作者、パラサイトを振り替える41
窓辺の漆塗りの椅子に座って妖精が馬頭琴で『林檎殺人事件』を奏で始めました。
作者はマスカットの香りの烏龍茶を口にしながらノートをとりだし何やら書き始めた。
私は作者の為に甘いものを用意することにした。
「どうぞ。」
私はゴマ饅頭を乗せた皿を作者の前に置いた。
作者はそこで視線をノートから私へと向けた。
「あっ…ありがとう。
あなた…その格好で作ったの?」
作者は、関羽の格好の私を見つめて呆れたように笑った。
「ええ…あなたの気を引くためには、残念ながら食べ物が一番確実ですからね。 また、私を置いて一人で物語の世界を暴走してほしくはないのですよ。」
私は作者の向かいの席に座ると、少し皮肉を込めてそう言った。
作者は、私を困った子供でも見るように口をへの字にしながら甘く睨んで、
それから、ゴマ饅頭に手を出して、熱さに悲鳴をあげて手を引っ込めながら、照れ隠しをするように話始めた。
「はぁ…。この先、どうしていいのか…。頭いたくなるわ。
大丈夫よ。時影、アンタを置いてなんか行かないから。
と、言うか、ここから、慎重に話を進めないと、困ったことになりそうなんだもん(T-T)
ホンッと…他の人はどんな風に話を作るのかしら?
はぁ…
なんでこんなに、
この話のキャラクター、なんか、90年代のオカルトミステリーの私の知識を勝手に使って物語を新たに作るんだよね…
長山の話だけで、まとまった話になりそうなんだもん。
しかも、ネタバレしたくないほど面白いんだわ(T-T)
これを整理しなきゃいけないけど、ここから話を本編に繋げたいんだけど、
この長さとボリュウムになると、やはり、あのチョイ役の管理人と池上を会わせなきゃいけなくなるんだよね…」
作者はそう言って、私の様子をうかがうように上目使いをする。
「あの管理人ですか。」
と、私は一度黙り、キャラクターを確認する。
一万文字の短編からの長編化なので、本来はこの管理人について細かく書く必要はない。
が、ネタバレすると、彼は後半で北城だったと池上が認識するのだ。
「うん。あの管理人。
初めは音無の変装設定だった気がするんだけど…」「音無不比等。ペンネームですからね。
その正体は、池上の虫仲間の北城…と、言うわけですか。」
私は、自分が関わらなかった物語の設定のキャラクターについて考える。
「う、うーん( ̄〜 ̄;)
なんか…違う気がするんだよね…。
北城。
確かに、初めはそう考えて登場させたわよ。
でもっ。
池上が北城を認識して、懐かしいと考え出した瞬間、別人の気がしたわ(-_-;)
いやぁ。なんて言うんだろう?
北城が登場してから、池上が元気になっちゃってさ。
ゲンゴロウの事とか、調べさせられたわ(T-T)
ゲンゴロウの種類とか、在来種とか…知らないわよ(;O;)
と、思いながら、気持ち悪い蜘蛛とかミミズとかの本を読まされたわ…
二準目の池上は、前の池上よりキャラ立ちしてると思うんだけど。
読者に好かれるかは別としてね。
私には魅力的なキャラになったとは思うわ。
池上も北城も。
でも、『オーデション』の音無とキャラが離れていってるのよ((T_T))
と、現在は考えるんだけど、
管理人のエピソードを追加して、そこからどうなるのか…怖いわ。」
作者は頭を抱えた。
私は北城と池上のエピソードを調べながら、妖精の奏でる『林檎殺人事件』を聞いていた。
この曲をテンプレートに話を改編していた我々。
気がつけば、物語にも池上扮する『虫探偵シンゲン』まで登場する賑やかさですが、虫探偵シンゲンが登場しても、物語は先には進まないようです。
「とりあえず、ゴマ団子を食べませんか?
折角の揚げたてが固くなりますからね。」
私は新しいお茶をいれ、作者の気分転換をはかることにした。




