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プロローグ1 『追想』
ハウルと呼ばれたあの飛行船で出会ったヒトたちは、これまで俺が見てきた誰よりも特殊で、誰も彼もが普通ではなく、どこかおかしく奇妙な人間たちだった。
考えたら、人間誰でも自分は特別で、自分の身の周りにいる人間だってどこか特別なヤツらなんだと思い込んでいるヒトが大半なんじゃないかと思う。俺だってそう思っていた。でも、ハウルで出会ったヒトたちを見ると、自分の周りにいる人間だけが特別じゃないと気づかされた。
それこそ気づいていないだけで、自分の友達にしたって、少し相手のことを知るとこんなおもしろみのあるヤツは他にいないんじゃないかと思ったりするモノで、いろんな特徴が集まったその個性を、特別でおもしろいものだと思い込んでいるのだ。
しかし実際、どんなヒトだっておもしろいところの一つや二つはあるし、けれどもそれが、特別に異質なものであることなんて、少ないんじゃないだろうか。存外、そのヒトはなにも突き抜けてないんじゃないだろうか。
けれど――ハウルにいたのは、そんなヒトたちだった。