作者、パラサイトを振り替える20
穏やかな春の午後。
暖かい烏龍茶を手に私達は物語の改編をしています。
美しい庭園に据えられた陶器の翡翠色のテーブルを挟んで、私の作者は女性の着物に着替えてコーヒーを飲んでいます。
「なにを…一人で時代背景を無視してるのです?」
私の問いかけに作者は憮然とマグカップのコーヒーを一口飲んで話しかけてきた。
「もう…、頭がうまく回らない。コーヒーでも飲まなきゃ、やってられないわ。」
作者はそう言ってため息をついた。
「それで、劉備玄徳コスもやめたのですね?」
私は呆れながら、昔の中国の婦人服の彼女を見つめた。
「いや…これは一時的に黄夫人に変わっただけ…
だって…、ファミリー向けの話に改編って、大変なんだもん(T-T)
寄生虫の話を本文に混ぜようと、本編をさわろうと格闘したけど、それだけじゃダメなのに気がついたんだわ(T-T)
なんて言うか、これ、初期作の『オーデション』のキャラだから、なろうっぽくしようと格闘していてさ、
池上が日雇い派遣なんだよね(///∇///)」
作者が赤面しながらため息をつく。
「そうでしたね…。」
私は笑って作者を見た。
意気揚々となろうへログインした私の作者は、Web小説と言う新しい世界の目新しさに当てられて、それっぽい話を作ろうと頑張った。
なろう…一般人のうっすい知識では、
主人公はニートか無職で、異世界でスマホが無双。
と、こんなところです。
明治時代の洋食屋の店主が本を片手に見たことのない西洋料理を作るような感覚で、なろう魔改造をして始めに作られたキャラが瀬謙奈美。
あまり若くても、上手くキャラが動かせないので30代、とにかく、無職にして、仲間も無職で話を作り始めました。
仲間も無職にしてしまったために頭が混乱し、
職業訓練校設定なんてリアルを入れたために、ますます悲惨な感じになって行きました。
オーデションは、そんな話の習作で、
その為に、語りの池上は中年の日雇い作業員に設定。
なんとなく気が引けるので、早期退職者になったのでした。
「(///∇///)うん…
人間、知らないのに、わかぶって行動なんてするもんじゃないわね…。
この世界のニートとか、無職なんて、よくわからないのに、何してたんだろうね…(´ヘ`;)
今、考えると、ここの主人公のニートとか無職って、
時代劇の『旗本の次男』とか、有閑マダム、そのつばめちゃん、貴族のどら息子とか…遠山の金さん下町バージョンみたいな感じなのね…。
今さら気がついたんだけど、池上の設定は確定したから、この人物設定で、小さな子供をもつ主婦層に、自分の子供の遊び相手として池上を認めて貰わなきゃいけなくなったの(T-T)」
作者は頭を両手で抱えて、テーブルにふした。
「ふふふっ。まさに七転八倒ですね。」
私は、この三年前を思い出しながら微笑んだ。




