作者、パラサイトを振り替える47
穏やかな夜のバー。
流れる曲は、昭和のムード歌謡にしようかと思いましたが、
1969年、アポロの月面着陸のニュースと共に再び脚光を浴びた
『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』をフランク・シナトラ版でかけてもらいましょうか。
この曲は、元は女性が歌う恋の歌でしたが、
月面着陸と言う歴史的な偉業と共に、SFの風味を纏ってリニューアルするのです。
現在では…ロボットアニメのイメージに変わってしまったのでしょうか?
これほど、世界的にイメージを変えながら歌われる名曲もなかなかありません。
いつか…我々もこの曲をイメージした可愛らしい小説を書いてみたいものです。
「次は、ニッカの『ブラック』をお願いします。」
私はジョニ赤から、国産のウイスキーに変える。
サントリーとニッカは、昭和の二大ウイスキーメイカーで、ニッカ派かサントリー派かで性格がわかるなんて噂もあったのですが、真実はわかりません。
個人の感想ですが、当時、ニッカの方が高級で、サントリーの方が馴染みがあるイメージでした。
トリスバーなどを展開し、先に安価なウイスキーを発売したのがサントリーだからでしょうか?
とは言え、どちらの会社にも、洋酒に負けない最上級クラスの商品もあるわけで、一言で優劣などつけられないのです。
「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン…か。
この辺りから、話の尻尾を捕まえるわ。
1970年。大阪万博が今までと違う注目を浴びたのは、1969年、アポロが月から採取した『月の石』が万博で披露されたって事ね。
何しろ、45億年の地球史においても、他の星に行った生物は居なかったんだから。」
作者は、混乱する頭を『パラサイト』に向けて集中させるように少し大袈裟な抑揚で言った。
「そうですね。宇宙開発もそうですが、多方面での発見やら、発明が広がり始める時代ですよね。
生物学もまた、遺伝子の解読についても飛躍的に進歩を始めるのでしたね。」
私もまた、『パラサイト』に寄せるように言葉を繋いだ。
この話を作るためには、どうしても遺伝子の説明をしなくてはいけなくなりました。
ブチブチ文句を言いながら、それでも諦めずに松原先生の『遺伝子とゲノム』を読み続けた作者の為に、お金は無理でも、完結。公募の一次審査の通過を経験させてあげたいのです。
「ええ…そうね。」
作者は言葉を止めて、私の気持ちに気がついたように私を見つめて優しい笑顔を向け、それから話を続けた。
「メンデルの時代には、同種族の交配でのみ行われた事を
DNAの鎖を研究所で編み上げる事で行うことが出来るようになったのですものね。」
作者は、少し緊張したように目を細めて、軽くため息をつき、話を始めた。




