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プロローグ 予言

以前、ヒロインとヒーローの交互視点で書いたものと内容は同じです(出版社様に応募した際、三人称の方が相応しいかと考えて改稿)。

 フォッティニア王国には、予言者がいる。その予言は、一度も外れたことがなかった。


 予言者は代々フォッティニア人の中から選ばれ、隣国イドラーバとの国境近くにある神座山と呼ばれる山の奥深くで、身を清めながら暮らす。そして、神がその身体に乗り移って予言をするのを日々待ち続ける。

 予言が降りるその時には、天から予言者に光の筋が降ってくる。そして、予言者の身体を借りた神の声が、周辺一帯に殷々(いんいん)と響きわたるのだ。


 ある年の春、二十年ぶりに予言が降りた。

 イドラーバの王は、城の玉座にいながらにして、木霊のように響き渡る予言を聞くともなしに聞いていた。

 今までのたいていの予言は、フォッティニアの玉座に女王が就くとか、国境付近で地震が起きるとか、イドラーバには関係ない内容が多かったのだが──


 ――その日の予言は、違った。


『フォッティニア王国ガーヌの町に住む乙女、名をオリーヴ。彼女が生む子は──』


 その先を聞いて、王はぴくりと目を開いた。

 イドラーバに関係があると思われる内容が続いたのだ。


 神の言葉はもう一度、繰り返された。改めて最初から最後まで聞き、彼は思わず笑いを漏らす。


「ほう……こんな予言を、イドラーバの王たる我の耳にも届かせてしまうとは、神とは残酷なものだ。我がオリーヴという名の乙女を殺してしまえば、この予言は成就しないものを」

「フォッティニアの予言者の予言は、外れたことがございません」

 そばに控えていた配下の男が、静かに指摘する。

 王は低く笑った。

「面白い。試してみるか。我がオリーヴという名の乙女を殺しに行ったとき、何が起こるのか。予言を聞いた人間たちは、乙女を守ろうとするだろう。やつらと少々遊んでやってもいい」


 一方――

 フォッティニアの、予言者のいる山側とは反対の端で暮らしていた乙女オリーヴは、自分に関する予言があったことなど、知る由もない。

 一人暮らしの小さな家で、いつものように仕事に精を出していた。


 二人はこうして、出会うことになる。

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