コンビニでの恋のはじまり方とその後
私はテスト勉強の気分転換のため甘い物を買いにコンビニに来ていた。時刻は23時。こんなに時間に食べてはいけないとわかっているため勉強を捗らせるためと自分に言い聞かせ来た。店内には客がいなく安心した。こんな時間に食べ物を買っている姿を見られるのは恥ずかしかった。誰もいなく静かだったため、店内に時計が時間を刻む音が響く。その音を数回聞いたところで扉が開き、客が来たことを知らせる音楽が流れる。私は急いでおにぎりと飲み物を決めレジに向かった。レジに向かう途中に入ってきた人とすれ違った。店内に入ってきたのはラフな格好の高校生ぐらいの男性だった。私はレジに商品を置き、カバンから財布をと取り出そうとカバンの中に手を入れた。しかし探している物の感触がない。カバンの内ポケットをみるがない。カバンの蓋を全開にして中を自分の目で確認する。カバンの中にはハンカチとポーチ、スマホしか入ってない。ポーチのなかには当然入ってないしその下にもない。時計の音とバーコードを読み取る音が私を焦らせる。
追い討ちをかけるように男性が商品を持ってレジに来た。しばらくし機械音が止み40代前後の男の店員私が恐れていた言葉を口にした。
「864円です。」
店員もわかっているはずなのに値段だけを口にし、早くしろと目で合図をしてきた。私は混乱して商品を置いて立ち去ろうとした。その時、うしろからお札がでてきてレジに置かれた。男性がかわりに払ってくれたのだ。店員はさもあたりまえかのように無表情でそのお札を受け取りお釣りを私に渡した。
私はそのお釣りを後ろにいる男性に渡した。この時初めて私は男性の顔をみた。怒った顔がまったく想像できないとても優しそうな顔立ちをしていた。
「ありがとうございます」
そう、礼を言い男性にレジを譲ろうとレジから離れた。
「あ、あの.商品を忘れてますよ。」
男性の言葉でレジ袋を受け取ってないことに気づき、レジ袋を受け取った。このとき顔が真っ赤なのが自分でもわかった。レジ袋を受け取った私はそこから逃げるように店から出た。
店から出てすぐにお金を返さなきゃと思い足を止めた。私は髪が乱れてないか確認をしたり服の乱れを直し男性が出てくるのを待った。間もなくして男性がレジ袋を持ち、出てきた。私は深呼吸をして話しかけた。
「あの……」
声が少し上ずってしまった。男の人は足を止め不思議そうな顔をした。
「先ほどはありがとうございました、お金返したいので……」
どうやって返そうか考えていなかった。待たせてはいけないと思ったら口が勝手に動いた。
「家来ませんか、すぐ近くなので」
私はとっさにとんでもない言葉が出てしまったことに気づき後悔した。
「気にしないでください、全然大丈夫ですよ。」
夜遅くだったためハッキリと見えなかったがその笑顔はとてもかっこ良く見えた。
「じゃあ、僕はここで」
そう言いどこかに行ってしまった。
それ以来男性と会うことはなかった。