続、続・婚約者
新年から嫌な奴に会うとその後そいつに会うたびに新年早々こいつにあったんだよなって思う、と相談してきた奴が数年後の年賀状でそいつと結婚したと送って来た、なんてことを思い出した。
そんな事を思い出すような出来事が起きた、そう、親の開いた新年を祝うパーティーにあいつが来ていたのだ。
一応婚約者なので挨拶をしたら
「アレックスさま、あけましておめでとうございます。」
と笑顔で返された。
こちらは引きつった笑顔で返したら睨まれた。
そして、俺とあちらの両親の要らん気遣いで二人きりになった時にブチ切れられた。
「貴方何なんですの!私がこらえて笑顔で対応したのにあの引きつった顔は!良いですか!今後表に出るような時は私たちは仲の良い婚約者でなければいけないのです!」
と言われて気がついた。
俺はなんて事をしていたんだと。
上の者を敬うのは当たり前で、自分はその上の者に商品を売って稼いでいるのだと。
そして、婚約者の親は上の者である貴族の中でも上の方である大臣だ。
もし、婚約が破棄されたら家は王家御用達から降ろされるだろう。
うちは王家御用達で無くなればただの大きな商会だ。
それを踏まえて考えると、悪いのは俺だ。
上の者が先に話すのは当たり前だし、猫型の魔獣とかを見たら怖くもなるだろう。
わがままを言われたのは腑に落ちないがそれは子供だからだ。
つまり悪いのは俺だから、謝罪しなければならない。
そう、心に決めた。