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脇役語り  作者: ふりまじん
パラサイト
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作者、パラサイトを振り替える3

11世紀モデルの桃園は…気がつけば、おかしな状況になっていた。


男装の作者の事を私は、樹木希林に見えて混乱し、


馬頭琴で奏でるのは『林檎殺人』です。


これは、郷ひろみさんと樹木希林さんがデュエットする、ドラマの作中曲でした。


1978年、歌詞阿久悠、作曲穂口雄右先生の作品です。


「う、歌うのですか?」

私が当惑しながら聞いた。

馬頭琴は、2弦の弦楽器ですが、バイオリンの起源と言われるだけあって、重厚感のある響きのよい楽器です。

これで奏でる『林檎殺人』をうまく歌いきるのは…しかも、この衣装でやるのは少し難しい気がします。

私は自分の長い髭に触れながら少し困りました。


「そんな分けないでしょうよ……だから、これをテンプレにするんだって。

いい?

この曲はね、原稿用紙二枚くらいの文字数で、二時間ドラマの推理ものを要約しているのよ!


で、wikipediaによると、『ザ☆ベストテン』でも一位をとったほど人気があったのよ。


つまり、この少ない文字数で、ミステリーの世界を表現し、尚且(なおか)つ一般人に好意的に受け入れられているのよっ!!


凄いわよね、阿久悠先生(´ヘ`;)


で、これを聞いていて、目からウロコがゴッソリ抜け落ちたの。わたし」

「………ゴッソリですか。」

私は熱く林檎殺人を語る作者を見つめた。

作者は学校の授業内容を親に説明する子供のように純真な目で私を見つめた。

「うん。なんか、肩の荷が一気に落ちたわ。」

作者は少し穏やかな微笑みを浮かべて、『林檎殺人』の構成をノートに箇条書きし始めた。


「この曲は、探偵ものの約束展開を繰り広げ、

トリックとか、そんなものは大した事は言ってないのよ。

思うにこの曲の目的は、郷ひろみって凄いキャラが探偵に扮して感想を格好良く語る事だと思うの。

で、ひろみが予想以上に素敵なので、

そして、視聴者も本格サスペンスが欲しい分けではないので、上手くまとまっているの。

わたしの場合は…読者がどう思うかは知らないけど(T-T)

でも、とにかく、一度は完結させないと洒落にならないので、

一ヶ月も更新してなくて、諦めた方以外の、

残った数人に向けて、完結の雰囲気にすべてをかけて話を改編するっ(>_<)」

作者は口を真一文字に結んで強く眉をよせて、何かの痛みに耐えていた。


私は作者の箇条書きを読みながら、事態の収拾を考えた。


確かに、連載中の赤文字がマイページに咲き誇る現状は、宜しくありません。

とはいえ、六万を越えた物語を…

しかも、SFミステリーを、急に探偵小説の王道展開に改編できるのでしょうか?


この作品の最新話「エターナル」のような失敗は二度としたくはありません。

「探偵役は、池上がやるのですか?」

私は作者が一番答えやすそうな質問をした。


それを聞いて作者は驚いたような顔で私を見、

次の瞬間、絶望的な顔に、なりながら口で富士山を作るような、物凄いへの字に口を曲げた。


え?この質問は…地雷でしたか?


私が不安になりながら作者を見つめ返すと、

作者は泣きそうな顔でぼやいた。


「ダメだ………。池上に名探偵(ひろみ)は無理だ。」

作者のぼやきを私は冷静に受け止める。


もう、三年目、私だって少しは作者の扱いになれてきました。


私はわざとゆったりと肩をひき、男らしく優雅に二杯目の烏龍茶を口にして戦国武将のように逞しく微笑みを返す。

そして、優しくこう言った。

「それなら大丈夫です。日本の50代の九割は、郷ひろみの様にはなれませんから。」


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