北宮邸をよく知る必要にかられたのでした。
全てのエンデングは必要ありません。
長山のスカラベエンデングの格好さえつけられれば、ネット大賞にエントリーしても、少しは形になるはずです。
このままでは、ただの不発による自爆でしかありません。
せめて、感想タグを…
少しは、気持ちがあがるような感想を貰えるくらいに話を整えてあげたいと考えています。
一次選考を通るのは、想像するより難しそうですから。
「オレンジジュースです。」
結局、私は未成年の姿に合わせてオレンジジュースを作者に渡した。
「ありがとう。今、あなたがいた辺りに、若葉溶生が倒れていたのよね?」
作者は私の足元を見ながら言った。
「その様ですね。」
私は曖昧に答えながら、サッシの向こうに見える家庭菜園と勝手口を見た。
研究用としても使われる家庭菜園では、青虫の好きそうなキャベツやらキュウリがブロックで区割りされながら植えられていた。
菜園に色を添えるように花が植えられていて、
真ん中を通る石畳の道は勝手口へと繋がっていた。
「あそこから、長山達が入ってきたのですね?」
「そうね、私の頭のイメージとは逆転してるけど、向かって右側の温室の方へ彼らは歩いて行くんだわ。」
作者は困った顔をする。
「どうしました?」
「どうって…今ごろ、こんなことして間に合うんかな、と、泣きたくなってきたのよ(T-T)」
作者はため息をついて、左薬指で額を押さえる。
何を今更…(゜-゜
私は悶絶する作者に失笑する。
大体、間に合わなくても投稿するとか言い出したのは、あの人です。
「ちょっと……笑うことないでしょ?もうっ。」
作者は私をみてふくれています。
「いいえ、ここはもう、笑うしかありませんよ。」
私は、そう言って豪快に笑った。
作者は不機嫌そうに私を睨んでいたが、やがて、諦めたように肩をおろして一緒に笑った。
久しぶりに『ケセラ セラ』でも歌いたい気分です。




