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秘密

「な、なんで、それを…」九谷は言葉に詰まる。

秋良はそんな九谷をただ見つめる。

「そうだ!やっと思い出したよ!」祖母が居間で大声を出した。

「九谷君そっくりな子供の写真?アルバムを見たんだよ!

あれ?でも、どこで見たのかな???」祖母がまた首をかしげる。しかし、それを聞いた九谷が祖母に走り寄る。

「どこで見たんですか?この家の中ですか?」九谷が必死で聞く。

祖母は美容室をチェーン展開してるくらいなので、頭もシッカリしてるが、仕事以外では全くボンクラなのだ。母もだが。

日常生活が穴だらけで、記憶も良く飛ぶ。

秋良の参観日や防災訓練の引き取りとか、すっかり忘れていたりして、よく学校の先生に怒られていた。

「そうそう、引っ越してくる前日2日で掃除皆でやったのよ!

その時にこんな所にアルバムあるって驚いたのよ…あれ?どこだっけ???」祖母が救いを求めて秋良を見る。

自力では思い出せないようだ。

「う〜ん、3人で手分けしてやったよね。お祖母ちゃんは〜15部屋の内の7部屋お願いしたはず!

お母さんも7部屋で〜私は自分の部屋は自分で掃除したんだよ。

で、キッチンや居間や廊下階段、バスにランドリールーム諸々掃除したの。

お祖母ちゃんが掃除した7部屋は…北側の部屋だから〜書斎や寝室だね。」九谷の方を見る。

「つまり…スーパーの店長が言ってた4.5年前の夜逃げした家族は九谷君だと言うことね?

そして、探してるのはアルバム?」秋良が聞く。

「家からとにかく借金取りの来ない所に急いで逃げようと父に急かされて持ち出す暇が無かったんだ。

でも、母が亡くなる前に業者にも見つからない所に隠してあるからと言ってたんだよ…」九谷が目を伏せる。

「実は居抜きみたいな状態だったから家具類は九谷家の豪華なアンティーク家具をそのまま使わして貰ってるんだよね〜へへっ」母がバツが悪そうに舌を出す。

だいたい母の考えは分かる。

家具やカーテンを自分で選んで付けるのが面倒だったのだ。だから、センス良く初めからセッティングされてるこの屋敷を気に入ったのだ。

「でも、中は空っぽに処分されてたよ。きっと業者が全部片付けたんだと思うけど…お祖母ちゃん、どこで見たの?ってか普通見つけたら出さない?」母が祖母に聞く。

「いや〜っ、なんか隠してる気持ちが良く分かったんだよ。だから、見て元の場所に戻したんだよ…でも、どこだったか?

すっぽり記憶がないんだよ…」アホでズボラな母娘である。

「ごめんね、九谷君。お祖母ちゃんが掃除した部屋だけ覚えてるから今から案内するよ。

掃除しながらボチボチ探して。」2階へ上がり廊下の北側の部屋の扉を開けた。

「…良いの?」九谷が聞く。

「アルバムなんて、もうご両親いない九谷君にとったら大事なものじゃない?自分のルーツだもん。」元書斎だったであろう部屋に入る。

「僕…だましてた事になるんだよ。良いの?」九谷らしい考えだ。

「私からすると、割の良いバーテンダーで十分なのに

時給ほぼ1/2のハウスキーパーやってる事の方が恐いよ!薄気味悪い。

どうせ最初に話されても、良く知らない段階で言われても…な感じだし。

泥棒のウソかも?とか思ったろうし。」秋良が語る。

「お母さんは、お手伝いさん雇わずに1人で掃除してたの?」大きな本棚を開けながら聞く。

「うん、母の実家は田舎の庄屋だったから昔から大きな家の掃除は慣れてたんだよね。」九谷が説明する。

「そうか。本来お手伝いさん雇わないと無理だけど、お母さんは生け花も出来るし掃除も出来るし、お料理も出来る…専業主婦としてタイパ最高の人をお父さんはお嫁さんにしたのね。」秋良達も書斎の棚に並べる本なんか持っていないので、書斎の本棚はガラ空きだ。

「こんな分かりやすいとこに無いか?」秋良は本棚を閉める。

「うん、そこは僕も最初に見たし。

うん、タイパとかヒドい言い方だけど父は人材派遣業だったから、そういう考えだったと思うよ。

母とは一流企業のOLさんとの合コンで知り合ったらしい。

昔は自宅通いの一流女子大の子しか雇わないから、そこでもう嫁選びに最適な人材が揃ってたんだよね。」九谷は淡々と話す。

「さすが東大だね〜昭和の文化もご存知で。

昔は結婚したら女性は会社辞めたから、初めから腰掛け人材だったんだよね。」と言いながら、主用の立派な机と椅子の周りを探す。

「僕…大学名言ったかな?それになんで君も昭和の文化知ってるの?令和の大学生なのに?」九谷も段々駅前の金持ち御用達大学の秋良が抜け目ない女だと分かってきた。

「バカにしないでよ!私だって受験生時代に各大学の奨学金枠とか調べたよ。

本当は高校時代から自活したくてね…推し活部屋を家族に見られたくないし腐女子だから本見つかったらヤバいし。」秋良が九谷を見る。

「あ〜そういうことか。」九谷も納得した。

性描写が過激な本好きだったようだ。

今のBL本は過激なのになると都から発禁本ならぬ有害指定図書として認定されてるのもある。

「親の収入が夫婦合算で300万以下の子が大学費用無料になる制度は日本に数校あるけど、ほとんど田舎の国立大学だけだよ。

自衛隊の将校作る大学だと給料まで貰えるけど、確か寮生だしね。だから、都内で自由に動けて無料になる大学は東大だよ。」机周りも無かった。変な引き出しも見当たらない。

秋良は立ち上がって背伸びをする。

「そこも調べたよ。母はなんでチャンと言わなかったのか?母ほど掃除のエキスパートじゃないから本当に困るよ…」九谷は本当に困っている。

それくらい掃除上級者じゃないと見つからないのだろう。

祖母は偶然見つけただけだ。祖母と母は、掃除が嫌いでゴキブリの死体が何ヶ月部屋の隅にあっても見ないフリするくらいだ。

仕事がいくら出来ても本当に困った人達なのだ。

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