作者、パラサイトを振り替える58
冬の透き通った晴れ間に誘われて、我々は町外れの喫茶店へと散歩がてら出掛けました。
最近、色々と忙しくて、なかなか作者とお茶なんて出来なかった私は、新しいコートで少しだけおしゃれをしています。
商店街を通り、少し広い公園を歩くと、すぐそこに緑に囲まれた小さな白い西洋風の家が見えてきました。
目的地に到着です。
作者が木製のステップを軽やかに上がり、喫茶店の扉を開けました。
優しげな店のオーナーが出迎えて、私達はストーブの近くの席に案内してもらいました。
「はぁ…久しぶりだね。」
作者はオシボリで手を拭きながら私に笑いかける。
「ふふっ。お久しぶりです。お正月はお餅を食べ過ぎたりしませんでしたか?」
私が、からかうようにそう言うと、作者は上目づかいに私を見て笑った。
「ふふっ。まあまあよ。
なかなか話は進まないんだけど(T-T)
色々、考えてはいたんだよ…
冬は、童話で苦しんだよ〜
ホント、今回は辛かったよ。まとまらなくて(T-T)
なんか、ひどい出来だったけど、素敵な感想と評価とブックマークまでもらっちゃって…なんか、恥ずかしいわ(///∇///)
って、生活していたわ。」
作者は照れたようにテーブルを見つめた。
「それは良かったですね。」
私は、嬉しそうな作者に笑いかける。
今回の童話は、確かに、大変でした。
でも、とりあえず、参加できて良かったのですが、
しばらく、作者は燃え尽きていました。
こうして、私と話を再開してくれた事が、私にはとても幸せに感じるのです。
「うん。でも、色々と、頭の中はこんがらかってるし、色々、新展開があるんだよね。」
作者は苦笑いを私にしながら、なんだかとても話したそうに目を輝かせる。
「新展開…ですか。」
「うんっ。なんかさ、今、『ラジオ大賞』八万字いってるんだよっ。
あと少しで10万字(T^T)
未完でも、とにかく、公募に応募できるし、
あの話は、下手でも良いから、ファンタジーを書いて、スミレが何かを感じて、感想を述べたら終わりなんだ。
そうしたら、やっと…お金になるポイントがっ…てに出来るんだよっ(>_<)」
作者は興奮しながら両手を握りしめる。
4年目に入る現在、ここまで来る道のりを考えると、私も胸に込み上げるものを感じます。
「そうですね。まさか、そちらが先とは…思いませんでしたが。」
私は、一年、必死で改編していた『パラサイト』を思って少しだけ複雑な気持ちになりました。
本来なら、こちらを先に何とかしなければいけません。
でも、この一年の色々を思うと、500円でいいから作者に持たせて、お仲間に明るい報告をさせてあげたくもあるのです。
「いや、まだ、分からないんだけどさ。
『パラサイト』だって、あと少しで10万字なんだもん。
本当なら、3月のミステリー大賞に『パラサイト』を投稿しても良いんだけど、でも、この作品は、ネット大賞で、一時審査を通したいんだ。
で、講談社の小説サイトに投稿したいのよ。
絵師逆指名で、アニメ化を目指すの!!」
作者は楽しそうに笑う。
「アニメ化って、随分大きく出ましたね。」
「あら、我々だって、物語のキャラみたいなものだし、ビックマウスをかましても良いと思うのよ。
なにしろ、ここは『なろう』なんだもの。
小説家になろうの良いところって、よくも悪くも、実力なくても、大きな夢をバーンって語れることよ。
で、それが盛大にすべっても、規約違反をおかさないかぎり、笑って次の作品が投稿できるってところなんだわ。
私、とにかく、10万字まで書くわ。
で、ネット大賞に応募して、一次選考に残ってみる。
その為に頑張るわ。」
作者は嬉しそうに笑った。
が、私は、不安を感じずにはいられません。
小説家になろうで、おおすべりをして、笑って次の作品を投稿するのは、かなりのメンタルが必要な気がするのです。
私の作者には、そんなメンタルがあるとは思えません。




