作者、パラサイトを振り替える45
「さあ、始めないと。
いつまでもこうしてはいられないわ。
でも、本気で動かなくなりだした話をどうしよう?」
作者は、ため息をついた。
「とりあえず、ダメなところを掘り返しましょう。」「良く言う『ダメだし』ってやつね。」
作者は少し興味を持ったように私を見た。
「そうです。この話は情報量が多くて、まとまりがありません。少し、物語を削りませんとね。」
私の説明を聞きながら、作者は頷く。
「そうね。まあ、まずは、バックアップをとるわ。
大幅に改編するつもりだから。
で、誰も見に来ないうちに少しずつ上から上書きを始めることにしたわ。」
作者はため息をつく。
その様子を私は、宿題が終わらせられない子供を見るような気持ちで見つめた。
『パラサイト』を終わらせることが出来れば、10万文字の小説を書ききった、
長編小説を書いたと言う自信に繋がるに違いありません。
それだけあれば、多少なりともお金が稼げるはずです。
そうすれば、きっと、この作者も、物語をつくる楽しさを知るに違いないのです。
もう、やめるなんて、考えたりしなくなるに違いない。
「頑張ってくださいね。」
思わず、そんな言葉が口から漏れて、作者の不機嫌を誘った。
「もうっ。アンタもやるんだから。」
「そうですね。まずは、大筋を考えましょう。」
私の言葉を受けて作者は、ぽつぽつと話はじめた。
「これは池上って中年派遣社員の不思議な依頼の物語だわ。
一人称の語りで、今のところ現在進行形だと思う。
ネットテレビの作成の手伝いになっていたけど、
長山が雅苗の謎の研究の話とかを広げてきたので、派遣の依頼の内容を変えなくてはいけないわ。
ついでに、西条八十の『トミノの地獄』のモチーフも意味が変わってくるので、溶生の歌も必要がなくなってきたわ。」
作者はそう言って、ため息をつく。
「確かに、面倒な事になりましたね。」
私も、予測のつかなくなってきた物語を思った。
これで本当に次回のネット大賞にエントリーなどできるのでしょうか?
「でも、仕方ないわ。
こんな絶望的な瞬間、評価点とブックマークは心の拠り所だわ。」
作者はそう言って深くため息をついた。
この作品については、本当に今年の完結を目指しているのです。
五島勉先生が亡くなり、そんな年に書いていたノストラダムス風味の物語です。
出来や評価点はともかく、この年に書き上げたい。
それは本気なのです…なのですが、
私は、次から次へと問題を増やす作者をあきれた顔で見つめる。
それにしても…どうしてこの話のキャラクターは積極的で饒舌なのでしょうか。
「それから、素敵な感想も。
あの方に約束しましたでしょ?完結すると。
完結させて、迎えに行きませんとね。」
私は少しからかうように言った。
それを聞いて、作者は少し困った顔をした。
「迎えに…かぁ。
もう、すっかり忘れているかもしれないわよ(T-T)
ありがた迷惑って言葉を思い出したわ。」
作者は泣きそうな笑い顔で私を見る。
「そんな事はありませんよ。
成長して、要らなくなった物語だとしても、完結を知らせに来て貰えることを不快に思う読者などいませんから。」
「(;_;)時影ぇ……
プレッシャーかけないでよ。
そのシュチュエーションなら、ハッピーエンド一択じゃん。
この話は、そう簡単にはいかないんだから。」
作者は悲鳴をあげ、そして、文句を言いながらも改変をはじめた。




