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幽霊探偵  作者: ホワイト
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焦り…

一年も前の事を思い出していた。とにかく今探している男を見つけださなくては…

タイムリミットまで残りあと3日…

俺はいつもと何かが違う事に焦っていた。嫌な予感がする…

このまま捕まえられないじゃないかと…

俺は探偵の直感を信じ、事前に主催者…いや依頼者に連絡をとった。

いつも不思議な感覚にとらわれて依頼者の立花と連絡を入れていた。何故ならあの世と携帯で繋がるからだ…

もっとなんかテレパシーみたいなぁものを期待していたから、余計にそんな気持ちになるのだろう

周りからみたら普通の探偵となんら変わらない…

依頼者の立花が電話に出た。相変わらずの冷静の口調で…

立花はまず慌てる事がない、始めて逃げ出した黒木の時は別として、いつもこうだ。

俺は依頼者の立花に事情を話し出した。

「大月の奴何処にも見あたらないです。今回ばかりは流石の俺でもお手上げ状態なんです…」


これで少しは流石の立花でも慌てるだろうと思っていた。

しかし、意外にも立花は冷静だった。何故そんなに対応するのか不思議だった。連れ戻さなければすべてのバランスが崩れしまって大変な事になるのにどうして…

俺はその事を尋ねてみた…

「立花さんは…何故そんなに冷静なんですか…」

立花はこう答えた。

「連れ戻さなくてもバランスを崩す事はなくなったからですよ。」


「えっ…そんな話し聞いてませんよ!」


「言ってしまうと斉藤さん真剣にさがしてくれないでしょう」


俺はムッとしたが事実であった。時間がたっぷりあると先延ばしにしてしまう、どうしようもない癖があったからだ。

「でも、一言、言ってくれても良かったんじゃないですか?人が悪いですよ立花さん…」


「先程はちょっと言い過ぎましたが、つい最近そのシステムが出来上がったものですから…」

「今までは無事に捕まえる事ができたかも知れませんが、万が一の時の為に先に手を打ってシステムを作り上げたんですよ」

「時間掛かりましたよ。そちらの時間で1年ですから…斉藤さんがリトライし始めてすぐに進めましたから…」

「ただ、まだ逃げられる可能性はあります。そのシステムはまだ作られてないからです、そして、何よりタイムリミットまでに捕まえられなかったら悪霊としてプレイヤーに悪さをしてしまうので、これだけは今は一番避けたい所なんですよ斉藤さん聞いてます?」


「はい、もちろん聞いてますよ…」

とにかく立花は話し出すと、マシンガンのように一方的に話す…俺はそれほど頭が良くない為、一気に言われても理解しきれていなかった。

「要するにタイムリミットまでに捕まえろ、と言う事ですか?」


「はい、そうです」

もっと簡単に言ってくれれば話が早いだけど…と俺は思っていた。

「期待してますよ、斉藤さん…」

立花は意味ありげな言い方をした。そして本題に入った。

「はぁ…何とか…ちなみに他の手掛かりはないんですか?」

「手掛かりですか…」

立花はしばらくしてからこう話した。

「そう言えば、何かやり忘れた事があるとか…呟いていた気がします。」

「すぐにはこれしか思い出せません。また何かの手掛かりになりそうな事があったら連絡します。」

と一方的に切られてしまった。

俺は他にいろいろ聞きたかったが勝手に電話を切った立花にイライラしていた。


立花が言っていた大月が

「やり忘れた事」の意味を考えていた。

確か、大月はIQ150以上の超天才!で、大学院で妬みによって殺された。何故、日本の大学にいたのか不思議な感じがする。それだけの頭があれば世界トップレベルの学校も狙えたはず。

