作者、二時間ドラマを懐かしむ 17
「まあ、さ、仕切り直しも出来そうだし、さて、デートの話でもしようか。」
作者は微笑んでコーヒーを口にした。
「昭和風味のデートでしたね?」
「うん。でも、本物ではなくて、少女漫画に出てくるようなやつ。」
作者はそう言ってため息をついた。
「ダメだ、ごめん。ちょっとまえに『魔法の呪文』を更新したんだけど、抜けない(T_T)
なんか、深い海から急に陸に上がった気持ちなんだよね。」
作者はコーヒーを一気に飲んで眉をしかめた。
「そうですね…。なかなか苦労していましたね。」
私は、『魔法の呪文』の製作時の作者の混乱を思い出す。
「うん。童話は書き始めるとなんか、その世界に頭をもって行かれる気持ちになるんだよね…。」
作者は困ったように笑って、
「ごめん、コーヒー取ってくる。」
と、言い残して部屋を出た。
困りましたね。
私は、混乱する作者を見送りながら考える。
冬の童話の時も大変だったが、今回も結構世界観が作者の頭を支配しているようです。
が、こちらはこちらで動かさないわけには行きませんから、何か考えないと。
「ごめん。持ってきた。」
作者はお湯の入ったポットとインスタントコーヒーをもって現れた。
「早いですね?」
私は、考えをまとめる暇もなく作者に声をかける。
「そう?お湯持ってきただけだからね。もう、長期戦だわ。」
作者は自分の陣地にポットとコーヒーを置き、気に入りの大きめのマグカップでなみなみとインスタントコーヒーをつくる。
「長期戦ですか?」
私は作者を見て聞いた。
「童話、抜くの大変なんだよ。
なんか、この脇役語りも広がってきたし、始末をつけなきゃいけないものが増えてるから、書かないと。」
作者は苦笑する。
他の作家さんは知らないが、私の作者は短編一作に頭をもって行かれて、しばらく他の世界を作り出せなくなる。
繋がる世界もあるので、関連のある話は、他にも創作欲が広がるものもあるが、童話は頭の違う部分を使っているのか、しばらく、童話の世界から抜けられなくなる。
「まあ、無理をしない程度にやりましょう。
私たち、それほど閲覧もありませんし、それに、急いだところでどうにもなりませんから。」
私は穏やかに作者をなだめる。
実際、冬の童話のあと、文体が乱れたり、言葉遣いが変わったりと、なかなか大変だったのだ。
「うん。でも、あんまりのんびりすると、そのままエタりそうで怖いわ(~_~;)
あんな、エターナルなんて披露し、ブックマークも点数も消されてないのに、更新できないじゃ、情けないもの。」
作者はため息をついた。
「そうですね。でも、こんな時くらい、読者に甘えて世間話でもしませんか?」
私は、私と話すだけが目的の会話に心がときめいた。
「うん。昭和歌謡でも聞きながら、ゆっくり話そうか。」
作者はそう言って微笑んだ。




