作者、パラサイトを振り替える44
「面倒くさいわ(T-T)
でも、北宮三代の植物学を把握しないと。」
作者は呟く。
雨が小降りになり、遠くの雲間に晴れ間がみえた。
「雨、止みますね。」
私は浮いた気持ちを乗せて空を見た。
作者は、そんな私に少し不満そうに眉を寄せて、唇を尖らせてみたものの、空を見上げる頃には、穏やかな笑顔で「そうね。」と言った。
「私、降り始めの雨の匂いと、
止みだした雨の匂いが好きだわ。
こうして、軒から滴る雨を見つめながら、何もしない午後を楽しむのは、贅沢な事よね。」
作者は雨を受けて健気な美しさで揺れる野菊の花を見つめていた。
私たちはほんの数時間ですが、現実の世界は既に秋。
冬の足音が聞こえてきそうです。
「ええ…変わるものなどない贅沢です。」
私は作者の隣に座り、彼女存在をそこに感じながら目を閉じた。
穏やかなひととき。
もう少し、右によりさえすれば、作者と肩を寄せあい、その暖かさを感じることも出来るのです。
しばらくの間、甘く穏やかな沈黙が流れていました。
それを破ったのは、作者のこの一言。
「BL書いてみようかな。」
「び、BL…ボーイズラブですか、また、出来もしないことを!」
私は、秋吉と池上をおもちゃにしないかが心配になりながら叫ぶ。
「でも…今、公募していて、奨励賞を貰えると5000ポイントになるらしいんだよ。
BLなんて書いたこと無いけど、それは他の人もそうらしくて、応募総数が少ないんだ。
大賞とかを狙うと大変だけど、奨励賞なら……わりと狙いやすい気がするんだ。」
作者はリラックスしながら話す。
「確かに、遅筆で人気ジャンルの物語を書けないあなたには、競争者の少ないジャンルでコアなファンを作る方法が良いのでしょうが、作品数が少ない分、読者のこだわりも強いと思いますよ。
5000ポイント欲しさに付け焼き刃で参加なんて、逆に怒られるのではありませんか?
作者が少ない分、下手でも受け入れて貰えるでしょうが、不真面目な作品は、読者に見破られて痛い目に合いそうですけど。」
私は、ネットのコミュニケーションが上手く出来ない作者を思って心配になる。
「別に、ふざけてないわよ。昭和のBL…耽美ものってヤツは嫌いじゃなかったし、片想いとか、あやかしものなら…」
「そんなの、考えてる暇ないでしょうに…
もうすぐ童話や児童小説の公募が始まりますから、それなら、トピラフに時間をさいて…」
私は、寄り道ばかりの作者に少しイライラして早口になる。
そんな私を作者は、愛しそうな困り顔で見つめる。
そんな顔をされると、それ以上の突っ込みが難しくなります。
「そうね…。まあ、でも、少し、BLについても整理しておきたいわ(´ヘ`;)
この『パラサイト』でも、北城とか秋吉の池上に対する接し方が、変な時があるんだもん。
私、書き始めるとキャラクターに引っ張られちゃうときがあるから、気を付けたいの。
書かないように気を付けるより、いっそ、一度書いて見た方が、BLを理解できると思うのよ。」
作者はため息をつく。
それを見て、私も、少しだけ納得する。
確かに、『パラサイト』でも、北城と池上がへんな雰囲気になり、アクセスが減った事がありました。
「まあ…と、しても、池上達を使うのはダメですよ。」
私は、キャラクターを思って釘を指した。
架空とはいえ、読者に認識され、愛されたキャラなのです。
操り人形のように弄ばれるのは気持ちの良いものではありません。
「わかっているわよ…。
と、言うか、そう構えられると、話なんて浮かばなくなるわ。
はぁ…
やっぱり、BLはハードル高いわ(;_;)
雅苗のお父さんの話でも始めよう。」
作者は、諦めて話の続きを考え始めた。




