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脇役語り  作者: ふりまじん
蘭子に関する物語

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作者、二時間ドラマを懐かしむ 10

キバヤシさんと同じ時代を生きる。


いまだ、原文を見たことがない、伝説のSFミステリー「MMR」


ネットの評価や感想、画像を検索しただけですが、なかなかの存在感のある話のようです。


私たちは、昭和の二時間ドラマの刑事物をイメージしながら話を作り始めていて、MMRのような、少しデフォルメのきいた、若々しい青年編集者の世界観を急に取り入れるとなると混乱します。


「本当に『MMR』は、私達の物語に必要なのでしょうか?」

私は、困惑しながら作者に聞いた。


確かに、70年代の二時間ドラマは、特殊効果の入った怪奇ものの物語もありましたが、MMRとは、なにか、雰囲気が違うのです。

それに、あんなに似てくるのを嫌っていた作者が、いきなり方向転換するのも理解できません。


「必要…と、言うより、ニーズなんだと思うわ。」

作者は、難しい顔をしながら言葉をつづけた。


「少し前に、銭形警部の実写のドラマがあったんだけれど、物凄く違和感があって、友達に愚痴を言った事があるのよ。

まあ、ね、『ルパン三世』は、長い歴史のあるアニメだから、世代によってニーズが違うのよ。


もう、テレビの製作者も、私より若い世代に変わっているだろうし、

テレビ局の狙う視聴層も私より若い世代だろうから、銭形警部のイメージも、アニメの世界が主流なんだと思うわ。

でも、私の世代…ルパン三世が放映された初めの辺りからの視聴層なら、銭形警部のモデルになっただろう、ドラマの刑事やら、探偵を思い浮かべてしまうから、アニメから、実写に変わった銭形警部が、あまりにもアニメに近いと違和感があるの(私だけかもしれないけど。)

で、これ違う感について、つい、不平を口にしたんだけど…、その時、引き合いに出して話していた『本物の刑事』が、今思うと、全てドラマで見た、架空の刑事の事だったのよ。


あの時は、それについて何も感じなかったけど、

こうして、話を作る側にまわると、こまかいところが気になるのよ。


私の話に、小銭を出してくれそうな読者を集めるには、実在するミステリーマガジンの編集社の人間を考えるのではなく、


本物の二時間ドラマのミステリーマガジンの記者を作らなきゃいけないのよ。


だって、読者が懐かしくて会いたいと考えるのは、実在する知らない編集社の人間ではなく、その時代を一緒に歩んだ、本物の漫画のミステリーマガジンの記者なんだから。」

作者は、そういってため息をついた。


「なんだか、複雑な話ですね。」

私もそう言ってため息をついた。


「でも、少しだけ物語の世界観は決まってきたわよ?

90年代。オカルトは下火と言われても、世紀末の需要でノストラダムス関連の本は売れていたし、

なかでも、一番人気なのが、雑誌『MMR』。

発刊されると、北条の属する出版社のミステリー部門の人たちも色めき立つわ…。」

作者は、これから活躍する北条の世界を少しだけ作り出す。


「『MMR』って、雑誌の名前でしたっけ?」

「知らないわよ…。これから調べるけれど。

でも、この話のおかげで、盗作についての概念も少しだけ変わったわ。」

作者は、疲れた顔で微笑んだ。


「どう言うことです?」

「うん。私、少し前まで、読まないで知らなければ盗作しようがないし、

有名な物語と似てきたら、内容を変えることばかり考えてきたわ。

でも。それだと面白くなくなるのよ。

設定によって違うけれど、この場合、90年代、大予言や、ムー、MMRがオカルト業界のトップだったのは間違いないのだから、

同じ時代の雑誌社の人間の話を作る場合、これらの発行物に影響されるのは、仕方の無いことだわ。


MMRで、ヒトラーの特集をしたら、それが流行るのだから、そこに便乗するわよね?


例えば、MMRがナチスとチベットの地下帝国を特集したなら、


私たちは、ナチスと超人類について考えるわけよ。 天才編集長キバヤシさんが、地下を調べるなら、

私たちは、空を調べるのよ…。」

作者は、楽しそうに頭を働かせていた。

「そら…UFOですか。」なんだか、段々、当初のイメージから外れる予感に不安になりながらも聞いてみた。

「うん。チベットには、クローリーも登頂したらしいし、その辺りと、宇宙人について書いて、読者を惹き付けるの。

確かに、MMRは架空の話ではあるけれど、同時に90年代のオカルトのブームを実際に作り出してもいるのよ。

だから、無視をすると、90年代の雰囲気は出てこないし、読者の懐かしさを引き出すことも出来なくなるわ。

この辺りのさじ加減は大変だけれど、まあ、練習してみるわ。」

作者はそう言って笑った。

「しかし…なんだか、イメージが変わってしまいますよね?」

UFOなんて持ち出して来た作者に、私は、不安を感じてきた。


私と作者の作り出した世界を、キバヤシにとられて行くような、嫌な気持ちになる。


盗作と言うと、盗作者の方が、誰かの作品を蹂躙するイメージだったが、


あまりにも強烈な個性を放つ、そんな作品に触れて影響をうけた場合、

盗作したとされる側が、世界観を乗っ取られる気持ちになるものだと、その時感じた。


キバヤシが、圧倒的な魅力を放ちながら、私の作者を奪って行く…。


そんな気持ちになるのは、私のワガママなのでしょうか?


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