見知らぬ部屋…
俺は誰かの呼び掛けで意識を取り戻した意識を失ってから、どのくらいの時間がたったんだろうか…相変わらず1本の切れかかった蛍光灯だけが目に入ってきた俺の横には1人の女性が何かを俺に向かって話していた。
意識がもうろうとしていて何を話しているのか分からず、
口をパクパクと動かしている姿しか確認出来なかった…
意識を集中させて、何を話しているのか聞こうとした。
1部1部しか聞き取れなかったが紛れもなくあの声だった。俺の足元に来て何かを指示していた女性その内容は、
「ミーティングがなんとかかんとか…」
さっぱり理解出来なかった。その女性は俺の手首に何かをはめ、1枚の紙を置いて隣のベッドに行ってしまった。
その紙を見てみると13時にミーティングルームに来るようにと書かかれ、その文字の下にはその場所の地図が描かれていた。
きっとあの女性はこの事を話していたのかと気づいた。
ミーティングルームって一体何?と思った。病院じゃないのか…。
意識を失う前は、目だけしか動かす事が出来なかったが、今は思うように体を動かす事が出来た。体を起こし周りを見回した。
真っ白な天井、壁、床と周りにはベッドしかない。病院なら何かしらの機材があるものだがそこには何もない奇妙な部屋だった。
回りのベッドには5人しかいない。先程まで沢山の人達がいたはずなのに……
皆、この紙に書かれた場所へ行ってしまったのか?考えれば考える程、頭がおかしくなってくる。
とりあえず手掛かりはこの紙に書かれたものだけしかない。とにかく行ってみようとベッドから出た俺は左手首が妙に重い事に気づいた。
そこにはあの女性がはめていった時計があった。
その時計には2種類の表示がされていることが不思議に思った。1つは普通の時計だろう、もう1つは何かを、カウントしているかのように時間が1秒また1秒減っていっていた。その時計の表示は12時45分を示していた。やばいと思い急いでミーティングルームに向かった。急いでミーティングルームへ向かってると異様な感じにとらわれていた。
それはすべてが真っ白な空間だからだ。上下左右、分からなくなるぐらいだったこの地図がなければ迷ってしまいそうである。10分ぐらい走った後ようやくその場所まで辿り着き恐る恐る中に入った。その中には既に4人の人達が座っていた椅子は全部で7脚用意されており2脚は前に、残りの椅子は後ろに向かい合う形になっていた。
俺は皆が座っている列の余っている椅子に腰掛けた。
両サイドに目を向けると同じ格好させられた4人の姿があった。真っ白なシャツにズボン、裸足という格好だった。
男性が1人に女性が3人、皆、目がうつろで下を向いていた 時計が13時を回り後ろの扉から1人の男性が入ってきた。
年齢は50歳前後で中肉中背の男性だ。その後ろからもう1人女性が入ってきたその女性は男性よりも凄く若く20歳ぐらいだろう、スタイルも良かった。
2人とも俺達と同じ格好をしていた。
そして、俺達の前の椅子に腰をかけこう言った。
「私はゲームの主催者の立花です。そして隣にいるのが助手の三上君です。皆様にはゲームに参加するかしないかを決めて頂きます。」
俺は突然何を言っているのか理解が出来ていなかった。
他の者も同じという顔をしていた。立花は俺達の事を無視するかのように黙々と話していた。
「その内容は助手の三上君から説明して頂きます。」
そして助手の三上が喋り出した。それはあまりにも衝撃的な事だった。
「あなた方は既に死んでいます。」と。誰もが耳を疑った。その時俺達のメンバーの中の1人が言い返した。
「死んでいるとは何を根拠に…。今も現に、息もしてるし足もある。あなた方は頭がおかしいんじゃないか?」
足もあるって言い方に俺は思わず心の中で笑ってしまった。もっと違う言い方があるだろうに…と、内心思った。
でも確かにおかしい感覚的に生きている時と何ら変わりはない。ただ変な建物の中に軟禁されているだけではないのか?その言葉に主催者の立花はこう言いだした。
「誰も最初はそう思うんですよ。その答えは後程1人1人にお答えしますから、先に進んでもいいですか?」
俺達全員、はいと返事をした。
そして三上がその内容を話し始めた。
「こんなにもゲームオーバーが多いと、我々の処理もたいへんなのでもう一度ゲームを振り返って頂きゲームがしたいと思う人にはリトライしてもらいクリアしてもらいます。ただしリトライは一度だけ次はありません、人生=ゲームなんですよ。」
やはり頭がいかれてる、何が人生=ゲームだ。人生はゲームなんかじゃない!
絶対に…。
そして何よりリトライは一度だけという言葉。ゲームだったら話はわかるが人生をリトライ、そんな事、可能なのか?