そして大学では心理みたいなものを専攻していた。それもかなりの成績で将来有望視されていた。

しかし、大学を何日、調べても何も手掛かりらしいものはなかった…。

俺が立花から教えられた映像では、やり忘れた事の意味がまるで分からない…。

一体やり忘れた事とは…と思いもう一度大学に足を運んだ。

俺が使っている事務所兼自宅の新宿から車でおよそ30〜40分だろうか、その大学があった。誰もが知っている、エリート中のエリートの大学。今時エリートとは死語なのだろうか…そう思いつつ、大学に着き、前に大月の事を聞いた教授の元を訪ねた。受付で教授を呼び出してもらい、大月が言っていたやり忘れた事の意味を聞いてみた。


「教授。お忙しいところ、すみません。」

「別にかまわないよ、ところで大月君の幽霊は見つかったのかね?」

そう、教授は唯一、俺の話を信じてくれた、1人だ。

「いや、まだ見つからなくて、それでちょっとお伺いしたい事がありまして…大月さんがやり残した事なんてなかったですか…」


「やり忘れた事…ね…」

「今、急に言われてもわからないなぁ…」

それもそうだ。

簡単な事だったら苦労はしていない。

「もし何かわかったら前に渡した名刺のところに連絡もらえますか。」

「わかった…連絡するよ。」

軽く教授に会釈をして大学を後にした。

教授が思い出してくれる事を祈っていた。

何故なら、大月には友達らしい友達はいなかった…唯一同じ学部の佐藤は大月を殺した後、姿をくらましている。

俺は、殺した佐藤の所に大月が現れると思い捜したが見つからなかった。しかし、まだ佐藤は生きている。

死んでればゲームオーバーとなり、立花の所に行くはず…だが、その連絡も立花からはないからだ。

俺は一度、事務所に戻る事にした。

手掛かりも何もない…

俺は車を運転しながら、何か見落としがないか考えていた。

ふと、ある場所に行っていない事に気づいた。それは大月の自宅だ。なんてことだ、すっかり佐藤の所に行くものだと考えていたから頭から抜けていた。

初歩的なミスを犯してしまった。

大月の家の場所は教授に聞けば分かるはずだと、携帯を取り出し大学へ電話した。

「もしもし、斉藤と、言いますが佐々木教授をお願いできますか?」

事務員が電話にでた。

「いえ、今日はもう帰られましたよ。」

しまった…帰ってしまった後か…

「それじゃ教授の連絡先を教えてもらえませんか?」

「それは出来ません。」

ケチな事務員だ。少しぐらい教えてくれても良いと思った。それでもこっちは、なんとか聞き出そうと必死だった。

「どうしても駄目ですか?急用なんです」

「そう言われましても無理なものは無理です。」

なんて頭の固い事務員だ。俺は諦めて電話を切った。

どうする…。

どうする…。

と、何度も言い返した。

後、今日を入れて3日…とりあえず美里に相談するかと、事務所へ急いだ。

ここ一番の閃きは俺よりも鋭く何度も助けてもらっていた。

見た感じはちょっとおっとりした感じなのだが…そんな事、本人の前で言ったら、ふてくされてしまい、後々ご機嫌を取るのも大変だった…。

しばらく走っていると渋滞にはまり、その渋滞に苛立っていた。だから車は嫌いなんだ…バイクだったらと何度思ったか!

美里がバイクは危ないからと、車を買ったのだ。ただ俺的にはバイクの方が楽しく移動出来ると思っていた。大月を捕まえられないイライラと渋滞のイライラで、苛立ちがピークに達していた。

