作者、パラサイトを振り替える34
「しかし…面倒ね(T-T)
一人称って、色々面倒くさいんだわ…
今まで、知らなくても適当にまとまって終わっていたけど、一人称って、視界が主人公で描かれるし、
主人公の感情に引っ張られるから、主人公をバランスがいい人じゃないとミステリーはダメなんだわ。」
作者は深くため息をついた。
「ジョン・ワトスンのような?ですかね。
でも、池上も常識人でいい感じの人柄でしたよ?」
下唇を噛みながら恨めしそうに作者は私を見つめて聞いている。
「確かにね、一見、池上はいい感じの語りだわ。
でもっ、それが罠なのよっ(;_;)
やられたわ…。全く。
池上は、常識人で穏やかなタイプの人間だわ。
でも、無視好きのコアな趣味人でもあるのよ(T-T)
この話を当初の一万字で書ききるなら、
雅苗の旦那の若葉溶生を悪者に設定して話をしなければいけなかったのよ…。
でも、池上が溶生の曲のファンで大好きだから、溶生を疑ったりしないし、好意的なんだもん。
恥ずかしいけど、私、知らないうちに池上の印象に影響されて流されていたんだわ。
ついでに、愛人のレイも早めに登場させて、失踪宣告を前に、奥さんの財産を狙う悪者展開にしておくべきだったわ。」
作者は眉間にシワを寄せる。
「ここまで来たら、今さらな話ですがね。」
私は作者を見て苦笑する。
『パラサイト』は、既に最終段階まで進んでいて、レイを三話で登場させるには無理があります。
「わかってるわ…。それに、常世虫とか、ファンタジーな虫まで出てきて、北城が暴走してるから、どうにもならないわ(T-T)
三話で増やすのは、雅苗の話かな。
無意識に隠したい心理で触れてないけど、
仕事の現場や情況を話すのに、長山が溶生の話をしてないのは不自然だもの。
この話のプロローグの地方局員って、多分、長山の事よね?
長山が何かをたくらんでこの企画を受けたのは確かだから、三話でそんなそぶりがないのは、逆に不自然だわ。
次は、この辺りの話を広げてみましょう。 」
作者は話ながら段々と落ち着いてきて帳面を取り出してなにやら書き込み出した。
「そうですね。雅苗と長山の関係、雅苗のプロフィールに迫ってみるのも悪くありませんね。」
私はそう言って作者に微笑んだ。
心地よい初夏の風をほほに受けて、作者はとても穏やかに微笑みかけてくる。
少し疲れて、年齢を重ねたその目元に、
それでも変わらない、素直な好意を見つけて、私は胸が少しいたくなる。
とても心地よい風景なのに、どことなく切ない、そんな焦燥感に誘われて、私は思わず視線をそらせて空を見上げた。
「今年の夏も、一緒に海に行けるといいですね。」
私はその青空に思わずそう口にした。
「海Σ( ̄□ ̄)!
海岸の変なネタを書いてから、もうすぐ一年になるじゃない(;_;)
もうっ!!なんでもいいから終わりたいわぁぁ(T-T)」
作者の絶叫が青空に吸い込まれていった。




