作者、パラサイトを振り替える 11
昼下がりの桃園で、私は関羽のコスプレをし、月餅を味わいながら、私の作者が落ち着くのを見守っていた。
現在、我々は止まった連載『パラサイト』を作るべく推考をしているのだ。
林檎殺人事件という名曲を手がかりに、7年前の事件を探り始めたまではよかったのだが、
混乱する内容に追われて、作者は雅苗と言う失踪者について、すっかり忘れていたことを本文を読み返して気がついたのだ。
謎の失踪者、若宮雅苗は哀れな被害者ではなく、
寄生虫を遺伝子組み換えをして、
人に寄生し、相手を思うままに操る、そんな特撮ヒーローものの悪役みたいな事を考える人物だったことに、15話を読んでいて気がついたのだ。
「さあ、お茶でも飲んで落ち着いてください。
貴女は作者なのですから、あなたが物語の展開に驚いてどうするのです?」
ぶっ。
しまった…とは思いましたが、つい、笑いが漏れてしまいました。
事件を告白する犯人が、うっかり己の犯行を間違えて覚えていて、
それを刑事に誠実に話してからの、間違いに気がついて慌てて訂正する。
こんな局面、なかなか見ることはありませんから、つい、気が緩むと笑いたくなるのです。
「笑わないでよ…。もう。信じられないわよ…。
まさか…、雅苗が、あんな恐ろしい事を考えていたなんて…(-""-;)
しかも、遺伝子組み換えって言っても、そんなぶっ飛んだもん作れるの!?
ああっ、こんな結末、読者にバカにされちゃうよ(>_<)」
作者は頭を抱える。
「別に…実行したわけではありませんよ。
寧ろ、この話は、物語を面白くするためのフェイク。
この辺りまでは、私も知ってますが、
MMRに励まされ、初めての推理エリアの短編を作ろうとしていた貴女は、
オーソドックスに話を構成していましたよ。
過去の因縁。
不気味な噂。
めぐる運命に屋敷に誘われる人達。
怪奇大作戦や、Xファイル等でも、これくらいの話は登場しますし、
MMRのキバヤシさんが結構自由人ですから、これくらいは平気だって、気が大きくなってましたよね?」
私は途中まで『魔法の呪文』と並んで書かれていた時のこの話を思い出していた。
MDを引っ張り出して、『あしたのジョー』のサウンドトラックを聞きながら、この人が作り出していた世界。
私には良くわかりませんが、映画の曲を何度も聞き返して…
どうして、男の友情の曲を聞きながら、クリーチャーを自作し、男を罠にかける女の話を作れるのか…
良くわかりませんが、ノリノリで作っていたのは確かです。
「そうだっけ?うーん。分からないわ…。
ブックマークの事を考えていたのかな?
確かに、ジョーってイメージ無いもんね。
まあ、横で『魔法の呪文』のリリアの恋についても考えたんだし、まあ、そんなもんよ。」
作者は不可解そうにお茶を口にする。
それから、確認するように『あしたのジョー』の関係の曲を桃の精に演奏させた。
「多分、最高ブックマークで無くなった『オーディション』について考えていたのね。
あの話より面白い話を…
ブックマークも評価点も上を行く作品を作ろうとか、バカなことを考えて盛り上がってたんだわ…私(T-T)
あははっ。気持ちだけは男前よね…私(;_;)
これでエタったら、凄く恥ずかしいわね。」
作者は…まだ、改編をする前から燃え付きそうな笑顔を私に返した。
「絶対に、それはしないって、
他者を探しても完結させるって、決めませんでしたか?」
私は寂しそうな作者を見つめた。
本当に…仕方ない人なんだから。
私は馬頭琴を手に一曲弾くことにしました。
若葉 溶生作曲の作中曲
『輪廻円舞曲』を。




