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脇役語り  作者: ふりまじん
パラサイト

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33/438

作者、パラサイトを振り替える33

穏やかな初夏の午後、私は作者と物語の続きを考えていた。


「一万字の物語、初めのホラー設定はそれほど難しい話じゃなかったわ。


奥さんを殺した旦那と愛人。

ある日、酔った勢いでふざけながら怪奇ものの動画を見ているわ。

サイトに勧められたのは、ある都市伝説。


『トミノの地獄』を音読する…すると、とんでもない不幸が訪れると言うものよ。


その動画を見ながら、二人は奥さんを庭に埋めてた事を思い出すの。


奥さんはね、薬を飲んで旦那さんにメールをしたの。

あなたの居ない人生を生きていても仕方がない。

別れるつもりなら、そのまま死なせてほしい。

けれど、まだ、気持ちがあるのなら、私を助けてほしい。と。」


「随分と面倒な女性ですね…奥さんは。

それで、放置されて亡くなったのなら、別に旦那さんは悪くありませんよね?」

「あら、未必の故意になるんじゃないかしら?

まあ、旦那さんも悪人ではないから、そんなメールを貰ったら、驚いて奥さんのところに向かうでしょ?

でも、たどり着いたときには奥さんは冷たくなっていたの。


混乱した旦那は、愛人を呼んで、どうしょうか相談するわ。


愛人は嬉々として庭に埋めることを提案するの。

人の結び付きが一番深くなるのは悪巧みって言うじゃない?


奥さんを庭に埋めてしまおうと提案するのよ。


そして、二人はそれを実行したの。」

作者は一度言葉を切り、

私は物語の疑問を彼女にぶつけた。


「それ…リスクが高すぎはしませんか?

奥さんの親族に行方を聞かれたら困りますし、

自殺なのですから、通報した方が効率はいいし、安全です。」

「そんな都合のいい死に方を奥さんがするわけないでしょ?

メールは旦那さんのパソコンを使い、薬は旦那さんが疑われるようなものを使うわ。しかも、死ぬ確率が低いやつね。

まあ、嫌がらせみたいなものよね。」

作者は不気味なことをサラリと言った。


「奥さん、嫌な女じゃないですか!私は同情できません。」

私は不機嫌にそう言った。

作者はそんな私を呆れたように見つめて、

「ホラー小説だから。」

と、ため息混じりに言った。

「ホラー小説だからこそです。

被害者が悪い人間だと、後の復讐が後味が悪く感じますからね。」

私がため息で応戦すると、作者は非難がましい流し目を私に向けた。


「そうね……女なんて、少なからずそんな感情があるものだと思うわよ。


愛人の女だって、旦那に隠れて奥さんに嫌がらせしていただろうし、

奥さんだって、精神的に追い詰められて意地悪だってしたくなるわ。


旦那さんは、ミステリー好きでね、ディープなサイトで毒物について話していたわ。

特に、ゾンビパウダーについて、深い考察を誰かとしていたの。


浮気の疑惑から、旦那のパソコンを漁っていた奥さんは、偶然そのサイトを書き込みを見つけて…

調合できると言う男にそれを依頼して購入するわ。」

作者は考えながら話しているのか、話の途中で何度か止まりながらもそう説明した。


「ゾンビパウダー…ですか。

それにしても…色々考えますね?

たしか、河豚(ふぐ)毒に近い成分が入っているとか…。それについて、正確なレシピは分からなかったと思いますが、

ゾンビパウダーは仮死状態にするのであって、

死んでしまうわけではありませんよ?

旦那さんだって、サイトで話をしていたなら、その程度の知識はあったのではありませんか?」

私が呆れながらきくと、作者はため息をつく。


「そんなもの……正しく作れなかったかもしれないでしょ?

いまだに、ゾンビパウダーの正確なレシピは秘密なんだから。


ふぐ毒を中心に何かを混ぜて、それがたまたま致死量を越えていたら、死に至るわ。


仮死状態は、殺すよりも難しいもの。


それより、愛人がいて、自らのパソコンから、そんなものが購入されていた履歴が明るみに出る方が怖かったのよ。


それに、愛人は奥さんに死んでほしいのだから、

うまく旦那を言いくるめて土に埋めて、完全に殺したいと考えるし、

そう相手を誘導させようとするでしょ?


だから、旦那は、奥さんを土に埋めて、殺してしまうの。」

作者の言葉を聞きながら、私は女性の恐ろしさを感じて身震いしました。


「恐ろしいですね…。」

「ええ。女はみんな怖いのよ…。


で、数年がたち、この二人は結婚はしていないけれど、強い絆で結ばれて現在に至るの。」

「犯罪と言う名の絆ですか。」

私はため息をひとつついた。


「そうね。でも、旦那は、恐怖心に取りつかれて…


って、もう、時影さんっ!没にするネタにそんな鋭い突っ込みは要らないわ(;_;)


終わらないじゃん…


もうっ、ゾンビパウダーってなんなのよっ。」


作者は吐き捨てるように言いましたが、それは自分で考えた事です。


私はだだっ子になりだした作者を黙って見つめた。

「はぁ…。とにかく、大まかな設定なんだから、矛盾があってもこの際無視!

とりあえず、奥さんを殺した男女が、ふざけて『トミノの地獄』を音読し、よみがえった奥さんに殺される。まあ、そんな話だったのよ。


その設定に、寄生バチとか、なんか、色々付け加えたのが、『パラサイト』なんだわ。

だから、100物語なんて馬鹿げた事を言い出したりしているんだわ。」

作者はそう言って、深くため息をついた。


「で、これからどうするのです?」

私は不機嫌そうにごね始めた作者を見つめた。


「うーん(-_-;)

どうしたらいいんだろうね(T-T)


とにかく、これを何とかしないと。

雅苗は、ゾンビパウダーで死んだりしてないし、

溶生も雅苗を埋めたりしてないみたいだから、はじめの設定のエピソードを今の結末にあわせて解釈を考え直さないと!」

作者はこめかみを押さえて深くため息をついた。


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