作者、二時間ドラマを懐かしむ 16
「おちゃ、いれるわ。」
すっかり暗くなった部屋の電気をつけながら、作者が部屋を出て行く。
私は、虫の声を聞きながら、昼間とはうって変わった冷たい風を頬で感じた。
ここの気候は昭和風味。
蒸し地獄の21世紀を現実逃避しています。
さて、これからどうしましょうか?
ルル・ラブア先生とつづる甘酸っぱい恋占いの話なんて、私の作者に出来るのでしょうか?
私の作者は、お世辞にも恋愛経験が豊富とは言えないのですから。
「入るわよ。」
作者がお盆にコーヒーとデザートをのせて戻ってきた。
「はい。」
作者は、ベニア製の小さなテーブルにコーヒーをのせると私に差し出した。
それから、自分にはそうめん用のガラスのどんぶりに山のようにフルーツやら、アイスをのせたものをおき、スプーンで一人食べようとした。
「待ってください。」
「え?」
「え?じゃありませんよ。なんですか、この格差はっ!なんで私はコーヒーだけなのですか?」
私は穏やかに抗議した。
「だって、昭和の恋の話をしようと思って。ほら、あの時代、
男性はブラックコーヒー、女性はフルーツパフェ。なんて言われていたじゃない?」
作者は、悪びれる様子もなく言ってのけた。
「それ、そのどんぶりのブツはフルーツパフェ、と、言う事なのですね?」
私は少し呆れながら確認する。
「うん…。ちょっと、大きいけれど、ガラスの器がなくってさ。ちょっと、大きかった?」
「とても、大きいです。どうして、コップで作らないのですか!
謹み深い昭和の乙女は、初デートでどんぶりパフェなんて食べませんよ。」
私は呆れながら作者を見た。
作者は、私の言葉を聞きながら少し赤面しながら文句を言った。
「私だって…、もっと、こう、昭和風味のパフェを作りたかったのよ?
足のあるパフェの皿の真ん中にプリンをのせて、ウサギさんのリンゴが横にあるような…。」
「ウサギ、失敗したのですね。」
私はここで、アイスの雪に埋もれた無惨な林檎のバラバラ死体をめざとく見つけた。
「………。一緒に食べる?」
作者は誤魔化すように可愛らしく言いましたが、ちっとも可愛くはありません。
「じゃあ、私もコーヒーいれてこよう。」
作者は、そう言って台所へとかけていった。
おいて行かれた私と、どんぶり…は、気まずい空気の中、これからの事を考えます。
お盆には小さなお皿が二枚とスプーンが二つ。
ちゃんと、分ける気はあるんじゃないか。
私は小皿をテーブルに並べて、どんぶりの中身を再構築する。
私の作者が食べたパフェの記憶をたどると、初めてはお父さんと近所のスーパーのフードコートのようです。
足のある、パフェ用の皿の真ん中にさくらん坊の乗った、絵にかいたようなプァフェ?
いいえ、あれはプリンアラモードではないでしょうか?
ふふふっ。
なんだか、少し楽しくなってきました。
コップやグラスを使って作れば簡単なものを、
プリンアラモード風味にしたかったのでしょうね。
絵に描いたようなプリンアラモードを作者と食べた男性は、あとにも先にもお父さんだけなのですから。
頑張ってみたのでしょうが、ガラスの器がこれしかないので、こんな風になったのかも知れません。
私は、慎重に中央のアイスの山に鎮座するプリンをスプーンで崩さないように小皿に移し、
出来るだけ、綺麗に見えるように果物などのパーツをのせた。
ある程度取り分けてしまった所で作者が戻ってきた。
「あれ?取り分けたの?すごいわね。とても綺麗。」
作者はコーヒーを手に私の向かいに座る。
「器用ですから。」
私は、作者に微笑みかける。
「だったら、小説も書いてくれない(T-T)」
「それは無理です。」
私は、冷たくいい放ち、作者は口をへの字に曲げる。
「ちえっ。仕方ないか。私が作らないとね…。
その為に、私のベースの星占いについてまとめないと。」
作者はそう言ってコーヒーを一口飲んだ。




