作者、パラサイトを振り替える25
「ボーイズ・ラブなんて、ダメですよ。」
私は筆で遊ぶ作者に釘をさす。
私はストーリー・テラーですが、この先、何をやらされるか分かりませんから、変な癖を作者につけさせたくは無いのです。
「やらないわよ…。皆が嫌がるもん。
一応、これはフリマ仲間の枠なんだよ(-_-;)
誰も絡んでこないけどさ(T-T)
ボーイズ・ラブどころか、今までのおかしな話をすっかり終わらせて、可愛らしい人形の世界に戻したいのっ(>_<。)」
作者は自分の立場を思い出して思わず叫び、
私は、なんとか自分をだましだまし書いていた作者を…寝た子を起こしたことに気がついて慌てた。
「すいませんっ!謝ります。ごめんなさいっ。」
私は、思わず関羽のコスプレを忘れて規律し、なんだか深々と頭を下げた。
人形や手芸の話を作者の口から聞くと、なんだか寂しいような、申し訳ないような、複雑な気持ちになるのです。
出来ることなら、私の力で、物語を書き続けることでこの人を幸せな気持ちにさせたい。
そう考えるのは傲慢でしょうか?
混乱する私を作者は驚いて見つめて、しばらくしてから感想を述べた。
「私…関羽のこんな見事なお辞儀、初めてみるかも。」
そうぼやいて、それから打たれたように笑いだした。
「もう…許してください。」
私は、困りながら懇願し、
作者はそんな私を見て再び愛しそうに目を細めて、楽しそうに微笑んだ。
「はぁ…。面白かった。
さて、始めるか。
それにしても、設定を変更するのは大変ね。
葛飾柴又に池上の住所を設定すると、まず、最寄り駅が地下鉄になる可能性があるわ(-_-;)
私、田舎者だから、つい、駅には立派なロータリーをつけたくなるけど、
地下鉄の駅って、階段の覆いと屋根、小さな看板だけなのよね…。
さすがに、東京だからって、朝の五時から渋滞はしてないだろうけど、池上を早めに現地で待たせないといけないし、
車を降りて名刺交換なんてしていいのか、わからないわね(-_-;)」
作者は二時間ドラマで見続けた東京にイメージを作ろうと思案しているようだ。
「まあ、その辺りは大丈夫だと思いますよ。
それに、指摘されてから訂正は容易ですし、先に行きましょう。」
私は強く明るく声を掛ける。
作者は素直にそれに頷く。
「はぁ…じゃあ、ここからやっと寄生虫について話を始めることになるのね。」
作者はマダニについて資料を調べ始める。
私は、確定した部分を2話に割り振ることを考え始めた。
元々、この話は『オーデション』の読者のアンコールを考えて作った短編だ、った話だ。
だから、細かい説明が無意識に抜けていたりする。
同僚の秋吉と池上は、親子ほど年齢が離れていますが、その記述がありません。
最寄り駅も地下鉄にするとして、それらしい描写をいれるべきか、やめるべきかも考えないといけません。
ここでは細かく設定はしますが、本編で全てを披露する必要はありません。
無駄な説明をしなければ、突っ込みが入りませんから、読者も作者も混乱が少なくてすむ場合もあります。
「なんか、考えると余計な説明が増えるわね(-"-;)
作中小説『シルク』の影響があるとしたら、蚕とか、信州へ行くなら富岡製糸場とかの説明もするべきかしら?」
「富岡製糸場…群馬県富岡にある世界遺産になった絹糸工場ですか?」
私は、富岡製糸場について考える。
富岡製糸場は、日本で初の器械製糸をはじめたところです。
「うん…。こんな時勢だし、少しでもなんか、土地のいいところを紹介したいしね…。」
「昭和の二時間ドラマはそうでしたね…。
けれど、あまり不必要な説明を増やすのも、テンポが悪くなりますからね。」
私の言葉に作者は困った顔をする。
新しいジャンルに挑戦すると言うことは、
新しい文章のスタイルを自分なりに作ることでもあるのです。
この物語もまた、未完成な部分を磨きあげて行かなければいけないのです。




