金竜(ドラゴン)に願いを 【シナリオ形式】
■登場人物
姫:
小王国の姫君で、十代後半。ちょっとイタズラっ娘要素もあるけれど、基本、ボケるタイプの美少女にお願いします。
金竜:
中国の竜に近いイメージの、細長いドラゴン。怒ると恐い。この話のツッコミ役。
舞台は、東洋でも西洋でも可能です。
[1]
T「金竜に願いを」
[2+3]
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ゴゴゴゴゴゴゴ……と、霧の中に現れる金竜。
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姫は、引きつり顔で、岩に貼りついている。
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そこは、山奥の絶壁。霧の中に金竜が飛び、姫は絶壁にしがみつい
ている。
姫「金竜……ついに出会えたわ!」「さあ、願い事を聞いてください!」
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金竜「よかろう。1つだけ叶えてやる、言ってみろ」
□
姫、お茶目に笑って、
姫「今日から、私が死ぬまでずっと願い事を叶えつづけ……」
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金竜の目がギラッと光る。
[4+5]
□
金竜、激怒して姫に襲いかからんと牙を剥き、
金竜「よかろう!」
「だが、今すぐ死なないようという願いはしなかったな!」
姫「きゃーーーっ、今のはとりけし、とりけしです! 食べないでーっ!」
金竜「食わんわ、お前なんぞ!」
□
金竜、姫を見おろしながら指を2本立てて
金竜「大負けに負けて、願いを2つ叶えてやろう。どうだ?」
姫、岩壁にしがみ付いて半泣きになってながら振り向き、セリフだけは冷静に
姫「え……それじゃ、5つでどうでしょう?」
□
金竜、悩むように霧の中でぐるんぐるんと廻りながら
金竜「うーん……」「しかたない、間をとって3つだ。これ以上は負からん」
姫「けちー。」
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金竜激怒。
金竜「1つだって大サービスなんだぞ!」「神様なんか、気が向かなきゃ願いを
叶えてくれないじゃないか!」
姫「きゃーごめんなさい、食べないでー!」
金竜「食わんっちゅーに!」
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金竜、溜息をつきながら、
金竜「契約成立だな」「それでは、ひとつめの願いを聞いてやろう」
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姫、手を組んで祈るような顔つきで真面目に
姫「はい、ひとつめは……」「父上……国王陛下の不治の病を、今すぐに治して
ください!」
[6+7]
□
金竜、呆れて
金竜「不治の病つっても、水虫だろうが」
姫「でも、いちおう不治の病ですぅ~」
□
金竜「いいだろう。お前が城に帰るころには治ってるだろう。次は?」
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姫「はい。私に、身長が高くて、スタイルがよくて、絶対浮気しなくて、カッコ
よくて、身分が私以上で、長男じゃない、お金持ちのお婿さんを……」
金竜「また、要求が多いな……」
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金竜、目からレーザーを発しながら周囲をきょろきょろ。
金竜「ふ~む」「……西の大国の第四王子あたりが条件に近そうだ」
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金竜、ぐいっと胸を張り
金竜「城に帰るころには、政略結婚の話がまとまってるだろう」
姫「え、あの耽美系って噂の美形王子!?」「わーい!!」
姫は無邪気に喜んでいる。
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金竜「で、最後の願い事は?」
姫、かわゆく
姫「それはもちろん」「今日から、私が死ぬまでずっと願い事を叶えつづけ……」
[8]
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金竜、激怒。
金竜「またそれかーーーーッ!」
姫「きゃー、食べないでーッ! とりけし、とりけしますからっ!」
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金竜「よかろう、願いを全部とりけして食べないでおいてやろう!」
「3つの願い、叶えたぞ!」
ドロン! と霧の中に消える。
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姫「え!?」
姫、呆然。
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姫「ちょっと! 今のはお約束のギャグでしょうが!! 今のナシ、ナシ!!」
「金竜!金竜、カムバーック!!」
姫の絶叫が虚しく絶壁に響く。
キャプション「教訓:ルールの穴を攻めるものはルールの穴に泣くι」
- おしまい -