普段なら30分もかからないところが渋滞のおかげで1時間半も、かかってようやく事務所に辿り着いた。

もう心身ともに疲れていた。

車を立体駐車場に入れ事務所へ駆け上がった。

築何十年も経っているビルの2階に事務所がある。立地の条件と家賃の安さからここに決めた。近隣の人から聞くと前に自殺した人がいたから安いんだそうだ。

こちらは1回死んでる身、そんな事は関係なかった。

事務所の扉を開けると、美里が書類の整理に追われていた。俺はデスクワークというのは嫌いで、書類関係はすべて美里にお願いしてあった。

俺は美里に

「ただいま」と言った。

美里はびっくりした表情になっていた。突然声をかけたがらびっくりしたのだろう、と思っていた。

「おかえり…」と一言だけ。

何か元気がない。

いつもだったら真っ先にいろいろ聞いてくるのに、調子が狂ってしまう。

一体何が彼女をそうさせているのかは、俺にはわからなかった。


「美里、今日はやけにおとなしいけど、何かあったのか?」

しばらくして美里が口を開いた。

「うん…。和章に頼まれていた、リトライする前に和章を突き落とした女性の事を調べがついたの。それで、意外な事がわかったの!」

そうだった。リトライし始めていろいろ聞かれている時に、美里に頼んであった事と忘れていた。

逃げ出した者達の事で、頭がいっぱいになっていたからである。

美里が内容を話し出した。

「和章の事を突き落とした女性は昔、依頼者から何らかの理由で逃げていたの、詳しい内容までは調べらなかったけど…」

「その女性は和章の事をかなり恨んでいたみたいなの…そこで、なんとか仕返しが出来ないものかと考えている時に、昔付き合っていた彼にアドバイスを聞く事にしたみたい。それがなんと…大月!和章が追ってる大月。大月が彼女に何らかのアドバイスをしてたみたいなの。」


俺はその話しを聞いて驚いた…。

大月とその女性が後ろで繋がっていたからだ。

待てよ…リトライする前に俺を突き落とした女性に聞けば、何らかの大月の手掛かりが聞けるかも知れない。ただ俺には会いたくないだろう、恨んでいるのであれば…美里に頼むか…

俺は突き落とされ殺された事なんて考えてもなかった。

その前に、その事を知っているのは、記憶を残しリトライした、俺と美里しか知らない…。

とりあえず美里に明日、その女性にそれとなく大月の事を聞いて欲しいと、伝えた。

そして、大月がどこにも姿を現す事がない事を美里に相談した。立花に言われたやり残した事を…。

「美里…大月がやり忘れた事ってなんだと思う?」

美里は俺が何を突然言い出したのかと、驚いていた。

「やり忘れた事って、大月の事?」

「そう。」

「今までの手掛かりの中には、それらしいのはないの?」


「そうなんだよ。それが見当たらない。」

「和章がわからないなんて珍しいね。」


「ただ一件だけ、大月の家にまだ行っていない、というよりは忘れてた、と言った方が正しいけど」


「じゃあ、そこに何かの手掛かりが見つかるかも知れないじゃん…」


「それは、どうかな?今までこれだけ捜して見つからない大月が家にいる事や手掛かりがあるとは思えないが…」


「確かにそうだけど…」

「私だったら、何か夢中になっていた事があって、それが死んだことで何か掴めて、忘れないうちに誰かの体を使ってやるかな。あくまでも私だったらと仮定の事だけどね」


「でも、リトライしたらそんな事忘れてしまって、無駄とも思えるんだけど…」


「戻る気やリトライするつもりないんじゃないの?そのまま現世に居続けるかもね」


「そうか…確かに…それだったら分かるような気がする。急いでその理由を見つけて捜しださないと悪霊になってしまうな…!」


「とりあえず明日、私はその彼女の所に連絡入れて、何かわかったら連絡するね」

「お願いするよ。俺の方は教授に連絡して、大月の家の住所をあたってみるから一旦、何処かで合流しよう。」


と、言って今日は解散した。


翌日、朝が弱い俺は、出勤してきた美里に起こされた。

毎日のような気もするが…。

相変わらず、美里は朝からテンションが高い…。羨ましいかぎりだ…

俺は美里に、せかさられるように支度を整えた。

美里が入れてくれたコーヒーを飲みながら、今日の予定を組んでいた。タイムリミットまで時間がない為に、効率良く捜さなければ、ならなかったからだ。

しばらくしてから俺は大学に電話をした。教授はまだ来てないと、事務員に言われてしまい、仕方なく来たら俺の元へ電話をくれと、名前と連絡先を伝え電話を切った。

美里は例の彼女に電話をしていた。

電話では、何だからと逢う約束を取りつけていた。

「それでは、10時に新宿で…はい、失礼します…」

と、言っていた。

すでに、時計の針は9時半を指していた。美里は支度を整え

「行って来まーす。」と言って事務所を出て行ってしまった。 美里は前のイメージとは全く違っていた…。あの世にいた時は、自分で話していた、会社でいじめられていて、かなり精神的に参っていたらしく、暗かった。

