作者、パラサイトを振り替える48
「はぁぁぁっ。もうっ。」
作者は、悲鳴をあげる。
色々と片付けていて手をつけていなかった『パラサイト』を確認したのだった。
「遺伝子の前に…1話目から書き直さなきゃ(T-T)
これじゃ、ダメだわ。」
作者は私をみて泣きそうな顔をした。
「何が気に入らないのでしょう?」
色々と書き散らかしながら放置していた作品を見つめながら、私は静かに作者に聞いた。
「ふふっ…もうね、推理小説をなめていたわっ(>_<。)
この1話じゃ、プロローグが死んでるじゃない(T-T)
もう……嫌だわ。
設定秘密主義に走りたくなるこの心理。
プロローグで事件を説明して読者の気を引いたのだから、
1話目で、詳しく書いて更に興味を持たせなきゃいけないのに、それがないんだもん(T-T)
ああっ…もう嫌ぁ……
アガサ・クリスティって、よくこんなもん、家事の合間に書いたわよね(T-T)
私、もう…ダメかも。」
作者の頭に血が上るのを私は静かに観察する。
「ごめんなさいをして削除しますか?」
私は、一年を過ぎたこの物語を思いながら聞いた。
作者は、ぎゅっと目をつぶり、酒をあおると私をにらんだ。
「削除…できるわけないでしょ…こんな…設定までさらして。
『パラサイト』を削除するときは、私が、退会するときよ(T-T)
それにっ、今は、金を稼ぎたいのよっ。
千円でも、剛の奴が金を稼いで、春に名古屋に行けるかもしれないんだもん。
散々、アイツをバカにしたのに、私が、泣き言いって逃亡なんて出来る分けないし、今から新しい10万字なんて…絶対無理だもん。
感想だって貰ってるんだから、完結させなきゃ(;_;)
なんか…本格的に、夏休みの宿題が終わらない31日の心理状態になってきたわ。」
作者は、真顔になってマスターにホットコーヒーを頼んだ。
バーで、コーヒー?なんて思われるのでしょうが、コーヒーを使ったカクテルは存在します。
ホットコーヒーだと、アイリッシュコーヒーも、アイリッシュウイスキーを使ったカクテルですし、
リンゴのお酒、カルバドスを使えば、ノルマンディーコーヒーです。
砂糖を多めに、お酒を気持ちだけ…
最近は、ホットカクテルを扱うお店も少ないとか、聞いたことがありますが(どちらかと言うと、夜の喫茶店メニュー)
ここは、仮想の世界なので絶妙にわがままがきくのです。
作者は苦そうにコーヒーを口にして、それをアンカーに気持ちを押し止めるように目を閉じた。
しばらくして、ため息をついて、穏やかに私に笑いかけた。
「ごめんなさい。少し、混乱してしまったわ。
もう、大丈夫よ。
頭は痛いけれど、落ち着いてきたわ。
まずは10万字を目指すわ。それでネット大賞に応募できるはずだもの。
恥ずかしいとか、無駄なことは考えないわ。
とにかく、10万文字。
他は考えない。
で、1話目の問題を話すから、あなた聞いてくれる?」
作者は私を見て聞いた。
「はい。」
私は、少し緊張し、そして、作者に頼られることを嬉しく感じながらそう答えた。




