作者、パラサイトを振り替える 13
「しっかし…、終わり近くまで書いたミステリーの結末を、自分の話を読み返して探す作者なんて…
星の数ほどいる作者の中でも、珍しいんじゃないかしら?」
作者は玄徳スタイルの農夫の晴れ着の袖をまくり、必死で筆を動かしている。
「作家…と、言うより夏休みの宿題を終わらせられない子供のようですよ。」
私は少し呆れながらも好意的に作者を見つめて言った。
私達は完結近くで止めてしまった『パラサイト』の結末…作者の言うところの『希望』を探していた。
『希望』なんて象徴的な話をすると綺麗だが、
その前に、この話の全容を把握しなければいけません。
基本、『パラサイト』は、SFミステリーで、
7年前に失踪した雅苗のゆくえと、
その夫、溶生に何がおこったのかを追求するものだ。
「推理ジャンル。ここの読者って、なんか、緊張するのよ…。
お陰で、何度か訂正をいれることになったわ。」
作者は筆を遊ばせながらボヤく。
「まあ、事件を追求するのが推理小説ですから、
細かい事に気がつく読者が多いのは仕方ないでしょうね。」
「そう言われちゃーおしまいだけど、
でも、書いてみないと分からないものよ。
私、ミステリーって、怪人も探偵も、作者の中にいるんだと思っていたけど…
違うんだなぁ…これがっ。」
作者は各スーパーのコロッケの違いでも話すように人懐っこく言う。
「どういう事ですか?」
主婦の噂話をしている雰囲気に少し楽しくなりながら私は聞く。
「そうね…。数話すぎたあたりから思ったんだけど、
ああ、私、アクセス数とか時間とかを見ながら読者を想像するんだけれど、
なんかね、毎回更新しながら、アクセスを見ていると、追求されている気持ちになるのよ。
まあね、私が犯罪をおこすところから始まるんだから仕方ないけど、
なんか、読者を相手に設定のミスが無いか、そればかり気になるのよ…。」
「で、主人公の池上のコーヒーについての記述を増やしたのですね。」
私の言葉に作者は素直に頷いた。
「うん。なんかさぁ…、初めてのミステリーで、はじめの数話の書き方がね、
怖いぞー
いわくがあるんだ
あやしいぞー
って感じに書かれていて、
ミステリー好きの人なら、この辺りで書き慣れてない事に気づくんだろうな。
なんて、考えちゃったわ(--;)
それから、ずっと、アラが無いかが気になっちゃって…。
ホント、いやぁね。」
作者は世間話をする主婦のように語る。
玄徳スタイルで、美しい桃園には似合わないのですが、ご愛嬌。
さて、この作者に先を考えさせるのが私の腕です。
孔明なんて必要ない事を…
私の存在意義をしっかりと見せつけなければいけません。