そう、今とは正反対…。環境が変われば、人もまた変わるか…。

最初、リトライし始めた時は、かなり思いやられると思ったからだ。

そう美里の事を思っていた時、電話がなった。


「はい、斎藤探偵事務所。」


「斎藤君かね…どうした…」

声の主は佐々木教授だった。

「あの、大月さんが住んでいた、住所ってわかりますか?」


「あーそれだったら、すぐに調べる事が出来るよ。」


「何か手掛かりでも、見つかったのかい?」


「いえ…まだです。だから、大月さんが住んでいた所にいけば何か掴めるんじゃないかと…」


「そうか…ちょっと待ってろ、調べて、また、電話するから。」

「わかりました。お願いします。」


万が一、大月の家に行って手掛かりがなかったら…どうするか…後は、美里だけが頼りの綱だな。考えていくと焦る一方だ…焦ると、ろくな事がない事はわかっているのだがタイムリミットを考えると、焦ってきてしまう自分がいる。

再び電話がなった。きっと教授からだろう。

「はい…」


「あ…斎藤君か。」やはり、教授からだった。

「大月君の住所だがな…」やけに、声のトーンがさっきと違っていた。

「ないんじゃよ…そこだけ、消されてるんじゃ…」


「消されたって一体どいう事ですか?」俺は驚いて声のトーンが上がってしまった。

「大学のデータベースにすべて管理されてるのだが、大月君のデータだけがないんじゃよ…」

「他に調べる方法はないんですか?」

「データを修復すれば、調べられない事もないが、かなり時間が掛かるらしいんじゃよ。すぐにでも必要じゃろ。」


「そうですね。出来れば今日中になんとか…」

汚い方法ならいくらでもあった。しかし、探偵として怪しまれてしまうと、動きずらくなってしまうからだ…その前に、幽霊を捜している方がかなり怪しまれているからだ。


「こっちには、もう今すぐに調べる方法がないんじゃよ。すまんのう…協力できなくて。」

「ただ1つだけ、手掛かりになるかわからんが、大学とは別に、何らかの活動を主催者として、動いていた。という話しがあったそうだ。」


「それは、何処で活動していたんですか?」


「詳しくは、わからんがネットの中だって聞いたがのう…それ以外の事はわからんかった。」


「それだけでも、助かります。ありがとうございました。後は、こちらで調べますから。」

と、言って電話を切った。


誰かが、大月のデータを消した…何らかの理由で…やはり、大月の家には何かあると思っていた。 俺は、教授が言っていた、何らかの活動をネット上で主催者として、動いていた事実を捜した。

案外、簡単にヒットした。そのサイト名は、

「人生=ゲーム」であった。

どこかで聞いたようなセリフだった。

内容はタイトル通りのもので、人生をゲームだと考え、それについて、語っているものだった。大月は大学で心理を学んでいる。それを上手く活用して、サイトにきた人の悩みにもかなり、真剣に答えていた。

