作者、パラサイトを振り替える46
穏やかな夜のバー。
赤いビロード張りの重厚な椅子が並ぶテーブル席と、ライトアップされたきらやかな洋酒が並び、
初老の寡黙なバーマンが厳格な賢者のようにこの空間の和やかな雰囲気を支配しています。
私は、70年代のドラディショナルな雰囲気のダブルのスーツに身を包み、
カウンター席の端でジョニ赤を友に作者を待っているのです。
「待った?」
少し恥ずかしそうな作者の声が背中に触れ、私は後ろを向きました。
「いいえ。」
私の笑顔を少し不満げに顔を歪めて、照れる作者がそこにいました。
金ボタンのスーツにミニスカート、ベルトのついたエナメルのローファー姿の作者は、照れ隠しにふて腐れながら私のとなりに座った。
「な、何よっ、今回は、浅岡めぐみさんのファッションを参考にさせてもらったのよっ(*''*)
し、仕方ないでしょ…リンダとかのファッションは、私には、とても真似できないんだもん。」
作者は、言い訳していますが、そのわりには口元に楽しさが滲んでいます。
70年代ファッションは、自由なイメージがするのです。
当時、アメリカで流行したヒッピーファッションの影響を受け、派手な色合いで、パンタロンなどの独特のシルエットのものや、ミニスカート。
ボヘミアンファッションに影響を受けたワンピースなど、お洒落の上級者でないと、上手く着こなせないようなものが多かったのです。
「可愛いですよ。」
私はそう言って作者を慰めた。
「まあ、仮想空間だからね、実際、こんなミニスカートなんて履けないけど、まあ、それなりに見られるビジュアルにはなってるんだけどさ、
それにしても、ビックリよ。
浅岡めぐみさんって、本当に、昭和の少女漫画から飛び出したようなファッションだったのね!」
作者は、当時、流行したロングヘアーの『お姫様カット』にした髪を楽しそうにいじり、それから、ここが大人の空間なのを思い出してかしこまる。
そのタイミングでマスターが作者に優しく問いかける。
何をお出ししましょうか?と。
「ハイボール、炭酸とレモン多め。
銘柄はトリスね。」
作者は慣れたように注文し、私のジョニ赤のグラスを見て嫌みを言う。
「洋ものなんて、格好つけてるんだからっ。」
70年代、まだまだウイスキーは高級品。
洋酒はもとより、国産のオールドですら、お歳暮の花形だった時代です。
その中で、安価で美味しいトリスは、庶民にウイスキーの世界を教えてくれたウイスキーです。
「で、いにしえの中華のから、一足飛びに70年代に遡ってどんなお話をするのです?」
私はジョニ赤の甘い香りを楽しみながら作者を見る。
「そ、そうだった。お酒の初めてじゃないんだわ。
『パラサイト』の設定なんたった。
仕方ないでしょ、長山が面倒な設定を持ち込んだんだもん(T-T)
70年代の雰囲気で、雅苗のパパを調べないといけないのよっ。」
作者はため息をハイボールと友に飲み込んだ。
そうです。去年の12月、『パラサイト』を作り始めた時の設定は、同時期に拡大を始めたコロナによって混乱し、作者が良いエンディングを考えていたのですが、その改変のさいに長山が持ってきた話に現在、混乱させられているのです。
「でも…基本は別枠で長山の物語は語るべきだと思うのですよ。」
私は混乱する物語をうれう。本当に完結できるのでしょうか?
「そうだけど…それは改変を始めた現在、今さら感があるわ(T-T)
それに、長山も含めて話を考えないと、おかしくなるわよ。
と、言うか、この話だと、池上の始めのシーンがおかしくなるのよ。
池上は、子供の頃から虫が好きで、北宮尊徳を尊敬しているわ。
ついでに、溶生のファンなんだから、始めの方で北宮の屋敷を想像したはずだもの。
だから、この辺りを改編して、北城の登場を早めにしないと不自然な気がするのよ。
全く……面倒この上ないけど、この辺りの調整と、北宮父を設定しなきゃ。」
作者は、ハイボールに顔を赤らめながら深いため息をついた。
「そうですね…あの温室のショクダイオオコンニャクは、お父様が貰った設定ですからね。」
私は酔えない気持ちで北宮家の三代植物記を思う。
複雑な話なんて、我々には必要ありません。
しかし、もうすぐ一年。
完結のためには設定が必要です。