もし仮に2回目だったらどうなるんだ…考えてもらちがあかない…主催者といっている奴に聞くか…と思い質問してみた
「その内容からしてリトライは1度なのはわかります。2回目だったら?リトライしたくないと言ったらどうなるのですか?」
主催者の立花がその質問が来ることをわかっていたのかのように迷わず言った。
「2度とゲームには参加出来ません。あなた方1度ゲームオーバーしていますからきちんとクリアするまでは次の新しいゲームへの参加資格が無くなり消滅してしまいます。2回目も同様です。」
「それじゃ…消滅してしまったら2度とゲームには参加出来ないと…」
「いえ、消滅してしまったら別の世界へ行ってもらい、新しい参加資格を得られるまで経験を積んでいただきます。その期間が長いか短いかは誰にも分かりませんがね…」
俺はある言葉が浮かんだ。生きるも地獄死ぬのも地獄という言葉…。
しかもゲームオーバーという言葉が理解出来なかった。
「ちなみにゲームオーバーとは一体どういう意味に値するんですか?」と尋ねた
主催者の立花は、
「ゲームオーバーとは、自殺或いは誰かに殺されたと言う事です。」
話を聞いた5人は唖然としていた…
それもそのはず自分達が自殺したか或いは、殺されたかの、どちらかに分類されるがその記憶は一切無かったからである 先に進んでも良いかと主催者の立花が言ってきた。
俺は疑問に残ってたが、そのまま進んでもらった…
「これから1人づつに今までのゲームの内容を見て頂ます。その内容を客観的に見ていただき参加するか、しないかを決めてもらいます。なお、期限は1週間」
助手の三上が話し終えると、また頭の中でいろいろな事が飛び交っていた。ここにいる残りの4人もそう違いないと思った。
しかし人生=ゲームとはね…。
ゲームとは本来楽しく遊ぶものではないのか?そう考えていると立花がこう付け加えた。
「あなた方の腕には時計がつけられているのはご存知ですよね。1方の表示は時計、もう1方の表示は1週間後のタイムリミットが表示されています。もう既にカウントはが始まっています。それではタイムリミットまでじっくり考えてくださいね。」と、言い残し立花は出て行った。
残った助手の三上がこれからのことを説明していた。
「皆様にはこれから1人1人に今までの内容を見ていただきますのでしばらくこちらでお待ちください。」と、説明して立花の後を追うように出て行った。
一斉にそこにいる5人が顔を見合わせた誰もが信じらんないと言う顔をしていた1人除いては……。 しばらく皆押し黙ったまま時間だけが過ぎていった。時間にして10分ぐらいだろうか…でも俺には、1時間ぐらいに感じられた。
その中、1人の女性が話し始めた。
呼ばれるまで自己紹介をしようと言ってきたのだ、それどこではないと俺は思ったが少しは気が紛れるかなと思い賛成した。
他の者も俺の言葉を聞いて賛成と口にした。
初めは言い出した、本人から自己紹介が順々に始まった。
「私は、浅井ユキ19歳、学生」
「小笠原美里、25歳 OLです」
「高橋しずか、33歳主婦です」
「黒木正男、45歳、会社員です」
そして俺の番と、なり自己紹介をした。
「斎藤和章、31歳、会社員です」
俺はあえて探偵だった事は話さず会社員とした。ただ、めんどくさかったからだそのまま沈黙がいやだった俺は疑問に、思っていた事を皆に問い掛けてみた。
「主催者を名乗っていた事、信じますか?」と、皆個々に考えている様子であった。
しばらくして美里が喋りだした。意外だった。自己紹介の時の感じからして自分からは主張出来なそうに見えたからだ。
「私…信じます。」とこれまた意外な答えだった。
それは何故なのか理由を聞いてみた。
「私は…会社でいじめにあってたの。毎日毎日ね。毎日いじめられてると段々嫌になってくるの。生きてるのが…たぶんそれで自殺したんじゃないかな…と私は思ったの。」
誰もが黙って美里の理由を聞いていた。
「そしてあの主催者の言葉で確信したのどうやって死んだかまではわからないけど…」
突然黒木がその理由に対して口を挟んだ
「でもおかしいじゃないか?なんで死んだ事は覚えてないんだ!」
確かにおかしい…誰もが思っていた事でそもそも死んだという記憶がない…
「それは…私にも分からない…」と美里は答えた。
美里には自殺する原因があった。でも残りの俺も含めて4人には、原因すら見当たらない…だとすれば殺されたと言う事になる…。
その後、口を開く者は誰1人いなかった
美里が話し終わってしばらくしてから、後ろの扉が開いた。そこには助手の三上が立っていた。
「今日の予定は中止です。各個人1人1人に部屋を用意してありますのでそちらで待機してください。」と告げ一枚の紙を1人1人に手渡し急いで出て行った。そこには自分達の名前が書かれた部屋までの地図が書かれていた。互いに地図を見せ合ったが1つとして同じものはなかった。俺達はそこで別れそれぞれの自分の部屋へと向かった俺の部屋はこのフロアーの二階上だった何処に行ってもこれまた真っ白な空間…部屋の前で来ると、どこかで見たような扉だった。俺は扉を開け、そこで見たのは自分の部屋…。
そう自分が住んでいた部屋だった。紛れもなく確かに自分の部屋…真っ白な空間から一転自分の部屋何がなんだか分からない現実に戸惑っていた。
俺は自分が使っていたベッドに横になり今までの事を整理していた。
1、自分が死んでいて自殺或いは殺された事
2、ゲームオーバーからもう一度リトライ出来る。しなかったら消滅してしまう事
3、タイムリミットは1週間
4、これは現実なのか夢なのか…
他の連中も同じ事考えてるのだろうか。そう考えてるうちに意識を失っていた…
1日目終了…
タイムリミットまで後、6日…。