そのサイトを良く見ていくと、大月のプロフィールや写真などが、書かれていた。住所までは書いてあるはずがなく、これ以上の手掛かりはなかった…。

仮に、大月がこの事を、やり忘れた事だとすると、理解ができない…他の何かと言う事も考えられる。またしても、行き詰まった。


ふと、気付くと、携帯がなっている。

美里からだ。

「もしもし…」

「和章!美里です。」

それは、携帯を見れば分かるのに、わざわざ名前を言ってくる。

「今、例の彼女と逢って話を聞いて、分かれたところなんだけど。」


「それで、何かわかったのか?」

俺は焦っていた…

「分かったのは、大月の住所だけだった。」

よし、と内心助かったと思った。

「和章の方はどうだったの?」


「俺の方は、教授に話をきいたんだが、大月のデータがすべて消されていた。ただ1つ分かったのは、大学とは別に、ネット上で

「人生=ゲーム」という、活動をしていた事実のみだった…そこで行き詰まった感じだった。」


「それって、あの立花さんと一緒の事言っているのと、かわらないじゃない!」

そう言えば確かにそうだ、大月は現世の立花になる。大月の奴は何か企んでいるのか…。とにかく今は、大月の住んでいた所に行って見るしかない。

俺は、美里に急いで合流する場所を決めさせ、その場所へと急いだ。


 美里との合流場所へと到着し、美里を乗せ大月の住所へと、向かった。大月の住所は、俺達が住んでいるところから、かなり距離がある。その住所によると、千葉県となっていた。高速を使っても、片道1時間ぐらいは、かかるだろう。

手掛かりは、大月の家にあると思っていた。そう思ってないと、正直、不安だった。

そんな事を考えていると、美里が話し始めた。

「大月さんって、例の彼女に聞いたら、そんなに悪い人じゃないみたいだよ。」

何を言い出したかと思えば、大月の肩を持つ言い方だった。俺は、その言い方にちょっとイラっとした。

「そうなんだ、でも見た目ではそんな事わからないし、何かのきっかけで、人の性格が変わる事もあるしね。誰かさんみたいに…」


「誰かさんって…私の事、言ってるの?私は変わってませんよーだ。元々こんな感じだったの!毎日、叱責を受けていて自信を失っていただけですから。」

凄い。ちょっと俺が言っただけ三倍になって帰ってくる。

「そう言う事にしておくよ…」

そんな会話が永遠と続いて、しばらくすると、大月の住所に近づいてきていた。

俺達が住んでいる、コンクリートジャングルとは違い、まだまだ多くの緑が残っており、都会の排気ガスくさい空気より気分的に旨く感じた。

大月の住所に辿り着くと、目の前には一軒のアパートが建っていた。周りは、閑静な住宅街で環境も良さそうな所であった。

俺は一室に向かいインターホンを押したが誰もいるはずもないのは、わかっていた。ここは何処が管理してるのか、周りの近隣の人達に聞いてみた。

聞き込みのおかげで管理している不動産屋の場所と電話番号を入手できた。

早速、そこへ電話をした。親戚と名乗り、何とか開けてもらえないかと相談したが、それがすんなり了解を得た。

その、管理する不動産屋は、10分ぐらいで来てくれる事になった。


しばらく、待っているとスーツを着た男性が現れた。管理する不動産屋だろうと思い、声を掛けた。やはり、管理する不動産屋だった。

その男性に大月の部屋の鍵を開けてもらい、中に入った。

真っ暗な部屋に、パソコンだけが、煌々とついていた。

それを見た俺達は、驚いていた。何故なら、普通、出掛けるのであれば、電気を消して行くのが常識だし、ましてや、パソコンだけを消さずに、部屋を出て行く事、自体、おかしいと感じていたからだ。

そのパソコンには、

「人生=ゲーム」のホームページが映し出されていた。

つい最近、誰かが触った形跡があった。それは、誰なのかは特定は出来ないが、きっと大月だろう。パソコンには、それ以外、特に手掛かりはなかった。俺は、他に手掛かりがないか、部屋を見回した。

そこには、几帳面に整理整頓され、大月の性格がでていた。


特にこれと言って、手掛かりはなかったので、管理する不動産屋に聞いてみた。

「最近、この部屋に来た人は分かりますか?」

「最近ねぇ…。そう言えば、年配の人が出入りしてるのは、通りがかった時に、何度か見たけどね。」

「それは、いつ頃の事ですか?」

「一昨日ぐらいだったかな…。この辺りでみる顔じゃなかったから、覚えてるよ。」


やはり誰か来ていた。

一体誰だ…。

「その人の特徴は覚えてませんか?」


「はっきり覚えてはないけど、確か、50歳ぐらいの男の人で、なんか、どこかのお偉いさんか校長先生みたいな感じの人だったな…それ以外は、思い出せないなぁ。」


俺は、今の言葉を聞いて、ひょっとしたらと思っていた。

頭の中に、ある人物が浮かび上がったのだ。

そう、それは…佐々木教授!!

佐々木教授だったらすべてのつじつまがあう…。データを消したのも、たぶん教授だろう。でも、何故、別の活動の話しをしたのだろうか?

手掛かりにはならないと思ったからか…それとも俺達を試したのか…ちょっと、待てよ…教授に大月が俺達の知らないところで、憑依していたすれば…。

全部の点が一本の線でつながれていく…

俺は、急いで大学へと戻ることにした。管理する不動産屋にお礼を言い、美里と急いで、大学へと、車で走りだした。


新宿につく頃には、辺りは日が落ち、暗くなっていた。

途中、美里に頼んで、大学の教授の元へ連絡を入れたが、いないと言われてしまった。失敗した、教授の携帯を聞いとけば良かったと後悔していた。


タイムリミットまで残り…1日…。

かなりのプレッシャーがのしかかり、これで捕まえられないのであれば、もう無理だと思っていた。

自分の考えが正しい事を祈っていた。

すべては、明日、大月との決着をつけるべく、事務所へと帰った。


翌日、俺達は大学へと向かい、朝から佐々木教授が現れるのを待った。

しばらくすると、それらしい人が運転する車が俺達の横を通り過ぎていった。

間違いない!佐々木教授だと思い、後を追った。

教授は、大学の駐車場へと車を止めた。すぐに、俺達も車を止め、教授に走り寄った。

突然の出来事に教授は驚いていた。

「どうしたのかね…こんな朝早くから…」

「教授。最近、記憶がなくなったり、変な言動を指摘されたことは、ありませんか?」

教授はしばらく考えていた。

「確かに…指摘は何度か受けたことはあるが、気にとめていなかったのじゃが、それが、一体何の関係があるんじゃ?」

俺は、すべてを説明した。

「そうですか。やはり、大月は佐々木教授、あなたに憑依していたんです。」


「わしの体にか…それは、たまげた…。」


「最近はどうですか?」


「そう言えば、特に何も指摘されてないのう…言われたのが2、3日前だったかのう、とうとうボケたかと、言われ怒ったことがあったんじゃ。」


「しまった…一歩、気づくのが遅かった…」

大月に逃げられてしまった。大月は俺達がいずれ、佐々木教授の体を使って、行動していた事に気づかれると思い、身を隠したのだろう。

完全にお手上げだ…俺は、依頼者の立花に連絡を入れた。

「立花さん…捕まえる事ができませんでした…自分の力不足と、大月の方が一枚上手だった。」

すべて、今までの成り行きを話した。

「しかたがありません…こちらでも手を打って、いろいろ試したのですが駄目でしたからね…。これから先の依頼内容を変更します。大月を見つけ出して、即座に、消滅させる事。良いですね。」

「はい。でも、どうやって消滅させるんですか?」


「何、簡単な事です。連れ戻すには赤いボタンでしたが、今度は黒いボタンがあるでしょう?」

時計に目をやると、先程までつけていた時計が新しいものになっていて、黒いボタンが追加されていた。

「はい、あります。」

「それを、大月を見つけたら押してください。半径10メートルぐらいの距離からでも消滅させる事ができます。」


「分かりました。必ず見つけ出して消滅させます。」


「お願いします。」

と、また一方的に切られてしまった。

きっと今回は、それどこではないのだろう、大月に逃げられてしまい、悪霊化してしまう事の対策を考えるに違いない。と、立花の行動が読めた。

しかし、今回ばかりは俺のミスだった…

何としても見つけて大月の奴を消滅させてやる。またゼロからのスタートになってしまったが、俺は張り切っていた…。



こうして、大月との新たなゲームがスタートした…。



しかし、それは和章、美里の2人にとって最悪の出来事の幕開けでしかなかったのである…。



長々とお付き合い、していただき、ありがとうございました。今回は、こんな終わり方になってしまったことお許しください。またパート2にておあいしましょう。

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